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約7年ぶりの快挙! N-BOXの首位を陥落させたワゴンRスマイルの実力

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約7年ぶりの快挙! N-BOXの首位を陥落させたワゴンRスマイルの実力

 2021年9月10日に発売された、スズキワゴンRスマイル。ワゴンRをベースに、丸目の愛らしいヘッドライトを採用し、スライドドアを装着したモデルだ。

 このワゴンRスマイルが、ワゴンR全体の販売を押し上げて、なんとワゴンRが2021年10月の軽自動車新車販売台数NO.1に輝いたのだ。

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 軽販売NO.1の常連といえば、常勝N-BOXをはじめ、タント、スペーシアなどスーパーハイトワゴンが定位置だったのだが、少し背の低いハイトワゴンのワゴンRがNO.1になるのは、実に2014年12月以来、約7年ぶりの快挙達成となった。

 またyahoo! が実施した、「自動車の検索急上昇ランキング2021(集計2021年1月~11月30日」においても軽自動車部門で1位を獲得。

 まさにワゴンRがNO.1となった牽引役のワゴンRスマイルのどこに魅力があるのか、モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が徹底解説する。

文/渡辺陽一郎
写真/ベストカーweb編集部、スズキ

[gallink]

■軽自動車の売れ筋はスーパーハイトワゴンの御三家が人気独占状態!?

12月16日に一部改良となった「王者」ホンダN-BOX。電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドを装備。今年で発売10周年。登場以来販売台数は日本の新車販売のトップランクの常連だ

軽スーパーハイトワゴンの「元祖」ダイハツ「タント」。2代目より大開口ミラクルオープンドアを採用し、現行モデルに至る。今でもスーパーハイトワゴン中で利便性はNo.1だろう


12月3日に発表されたマイナーチェンジモデルのスペーシア。スペーシアはフロントグリルが新デザインのメッキグリルに変更され、スズキコネクトやスマートフォン連携の大型9インチメモリー機能付きナビ、車線のはみださないようにサポートする車線逸脱抑制機能や狭い道での接触防止をサポートするすれ違い支援機能を搭載し安全性が向上・

 今は国内で販売されるクルマの40%近くが軽自動車になった。その中でも特に販売比率が多いのは、ミニバンのように背が高く、後席側のドアをスライド式にしたタイプだ。このスーパーハイトワゴンと呼ばれるタイプが、軽乗用車の半数以上を占める。

 そのために月別に集計される軽自動車の販売ランキングを見ても、上位にはN-BOX、スペーシア、タントが並ぶ。いずれも全高が1700mmを上回るスライドドアを装着したスーパーハイトワゴンの軽自動車だ。

 この人気動向についてメーカーの商品企画担当者は「今の30歳以下のお客様は、子供の頃からスライドドアを備えるミニバンに親しんで育った。その便利さを知っているので、大人になってもスライドドアを備えた車種を選ぶ。ミニバンだけでなく、軽自動車でもスライドドア装着車が好まれる」という。

 たしかに軽自動車に加えて、コンパクトカーでもスライドドアを備えた背の高いルーミーが人気だ。

 2021年1~10月の1ヵ月の平均登録台数は、約1万1300台に達した。ルーミーの売れ行きは、1ヵ月の平均届け出台数が約1万6000台に達するN-BOXにはおよばないが、スペーシアの約1万1200台、タントの約9500台よりは多い。

 またLサイズの普通車でも、ミニバンのアルファードは、1ヵ月の平均で約8400台を登録している。このように軽自動車からLサイズのミニバンまで、今は背の高いスライドドアを備えた車種が人気だ。

 トヨタの販売店からは「ミニバンの需要は意外に根強い。子育てを終えたお客様が、コンパクトカーに乗り替えることもあるが、ヴォクシーやノアを購入されることも多い。要するにミニバンはそれだけ便利で、特にスライドドアは人気の装備になっている」とコメントした。

■「軽ハイトワゴンにもスライドドアが欲しい!」に応えワゴンRスマイル登場

ワゴンRに新種「スマイル」が登場!若干男っぽいスタイルだったワゴンRに対して、可愛さ+スライドドアを採用で乗る人すべてを「スマイル」にする! 


