■高級ブランド「メルセデス・ベンツ」の新たな挑戦とは
メルセデス・ベンツ(以下、メルセデス)のミニバン「Vクラス」に初の大幅改良が行なわれました。Vクラスは1998年に初代が登場して以降、欧州のミニバン市場をけん引してきたモデルです。
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ただ、どちらかというとビジネスユースで使われることが多いため、良くいえば「質実剛健」、悪くいえば「商用車ライク」のイメージから抜けだせていないのも事実でした。
その一方、日本ではミニバンは独自の進化を遂げており、特にトヨタ「アルファード」と「ヴェルファイア」(以下、アルヴェル)はセダンに代わる新たな高級モデルとして人気です。そのトレンドはアジア各国へも飛び火し、現地では日本以上のステイタスが与えられています。
このように欧州と日本/アジアではミニバンに対するニーズが異なっている、という話をVクラスの開発陣としたところ、なんと「新型Vクラスを開発する際に『トヨタ』を強く意識した」、「現地法人からのフィードバックを反映している」というのです。
筆者(山本シンヤ)はこれまで国内外でさまざまな輸入車ブランドのエンジニアと話をしてきましたが、日本のブランド、それもトヨタの名が出てきたのは初めてでした。日本のミニバン文化があのメルセデスを動かしたということに、正直びっくりしました。
では、新型Vクラスはどのような進化を遂げたのでしょうか? 日本導入は2019年ギリギリか、もしくは2020年初頭の予定ですが、ひと足お先にバルセロナ(スペイン)で開催された国際試乗会に行って乗ることができました。
●力強さを増した外装デザインを採用
外装はフロントマスクを中心に変更が行なわれています。最新のメルセデス・ベンツのデザイン言語が用いられ開口部が拡大したフロントバンパーや、LEDヘッドライト、新デザインのアルミホイールの採用などで、従来モデルより“力強さ”を増しています。
ただ、「どうだ」と迫り来るアルヴェルのような押し出し感ではなく、あくまでもメルセデスの域の中での“力強さ”です。さらにスポーティ仕様の「AMGライン」では、ダイヤモンドグリルやクローム装飾などで、より“華やかさ”も増しています。
ボディカラーは豊富に用意されていますが、新型ではグレー/シルバー/レッド/ブルーが新色です。
一方、内装はタービンルックのエアベントや装飾パネルなどにより、スポーティな印象が増したインストルメントパネルを採用しました。ただし、最新のメルセデスのようなフル液晶メーターやステアリングスイッチ、更に「ハイ! メルセデス」のウェイクワードでおなじみの「MBUX」は採用されていません。
開発陣に理由を聞いたところ、お茶を濁す返答しか得られませんでしたが、「高級セダンに代わるモデル=運転手付」ということから、優先度はそれほど高くなかったのだろうと筆者は想像します。
2列目から後ろ部分の仕様は用途に合わせて、片側スライドドア/両側スライドドア、ベンチシート/キャプテンシートなどさまざまなバリエーションが用意されていますが、今回の目玉はオプション設定の「ラグジュアリーシート」です。
大型アームレスト、エアクッション付ヘッドレスト、オットマン、シートヒーター&シートクーラー、マッサージなどが採用されていますが、これはアルヴェルに用意されている「エグゼクティブラウンジシート」をかなり意識しているはずです。
ただ、3列目へのアクセス性や機能の部分に関しては、アルヴェルに一日の長があると思います。
■パワフルな最新ディーゼルエンジンこそ「欧州クオリティ」の証
●新たに搭載されたエンジンは十分すぎる実力を発揮
パワートレインは、ディーゼルエンジンが従来の「OM641型」から、最新のメルセデスに順次展開されている「OM654型」に変更されました。
このエンジンはメルセデス初のオールアルミ製で、軽量設計、低フリクション、そして2500バールの第4世代コモンレールインジェクションの採用などにより、燃費性能(従来比13%向上)や環境性能(排ガス規制 Euro 6d TEMPに対応)を実現しながら、パフォーマンスも向上させたユニットです。
Vクラスには3種類の出力特性が用意されており、「V220d」は163馬力、「V250d」は190馬力、そして「V300d」は239馬力となっています。組み合わされるトランスミッションも従来の「7Gトロニック」から軽量かつコンパクトな設計の「9Gトロニック」へと変更されています。
