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トヨタの「“最強”ライトバン」登場20年超でもなぜ売れ続ける? 使い勝手最強の“営業マン”マシン「プロボックス」一体何がスゴい?

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トヨタの「“最強”ライトバン」登場20年超でもなぜ売れ続ける? 使い勝手最強の“営業マン”マシン「プロボックス」一体何がスゴい?

■荷室の使い勝手がとにかくスゴい!

 トヨタ「ハイエース」と並ぶ商用車のベストセラーが、同じトヨタの「プロボックス」です。
 
 ハイエースがワンボックスなのに対し、プロボックスは背の低いライトバンです。

【画像】カッコいい!これがトヨタの「最強ライトバン」です! 画像を見る

 そんなプロボックスは現行モデルがデビューしたのは2002年7月。2014年に改良を受けてプラットフォームを変更していますが、フルモデルチェンジなしで20年以上も継続して販売されています。

 そして、2022年度には5万7192台を生産。これは、乗用車の新車販売ランキングでは13位付近に相当するもので、多くの人に支持されているといえるでしょう。

 なお、製造元のダイハツによる型式認定問題の影響で出荷停止期間があった2023年でも約5万台を販売するなど高い人気を誇ります。

 プロボックスはなぜ多くの人に愛用されているのでしょうか。

 プロボックスが支持されている理由のひとつとして、仕事をサポートする実用的なパッケージングが挙げられます。

 後席の広さを重視する一般的な乗用車とは異なり、質実剛健のプロボックスは後席よりも荷室の広さを重視。

 わずか4245mmという全長にもかかわらず、後席を倒さなくても(後席に人が座れる状態のまま)1040mmの荷室長を確保しているのは驚異的です。

 さらに後席は座り心地よりも格納性を考えた構造で、快適性にも配慮して厚いシートを組み合わせる上級グレード「F」を除けば、背もたれを前に倒すだけで段差のない床を実現します。

 その際の荷室長は1800mm以上で、この広い荷室がプロボックスの自慢です。広大な荷室を活かして、ミカン箱なら38個、A4コピー用紙の箱なら89個も積めるのだから驚くしかありません。

 とはいえ、自慢は小さく折りたためる後席を組み合わせた広い荷室だけではありません。ビジネスをサポートする細かい配慮がすごいのです。

 ダッシュボードには左右幅の調整がおこなえ、ケーブルを挿した状態のスマートフォンからメモ帳まで挟める「マルチホルダー」に加え、中央部分にはお弁当やA4ノートパソコンを置けるテーブルを設置可能(最大荷重10kg)。

 ダッシュボード中央下にはペットボトルはもちろん、500mLにとどまらず1Lの紙パック飲料まで置けるトレイを用意しているのだからさすがです。

 得意先へ向かうために時には1分1秒を争い、時には空いた貴重な時間を車内で過ごすことになるビジネスパーソンに向けてここまで至れり尽くせりのクルマは、プロボックスのほかにはちょっと見つけられません。

 また、サンバイザーにはポケットがたくさんあり、名刺だってたくさん挟めます。こういうさり気ない工夫も、顧客の実用性を最優先したクルマ作りの賜物と言えるでしょう。

 確かに、ハイトワゴンなどでは前席周辺のポケットをもっと多く用意した実用的なクルマもあります。

 しかし、ビジネスパーソンの“道具”として、ここまで目的を明確化した収納アイテムを多く組み込んだクルマはプロボックスが唯一無二といえるのではないでしょうか。

「疲れ気味のビジネスパーソンをどれだけサポートできるか?」ということが大切であり、その点においてプロボックスは他車の追従を許さないのです。

■プロボックスに弱点はある?

 プロボックスは経済性も優れています。フロントバンパーの角を分割した別の部品(しかも最上級仕様「F」を除き無塗装樹脂部品)とすることで、もし角を擦っても安価に交換可能。脱着作業も簡単におこなえます。

 同様にリアバンパーもサイズを小さくした無塗装部品(「F」を除く)で、交換時の費用を抑えているのも特徴的。見栄えよりもユーザーメリットを優先した、ある意味トヨタの本気を垣間見ることができます。

 加えて、昨今は「軽スーパーハイトワゴンでも200万円」といわれる時代に、プロボックスは152万9000円から177万7000円というプライスを実現しているのもすごさのひとつ(ガソリン車)。

 ライバル車には設定のないハイブリッドモデルも182万8000円から205万2000円までの範囲で選べ、同社のコンパクトカー「ヤリス」における最も廉価なハイブリッドモデル(「X」グレードで204万4000円)よりもさらに安いと知れば、驚く人もいるに違いありません。

 プロユースを前提に機能的でリーズナブルを最優先したプロボックスの存在は「自動車業界のワークマン」といっていいでしょう。

 一方で、ユーザー層を徹底的に絞った商品企画だけに、ウィークポイントもあります。

 たとえば、質素に徹したビジネスライクなインテリア。スーパーハイトワゴンなどの軽自動車よりも飾り気がなく、チープに感じられるかもしれません。

 また後席の作りも質素で長時間乗車には向かないし、そもそも荷物を載せることを考慮したサスペンションなので乗り心地も良好とは言い難いです。もちろん快適装備も充実はしていません。

 だから一般的なユーザーにおいては、価格だけを見て気軽に手を出すと火傷する可能性があるので、オススメできないのが正直なところ。質実剛健の意味をしっかりと理解した人だけに“買う資格”がある、まさにプロツールと言っていいでしょう。

※ ※ ※

 現在、新車で買えるライトバンとしてプロボックスのライバルといえるのはマツダ「ファミリアバン」と日産「ADバン」です。

 ただし、ファミリアバンはプロボックスとエンブレムが異なるだけのいわゆるOEMモデルなので、つまり実質的なライバルはADバンだけという状況になっています。

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