この記事をまとめると
■アメリカの大部分ではマイカーが必須だ
アメリカじゃけっこう見かける自動運転タクシーの実証実験車! 日本とは違う「無人化」の目的とは
■かつてガソリンは水より安いといわれていた
■最近ガソリン価格が不安定なのは陰謀だとの噂が出るほどになっている
かつてのアメリカは水よりガソリンが安かった
ニューヨークなど一部の大都市を除けば、マイカーがなければ日々の生活が成り立たないのがアメリカ。そのなかでも都市部でありながら、とくにクルマへの生活依存が高いといえるのが、ロサンゼルス市及び周辺地域といえるだろう。
そんなロサンゼルスの生命線のひとつが「ガソリン」だ。筆者が35年前に初めてアメリカを訪れたとき、ガソリン価格は「水より安い」とされていた。ただ、本稿執筆時点での全米平均ガソリン価格は1ガロン(約3.78リットル)3.212ドル(約475円)となっており、ロサンゼルス地域は4.758ドル(約704円)となっている。
全米でも底値レベルのひとつであるテキサス州の平均価格は2.804ドル(約414円/1リットルあたり109円)というから、ロサンゼルスの人や日本から見ればうらやましい限りである。しかし、35年前はロサンゼルス地域でも1ガロンあたり76セント(約112円)あたりとなっていた。ここ最近は円安傾向とはいえ、当時よりは……と思って調べると、1989年の為替相場が1ドル137円だったことに別な意味で驚いてしまった。
話を戻すと、当時借りていた日産セントラ(サニー)で、タンク半分くらいになってから満タンまで給油しても、たしか円換算で400円ぐらいだったのを覚えている。
お互い課税基準の違いなどはあるが、単純換算では日本とロサンゼルス地域の差はわずかというか、ロサンゼルス地域のほうが乱高下は激しいので(まれに製油所などが爆発することがあり、そんなときは一時的に1ガロンあたり10ドル以上になったりもしていた)、日本以上になることもある。
先述のように、アメリカの大部分は日々移動手段としてクルマに頼らざるを得ず、ましてや日本のように通勤交通費も支給されないなかでは、ガソリン価格の変動は生活に直接影響を与えかねないのである。
日本ではガソリンスタンドの廃業が相次いでおり、過疎地域だけではなく、大都市部でもガソリンスタンドを探すのに苦労するようになったが、一方でロサンゼルス地域では星の数ほど……とまではいかないが、ガソリンスタンドは数多く存在する。
日本ではガソリンスタンドが隣接していたりすると、スタンドによって価格に大きな差はないが、ロサンゼルス地域では隣り合っていても価格に大きな差がつくことがある。また、毎日のようにニュースで各地域のガソリン価格情報を報じている。「あそこのスーパーは卵が安い」ではないが、その情報を見て給油先を決めている人も珍しくないという。
BEVが普及している一方で充電器が足りてない
かつて現金での給油が多かったころは、給油ポンプ前にクルマを停めてドアロックをしてからキャッシャーへ行き、ポンプ番号を告げ、たとえば20ドルを渡せば20ドル分給油可能となっていた。また、キャッシャーで「20ドル分」といってクレジットカードで払うことも可能であった(いまもキャッシャーでの支払いはできる)。仮に20ドル未満で満タンになると、キャッシャーへ行けばお釣りがもらえた。そしてこれはいまも残っている。
いまは各ポンプにクレジットやデビッドカードでの決済機能があり、ほとんどの人はカード決済で給油している。ただ、アメリカではICチップ付きのクレジットカードの普及がほんの数年前であり、それに対応していないポンプや、そもそも海外発行カードということもあるのか(ZIPコード[郵便番号]入力を要求されることもある)、筆者を含む旅行者はカードが使えないところもまだまだ多い。ただ、シェル系スタンドではほぼすべてアップデートできているようで、そこでは筆者のカードも使えるようになっていた(筆者のカードだけの問題かもしれないが)。
2023年の同じ時期に訪れたときは滞在中にみるみるうちにガソリン価格が上昇し、1ガロンあたり6ドルを超えていたが、今年は4ドル50セントぐらいで安定しており、なかには4ドルを切るスタンドも存在していた。
これがカリフォルニア州ではなくネバダ州へいくと、ガソリン成分が異なるということもあるが、ガロンあたり3ドル50セントぐらい(約518円)で推移していた。日本でも給油の需要が多いバイパス沿いや、東京隣接県よりガソリン需要の多い北関東のほうが価格が高いなど、ある程度需要と供給という資本主義の原則が作用することもあるので、カリフォルニアでもそれが作用しているのかもしれない。
ちなみに、最近のガソリン価格高値安定の動きに対して、BEV(バッテリー電気自動車)普及を図ろうとする組織の陰謀説まで飛び交っていたりするのはアメリカならではの事情といったところだ。
BEV向けの充電設備は、スーパーやホームセンターのような駐車場で一定以上の広さがあれば当たり前のように設置されているが、実際はBEVの普及台数には追い付いていないようで、場所によっては充電待ちの列ができていた。BEV普及のめざましいカリフォルニアでも、こういった事情もあってか、ガソリン車より面倒くさいイメージがあるようだ。
そうなると、ガソリン価格の高値安定が続くなか、燃費性能がよく給油頻度が減りガソリン代負担軽減にもつながる、日本メーカーのHEV(ハイブリッド車)が注目され、よく売れるというのも自然の流れのように見えてくる。
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