「ディーゼルは環境に悪い」、「時代遅れだ」。そんな声に対して「いや、燃費はガソリン車より良いし燃料代が安い」、「エンジンも力強くて良い」など、ディーゼルエンジンに対する印象は、今や二極化している感もある。
一般紙・誌には「ディーゼル走行禁止」など刺激的な見出しが躍るケースも目立つ。でも、実はこの表現、半分本当で半分間違っているというのが本当のところ。なぜなら、現時点ですべてのディーゼル車が走行禁止となっている都市は存在しないからだ。
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一方、将来性や環境性能も含めてディーゼルエンジンに課題があることも事実だ。そこで、良い意味でも悪い意味でも誤解が多いディーゼル車について、自動車専門メディアの視点から解説したい。
文:御堀直嗣
写真:Adobe Stock、編集部
今や日本はディーゼル天国!? 欧州との“落差”のワケ
ディーゼルエンジンからの撤退が報道される欧州市場に対し、国内市場ではマツダが、そして輸入車メーカーでディーゼル車の品揃えが充実している。その落差はどこにあるのだろうか。
欧州では、ディーゼル車の市場はもともと20%ほど継続的にあって、普及は小型車が中心だった。ところが1997年の京都議定書以降、先進国を中心としたCO2排出量削減が求められ、車の燃費を大きく改善する必要が出た。日本では、トヨタを中心にハイブリッド車の普及でそれを乗り越えようとしたが、欧州はディーゼル車で乗り切ろうとした。
もともとあったディーゼル市場を、小型車から上級車種まで広げることにより、特に燃費の悪い大柄な上級車種の燃費を向上させようとしたのだ。そのほうが新たにハイブリッド車を開発するより、従来のディーゼル技術の改良で済ませられるからでもあった。
しかし、当時のディーゼルエンジンは、日本でも1999年に東京都がディーゼル車NO作戦を展開したように、大気汚染物質の排出がガソリンエンジンに比べ多かった。
それでも欧州がディーゼル化へ踏み切った背景には、欧州の都市が、たとえ国の首都であってもそれほど人口が密集していなかったためである。
それに対し日本は、100万人以上の人口をかかえる都市が国内に十数あるので、たとえ商用車を中心としたディーゼル車でも大気汚染をもたらし、ディーゼルNO作戦に依存しなければならない事情があった。
実は全車ではない!? 欧州のディーゼル車「走行禁止」
市場の50%にまでディーゼル車が普及した欧州でも、いよいよ都市部を中心に大気汚染が身近な問題になった。なおかつ、彼らがディーゼル化を推進した2000年以降のディーゼル車は、ユーロ4と呼ばれる排ガス基準で、それはディーゼルNO作戦を発端とした日本の新基準には及ばない水準であった。
その後、ユーロ5、ユーロ6と基準が厳しくなり、日本のポスト新長期規制と並ぶようになったが、今日なお欧州の道を走るディーゼル車は、古い排ガス規制のままの車が存在する。それによって、都市の大気汚染が即座には改善されずにいるのである。
たとえばドイツでは、ハンブルグに続いてダイムラーやポルシェのお膝元であるシュツットガルト市で、「ユーロ4以前」のディーセル車の乗り入れが、2019年1月から禁止される。それでも帯域汚染が改善されない場合は、「ユーロ5」も同規制を受ける予定だ。
ハンブルグでは、すでに2018年5月から一部の道路で「ユーロ5以前」のディーゼル車の乗り入れが禁止されている。
また、フランスではパリ市長が2022年に「ユーロ3以前」のガソリン車と、「ユーロ4以前」のディーゼル車の通行禁止を予告し、2024年にディーゼル車は完全禁止、2030年にはガソリンも含め走行の禁止を予定する。
そこで、一気に電動化という話になる。
車種によってマチマチ? 「尿素水」補給必須のディーゼル車も
電動化への道筋は、しかしまだ道のりが長い可能性はある。だが、ディーゼル車も今日のユーロ6に適合させるには、排ガス装置にそれなりのコストを掛けないと達成できない。その象徴的な事件が、フォルクスワーゲンのディーゼル排ガス偽装問題だ。
直噴ガソリンエンジンと同等の排ガス基準を実現するには、EGR(排気再循環装置)と尿素SCR(選択触媒還元)という排ガス対策が不可欠だ。
この方式は、ダイムラーと日産ディーゼル(現在のUD)が率先して採用してきたが、コストが掛かるため、他の自動車メーカーは採用に消極的だった。しかし、それによって排ガス偽装という不祥事に至るのである。
今日では、コストを掛けてもEGRと尿素SCRを装備しないと、ディーゼル車は売れない状況にある。
それに対し、マツダはEGRを採用するが、尿素SCRは用いずに現在のポスト新長期規制を達成している。原理原則に基づいたエンジン開発の成果だ。それがSKYACTIVである。
ガソリン車と最新ディーゼル車 排ガスレベルと日欧の実態は?
