ライバルはティグアンやRAV4
英国で存在感を増している、中国製のバッテリーEV。技術的には悪くないと評価されつつある。だが内燃エンジンに関しては、まだ充分ではないとも考えられている。それでは、その中間にあるプラグイン・ハイブリッドの完成度はどうだろう。
【画像】BYDはEVだけじゃない シールU PHEV 競合サイズのSUVと写真で比較 全157枚
このシールU PHEVは、BYDにとって重要な1台だ。これまで欧州ではバッテリーEVのみをラインナップしてきた同社初となる、内燃エンジンでも走る中型のSUVだからだ。
プラグイン・ハイブリッドは、BYDにとって新しい技術ではない。2008年には、中国初の量産モデルを提供している。それは商業的な成功を得られなかったが、時代の変化とともに技術も進歩し、現在の中国では主力のパワートレインになっているそうだ。
他の例と同様に、シールU PHEVも、まだバッテリーEVへの乗り換えは早いと考えている層がターゲット。ライバルとしては、フォルクスワーゲン・ティグアンやトヨタRAV4などが挙げられる。
AUTOCARの読者なら、中型サルーンのBYDシールをご存知かもしれない。あちらはスポーティなサルーンだが、こちらは背の高いSUV。プラットフォームも異なるそうだ。
スタイリングは、海洋生物をイメージさせるような、うねるようにカーブを描くフォルムが特徴だろう。少しクセが強すぎるかもしれない。
1.5L 4気筒エンジンに電気モーター
パワートレインは2種類。前輪駆動版に載るのは、1.5L 4気筒の自然吸気ガソリンエンジンに、1基の駆動用モーターと、18.3kWhの駆動用バッテリーという組み合わせ。
四輪駆動では1.5L 4気筒エンジンがターボになり、リアアクスルを受け持つ駆動用モーターが追加される。駆動用バッテリーの容量は変わらず、エンジンがリアアクスルを駆動することはない。
トランスミッションは、バッテリーEVのように1速リダクション。ただし、エンジン用と駆動用モーター用で独立しており、互いに協働させるためのリダクションギアも別に備わる。
インテリアは、ダッシュボードやドアパネル、シートなどが合成皮革で覆われている。硬質なプラスティックが露出する場所は、殆どない。
タッチモニターは15.6インチと大きく、縦向きから横向きへ回転可能。エアコンの温度調整や速度警告機能などにショートカット・アイコンが表示されるものの、実際に押せるハードボタンの方が扱いやすいことは間違いない。
ワイヤレスのスマートフォン充電パッドは2台分、SUBポートは4口ある。家電を動かせるコンセントも備わり、充電中にプレイステーションで遊べなくもない。
車内空間は平均的な広さ。リアシートにも大人が問題なく座れる。荷室容量は425Lで、RAV4よりやや狭い。
323psでなかなかパワフル 不快なほど揺れる車内
今回試乗したのは、四輪駆動のみ。フロントの駆動用モーターは203ps、リア用は163psとなかなかパワフル。4気筒ターボエンジンは130psがうたわれる。システム総合での最高出力は323ps、最大トルクは56.0kg-mになるという。
走行中の車内はとても静か。高速道路の追い越し車線で内燃エンジンが始動しても、不気味なくらいノイズは聞こえてこない。アクセルペダルを強く踏み込んでも、高回転域での息苦しい響きもなし。CVTのように、ラバーバンド感もない。
最高出力の数字通り、なかなかパワフルでもある。0-100km/h加速は5.9秒で、英国の交通環境でも扱いやすい印象。30km/hから90km/hへの中間加速は、余裕を感じる。
ブレーキのタッチもいい。制動力は強く、反応には一貫性があり、減速感を予想しやすい。急ブレーキを踏んだ時のハザードランプは、過敏気味に点灯するようだが、普通に運転している限り悩まされることはないと思う。
乗り心地は、シールU PHEVの弱いところ。サスペンションがソフトすぎ、スプリングは大きく伸縮し、車内は相応に揺さぶられてしまう。少し不快に感じる場面もあった。
90km/hを超えてくると路面への反応が増し、ボディは一層ユサユサと動く。しかも、揺れが収まるまでの時間も長いようだ。クルマ酔いする人は、要注意だろう。
また、ステアリングの反応は曖昧。手のひらへの感触も殆どない。運転が難しく感じることはないものの、楽しいと感じることもない。
予算を増やしライバルを選んだ方が賢明?
燃費は、市街地や高速道路などを複合的に運転した今回の条件で、15.6km/L。駆動用バッテリーは、残量30%から80%への回復に、11kWの充電器で35分が必要になる。
興味深いハイブリッド・パワートレインを搭載するシールU PHEVだが、充分な訴求力までは備わっていない印象。柔らかすぎる乗り心地に、曖昧なステアリング、クセの強いスタイリングなどが、印象の足を引っ張っている。
電気だけで走れる能力を考えれば、価格設定は低めだといえる。それでも、少し予算を増やして優れたライバルを選んだ方が、今は賢明といえそうだ。
◯:走行中はとても静か 良好な燃費
△:柔らかすぎる乗り心地 パッとしない運転体験
BYDシールU PHEV(欧州仕様)のスペック
英国価格:3万9000ポンド(約780万円/予想)
全長:4775mm
全幅:1890mm
全高:1668mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:5.9秒
燃費:83.2km/L
CO2排出量:26g/km
車両重量:2430kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc ターボチャージャー+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:18.3kWh
最高出力:323ps(システム総合)
最大トルク:56.0kg-m(システム総合)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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みんなのコメント
BYDはトヨタをコピーするメーカーです。私はバッテリーパックのフィルム開発に関わりましたが、当時は考えられない程、粗悪なクルマを生産していましたが、エスティマを買えない、プラドを買えない、あるいはスマートのコピーまで生産し特に中国内陸部でバカ売れしていました。
当時のBYDの製品、社風、生産の現場を知る私には現在の彼らのマーケティングに恐怖しています。