■2021年10月軽自動車新車販売台数
1位:スズキワゴンR(ワゴンRスマイル含む)/8808台(179.7%)
2位:日産ルークス/8696台(123.0%)
3位:ホンダN-BOX/7442台(46.4%)
4位:スズキスペーシア/6319台(51.6%)
5位:スズキハスラー/5416台(82.9%)
※スズキは車種別(ワゴンR、ワゴンRスマイル)の販売台数は未公表

 ところが2021年10月の軽自動車の新車販売台数を見ると、異変が生じている。軽自動車の販売ランキングで、ワゴンRが1位になったからだ。2位はルークスで、軽自動車販売NO.1の常連となるN-BOXは3位に下がった。スペーシアは4位だ。

 なぜ順位が大幅に入れ替わったのか。スズキの販売店に尋ねると以下のような返答だった。「今は(2021年9月から納車を開始した)スライドドアを装着する新型車のワゴンRスマイルが好調だ。

 ワゴンRスマイルは、ワゴンR全体の50%前後を占める。しかもワゴンRスマイルは、納期が1~2ヵ月に収まり、4ヵ月前後を要するソリオなどに比べて短い。各メーカーとも納期を遅延させている中で、迅速に納車できることも、ワゴンRスマイルが人気を高めた理由だ」。

 好調に売れているだけに、新型ワゴンRスマイルを含んだワゴンRの届け出台数は、2021年10月には前年の179.7%に達した。その結果、軽自動車の販売1位になっている。

ドアの大きさに対して開口部が意外にせまっ・・と思われるかも。実は背の低いクルマにスライドドアを設定するには構造的な難しさがあり、技術者の苦心の跡が見られる

 ワゴンRスマイルのユーザーは、どのような車種から乗り替えているのか。この点も販売店に尋ねた。

 「ワゴンRのお客様には、もともとスライドドアが欲しいと思っていた方が多い。そのためにワゴンRスマイルの販売でも、ワゴンRの下取り車が豊富に入っている。お客様の年齢層は幅広く、ワゴンRスマイルは女性向けに開発された商品ではあるが、実際には青色(インディゴブルー)のボディカラーを中年の男性が購入されることもある」。

 ちなみに開発者は「ワゴンRのお客様をリサーチしたところ、約40%がスライドドアの装着を希望された。スペーシアでは背が高すぎるので、ワゴンRのスライドドア仕様が欲しいというお客様も多かった。そこでワゴンRスマイルを開発した」と説明する。

 スライドドアを装着しながら、全高を1700mm以下に抑えた軽自動車のニーズは高く、それに応えたことでワゴンRスマイルも好調に売れている。

元祖ハイトワゴンでスライド車の「ムーブ キャンバス」これまでにないコンセプトが受け、ムーブシリーズの売れ筋モデルとなった

 そしてワゴンRスマイルに類似した車種として、ダイハツは2016年にムーヴキャンバスを発売している。この車種もヒット作になり、ワゴンRスマイルはその後追い商品として開発されている。

 販売店からは「スズキにはムーヴキャンバスみたいなクルマはないのか? と尋ねるお客様も多かった」という話も聞かれた。

 軽自動車のスライドドアに対するニーズは、メーカーを問わず根強く、ワゴンRスマイルも「スライドドアのワゴンRが欲しい」「スペーシアでは背が高すぎる」と考えるユーザーを中心に乗り替えが進んだ。

12月16日の一部改良で足踏み式パーキングブレーキから全グレード電動パーキングブレーキやオートブレーキホールド、渋滞追従機能付きACCを全グレード標準装備(honda SENSING)。これで落ち込んできた販売台数も挽回し、年間新車販売台数NO.1&軽販売NO.1の座も確実!?

N-WGNに先行搭載されていた電動パーキングブレーキがついにN-BOXにも採用され、ACCも全車速対応になってまさに抜け目なし

現行型にも踏襲されるミラクルオープンドア。軽自動車らしからぬ大開口を実現。N-VANには採用されたが、乗用モデルでの採用は未だタントのみだ。やはり重量やコストの面で不利なのか

 一方、ホンダの販売店でN-BOXについて尋ねると「N-BOXの納期は、12月16日の一部改良を控えて約4ヵ月まで延びている」という。新型コロナウイルスによるパーツ不足に加えて、一部改良まで実施するから、2021年10月のN-BOXの届け出台数は前年同月の46.4%まで落ち込んだ。

 タントは36.4%だからさらに少ない。ワゴンRスマイルと同じスズキのスペーシアも対前年比は51.6%で、背の高いスライドドアを備えた人気車種の多くが、納期の遅延で売れ行きを下げた。