また、原油を精製してガソリンを作る際、軽油や灯油といった他の石油製品も同時に生産され、出てくる。したがってガソリンだけでなく、軽油も国内で消費するのが、CO2排出量の抑制と、地産地消の観点からも有益であるとマツダは説明する。
一方で、ガソリンエンジンも直噴化されたことで、従来はディーゼルからのみの排出であったPM(粒子状物質)が排出されるようになり、現在のポスト新長期規制ではガソリンエンジンもPM規制の対象となっている。
たとえ最新の規制を満たしていても、排ガスがゼロになったわけではない。まして、欧州に比べ人口密度の高い日本においては、都市部に再び大気汚染が発生する可能性がなくはない。実際、首都圏では、冬の晴れた日の地平線沿いにスモッグによる褐色の空が再び現れはじめている。
日本が電動化によるハイブリッド車を牽引してきたように、さらなる電動化による電気自動車(EV)の普及を促進することが、CO2排出量の削減に加え、大気汚染を防止することを両立できるのである。そこに、欧州は気付きはじめている。実際、欧州市場で消費者のディーゼル離れが起きているのもそのためだ。
一方、ガソリンのオクタン価の問題で、日本においては輸入車のほぼすべてがプレミアムガソリン仕様となっている。欧州では、欧州のレギュラーガソリンで乗れている車種が、日本ではプレミアムガソリン仕様となってしまうのである。このため、燃料代を安く上げたい人を中心に、ディーゼル化に動いている節がある。
高価な輸入車に乗りながら、燃料代を節約するのかとも思えるが、小型車などで日本車と競合する車種であれば、燃料代を安く上げたい気持ちは起こる。国内におけるレギュラーとプレミアムの棲み分けが、グローバル化できていない課題もある。
米国では、オクタン価の違いによりガソリンが数種類売られている。一方、欧州は、日米に比べ一般市街地での走行速度も速く、高速道路の制限はドイツを除き130km/hなので、やはり高速走行が多くなる。そこから、レギュラー仕様のオクタン価が定められているのだろう。
市場性の違いも、国内の消費者が輸入車でディーゼルを選ぶ傾向を強めているともいえる。
専門家の視点からみたディーゼルの将来性
ディーゼル車を販売する側は、低速トルクが大きいので力強く発進し、高速道路などでの巡行も軽くアクセルペダルを踏んでいればいいので楽だと言う。だが、モーター走行ならもっと楽だ。もちろんCO2も排ガスもゼロである。
なぜ、日本の消費者がもっとEVへ目を向けないのか不思議だ。車種の品揃えがまだ不十分であるのも事実だろう。とはいえ、日産のe-POWERへの期待は高い。モーター走行がいかに快適であるかを喜ぶ消費者が増えている。また日産リーフの所有者は、「距離ではなくクルマの良さに惚れた」と語る。
そろそろガソリンかディーゼルかの話も終わりにしてはどうだろう。
モーター走行であれば、あらゆる問題は解決し、さらにアクセルによるワンペダル運転は、ペダル踏み替えでの空走時間をなくし、安全にも寄与する機能である。静かさと振動の無さは、高級車の条件でもある。
エンジンと「さようなら」をする選択肢を考えてはどうだろう。それが、私のお勧めである。
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