従来モデルも必要十分な性能を持っていましたが、新型は最もベーシックなV220dでも全域で重さを感じさせないほどの力強さと、段付きのない滑らかなフィーリングが印象的でした。ちなみに、最もハイパフォーマンスなV300dは少人数の乗車ではパワーがありすぎると思ってしまうほどの実力で、クルマのキャラクターを考えるとV250dがベストバランスだと感じました。
ちなみに静粛性も大きくレベルアップしており、室内にいる限りはディーゼルであることを忘れてしまうほどです。運転席と2列目の会話も、もう声を張り上げる必要はありません。
これはエンジン単体の進化や多段化されたATに加えて、車両各部に効果的に配置した遮音材や吸音材が効いているそうです。
ちなみにシャシー系の変更に関して“公式”なアナウンスはありませんが、穏やかな特性ながら正確性が引き上げられた芯のあるステアリングや、よりしなやかに路面を追従するようになったサスペンション、硬めながらもアタリが優しく収まりの良い乗り心地、そして直進安定性の良さなどが感じられ、明らかに従来モデルとは違います。
●選べるサスペンションで、自分好みの乗り心地を得ることが可能
今回の試乗コースは一般道や高速道路に加えて、ミニバンには似合わないような厳しい山道も用意されていましたが、そんな場所でもボディサイズや車両重量を感じさせない身のこなしとライントレース性、そして一体感のあるコーナリングに、いわゆる「ドライビングプレジャー」も感じたほどです。
ちなみに、アルヴェルも現行モデルでは走りに関しても相当頑張っていますが、「走る道を選ばない」という意味でいえば新型Vクラスの勝ちです。そんな印象をエンジニアに伝えると「エンジン変更による軽量化で、前後バランスが良い方向になった結果ですね。サスペンションの味付けは従来モデルと同じですよ」とコメントしていました。
ただ、筆者はこのエンジニアのコメントを「サスペンションの味付けは同じだが、前後バランスが変わった分の微調整は行なっている」という風に解釈しています。
サスペンションの味付けは「コンフォートサスペンション」と「スポーツサスペンション」、そして走行状況に応じて減衰力を可変する「アジリティコントロールサスペンション」の3タイプが用意されます。今回はスポーツサスペンションとアジリティコントロールサスペンションの仕様に乗って比較することができました。
スポーツサスペンションの仕様は、スポーツタイプとは思えないマイルドな乗り心地に惹かれたものの、ハンドリングはやや大味な印象です。
一方、アジリティコントロールサスペンションの仕様は全体的に引き締まった印象ながらも、ハンドリングと快適性のバランスの良さが光りました。ただ欲をいえば、電子制御ダンパーが採用できれば快適性(特に2列目と3列目)に関しては伸び代があるように感じます。
予防安全技術は「アクティブブレーキアシスト」や「アクティブディスタンスアシストディストロニック」を含む13のデバイスが用意されます。
なかでも横風を認識して車線に留まるようにサポートする「クロスウィンドアシスト」は、ボディ形状が不利なミニバンではとくにありがたい機能といえますし、今回高速道路に乗って感じた直進安定性の良さにも寄与しているはずです。
●この実力の高さは「ガチ」といえる
そろそろ結論に行きましょう。
Vクラスの従来モデルはメルセデスの名を冠していましたが、見た目や走り、クオリティや装備の部分を含めて「商用車の派生モデル」から抜け出せていないように感じましたが、新型は他の乗用モデルと同じレベル、つまり「乗用車」へと進化しています。ずばり、総合的にアルヴェルとガチで戦える実力を備えたといっていいでしょう。
しかしライバルは一歩先を行っており、上海モーターショーではさらに豪華な仕立てのレクサス「LM」が登場しています。
新型Vクラスの試乗会のタイミングで、LMがお披露目されるというプレスリリースが出ていたため、その情報をエンジニアに伝えると、「それは知らなかった。もっとライバルを研究する必要がありますね」と語っていたのが印象的でした。
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