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最大81ps増しのアップデート フォルクスワーゲンID.4へ試乗 優れた能力を底上げ

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最大81ps増しのアップデート フォルクスワーゲンID.4へ試乗 優れた能力を底上げ

順調とはいえなかったID.4のスタート

フォルクスワーゲンID.4のスタートは、順調とはいえなかった。COVID-19が不意に流行し、世界中がロックダウン。半導体不足へ陥り、追い打ちをかけるようにロシアのウクライナ侵攻が勃発。部品供給が遅れ、生産は滞った。

【画像】最大81ps増しのアップデート フォルクスワーゲンID.4 競合サイズのバッテリーEVはコレ 全140枚

加えて定評のあるブランドが故に、航続距離や内装の品質、安定しないインフォテインメント・システムなどに不満が寄せられた。同価格帯のライバルと比較し、明確に劣っていたわけではなくても。

2023年に入り、少なくともウイルスを原因とする状況は改善。フォルクスワーゲンは改良を加えることで、ID.4の形勢を立て直そうとしている。既に、世界で最も売れているバッテリーEVではあるのだけれど。

今回の改良は、あくまでも年次的なアップデートだという。それでも、2024年仕様ではパワートレインの能力が大幅に向上。各部の制御ソフトウェアも、しっかりバージョンアップされている。

インフォテインメント・システムもソフトウェアが最新版になり、タッチモニターは大型化。夜間に操作しにくいと指摘されていた、エアコンの温度調整などを担うタッチセンサー式のスライダーにも、イルミネーションが実装された。

ステアリングホイールのデザインも一新。小さなメーター用モニターの横に突き出ていたシフトセレクターは、ステアリングコラム側へ移された。

後輪駆動版は81ps増しの286psへ

リア側の駆動用モーターは、パサート・クラスのバッテリーEV、ID.7が搭載するAP550型という新しいユニットへ置換。シングルモーターの後輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動、2種類が設定されることに変わりはない。

後輪駆動のID.4 プロ・パフォーマンスでは、従来より81psと23.8kg-mもパワフルになり、286psの最高出力と55.4kg-mの最大トルクを発揮する。かなりの増強といえる。

四輪駆動のID.4 プロ 4モーションでは、システム総合での最高出力が299psで、50ps増しとなる。トップグレードのID.4 GTXでは、40ps増しの340psを獲得。シングルスピードのリダクションギアも、改良を受けている。

これほどの数字の変化だから、実際に発進させてみると予想通り出だしから鋭い。中間加速にも、常に豊かなパワーが控えている印象がある。滑らかで洗練された質感は変わらず、パワーデリバリーは一層リニアで、扱いやすさも向上したようだ。

0-100km/h加速時間などはまだ発表されていないが、フォルクスワーゲンは大幅に短縮したと主張する。最高速度も、160km/hから180km/hへ高まった。

新しい駆動用モーターは、熱の制御を改善することで、高い能力を安定的に発揮することも可能になったという。実際、アクセルペダルを繰り返し深く踏み込んでも、加速の勢いに目立った変化は見られなかった。

内装も更新 タッチモニターは12.9インチへ拡大

駆動用バッテリーの直流から駆動用モーターの交流へ電気を整える、インバーターのソフトウェアも新しいという。これも、高効率化へ貢献している。

ID.4 プロ・パフォーマンスが積む、77kWhの駆動用バッテリーも改良。純正ナビにはビークル・ルートプランナーという、最寄りの充電器を教えてくれるシステムが備わるが、それと連携し、予めバッテリーの温度を最適化する機能も追加されたという。

急速充電能力は、四輪駆動版で135kWから175kWへ高速化。シングルモーターの後輪駆動版は、従来どおりとのこと。

ステアリングは、手のひらへ伝わるフィードバックが増えている。セルフセンタリング性も良くなったようだ。

アダプティブダンパーが組まれる、オプションのダイナミック・シャシーコントロール・システムもアップデート。ソフトウェアが更新され、センサーが追加され、一層スムーズな乗り心地を実現している。

インテリアは、当初の不満へしっかり応えている。インフォテインメント用モニターは、従来の10.0インチや12.0インチより大きい、12.9インチを獲得。メニュー構造がシンプルになり、音声対話型のインターフェイスも実装された。

センターコンソールの収納は大きくなった。内装の素材も一新されている。それでも、ライバルと比べて知覚品質や堅牢性で優位になった、とまではいえないだろう。

優れていた能力が底上げされた

最終的な仕様や価格が公表され、長時間試乗する機会を得るまで、2024年仕様のID.4を評価することはできない。しかし今回の印象の限り、優れていた能力が底上げされたことは間違いない。

パワフルになったことで、ドライビング体験の魅力度も増している。車載機能のインターフェイスも改善した。販売数を更に伸ばすであろうことは、充分予想できる仕上がりだと思う。

フォルクスワーゲンID.4 プロ・パフォーマンス(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万5000ポンド(約814万円/予想)
全長:4584mm
全幅:1852mm
全高:1640mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:6.8秒
航続距離:531km(予想)
電費:6.2km/kWh(予想)
CO2排出量:−g/km
車両重量:2100kg(予想)
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:77.0kWh(実容量)
急速充電能力:135kW(DC)
最高出力:286ps
最大トルク:55.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション(後輪駆動)

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