 その一方でワゴンRスマイルは、スズキのセールスマンが述べた通り「納期も1~2ヵ月」に収まるから、販売面で追い風になった。同様のことが日産ルークスにも当てはまる。2021年10月の新車販売台数は、前年同月の123%だ。

 販売店によると「ルークスの納期は約3ヵ月だが、短くなる傾向もある」という。ワゴンRスマイルの1~2ヵ月に比べると長いが、極端ではない。そこで2021年10月の軽自動車販売ランキングも、1位がワゴンR(スマイルを含む)、2位がルークスになった。

 しかし今後の動向は分からない。ホンダの販売店によると「N-BOXは改良によって電子制御式パーキングブレーキを装着するなど、運転支援機能を大幅に進化させる。従来以上に人気を高め、現時点でも改良後のN-BOXについては多くの受注を抱えている」という。

 N-BOXやタントは、今は新車販売台数が低いが、受注を貯め込んでいるから今後の届け出台数は増える。ワゴンRスマイルの本当の人気度が試されるのもこれからだ。

■スズキvsダイハツの熾烈なシェア争い!今後はハイブリッドの拡充が焦点か

12月10日にフルモデルチェンジを果たしたアルト。前モデルではコスト優先でエネチャージだけだったが、新型は上級モデルにマイルドハイブリッドを搭載。WLTCモードで27.2km/Lを達成

 その一方で「ダイハツVSスズキ」という軽自動車メーカー同士の販売合戦も気になる。2021年1~11月の販売累計は、スズキが47万842台、ダイハツは48万7839台になるからだ。まさに接戦となった。

 両車の販売合戦を振り返ると、1973~2006年まではスズキが一貫して1位だったが、2007年以降はダイハツがトップを取る年が多い。それが今年は再びスズキが1位になる可能性が生じてきた。

 2014年にもスズキの先代(初代)ハスラーが発売されて両社が接戦になり、12月には在庫車を一斉に中古車市場に放出して、届け出台数を粉飾した(2014年12月の届け出台数はスズキが前年の1.5倍でダイハツも1.4倍)。

 その結果、僅差でスズキが1位に返り咲いたが、中古車市場の流通台数も増えて中古車価格が値崩れを起こし、リセールバリュー(中古車価格とユーザーの売却額)を下げてしまった。このような結果を招くとユーザーの不利益になるが、割安な特別仕様車の追加設定などは、商品の買い得度を強める。

 また2021年1~11月におけるダイハツとスズキの新車販売台数をカテゴリー別に見ると、乗用車はダイハツが34万6780台、スズキは36万9815台と多い。ダイハツは軽商用車では上まわるが、軽乗用車は弱いのだ。

 しかもスズキにワゴンRスマイルが加わった今、ダイハツとしては、軽乗用車の売れ行きを増やす強力なセールスポイントが欲しい。それが今後登場する軽自動車のハイブリッドだ。

11月1日のマイナーチェンジでe-スマートハイブリッドを追加したロッキー&ライズ。軽にも採用可能な安価なハイブリッドとしてダイハツが出した結論がシリーズハイブリッドだった

 11月1日、ロッキー&ライズに搭載されたe-スマートハイブリッドをベースに、軽自動車用にアレンジして、20万円前後の価格アップで主力車種に搭載する。

 20万円という金額は、タントであれば標準ボディとカスタム(エアロ仕様)の価格差に近く、環境技術の価格としてもギリギリで許容範囲に収まる。今後のダイハツの軽自動車は、e-スマートハイブリッドを先進機能の中核に据えて売れ行きの増大を図る。

 このようにスライドドアとワゴンRスマイルの人気が、環境技術という規模の大きなテクノロジーを加速させる側面もあるわけだ。

ダイハツは新型アトレー、ハイゼットの発表会でe-スマートハイブリッドの軽への展開を発表、軽EVについても補助金含め100万円台での投入すると明言

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みんなのコメント

89件
  • ワゴンRスマイルはワゴンRと合算。普通車だとヤリスシリーズが合算、カローラシリーズも合算なのに、なんでN-BOXはNシリーズで合算じゃないのでしょうか?
    素朴な疑問。
  • モータージャーナリストは、最初中途半端でこれは全く売れないという評価だったよね
    私もそう思っていた
    ほんとわからないね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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