現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ドゥカティ パニガーレ V4S試乗──速さだけでない、快適さまでも備えたスーパースポーツ

ここから本文です

ドゥカティ パニガーレ V4S試乗──速さだけでない、快適さまでも備えたスーパースポーツ

掲載 更新
ドゥカティ パニガーレ V4S試乗──速さだけでない、快適さまでも備えたスーパースポーツ

伝統のL型ツインエンジンに変わって、デスモセディチ・ストラダーレと呼ばれるV型4気筒のエンジンを搭載したスーパースポーツ。空力をはじめ大幅な改良を受けた2020年モデルに試乗、モンスターマシンは意外にも“フレンドリー”でもある。

想像以上のパワフルさに対応した空力性能に

世界最速のフェアレディZを公道で試す! 前編──連載「西川淳のやってみたいクルマ趣味、究極のチャレンジ 第5回」

2018年にデビューしたパニガーレV4は歴史に残る衝撃的マシンであった。ドゥカティ伝統のL型ツインエンジンに変わって、デスモセディチ・ストラダーレと呼ばれるV型4気筒のエンジンを搭載。214psという驚愕の最高出力だけでなく、逆回転クランクの採用等、リアルモトGPマシンレプリカともいえる仕上がりとなっていた。

ドゥカティの量産市販モデルとしては初となる4気筒マシンであるが、そのフィーリングは同社のL型ツインエンジンの延長線上にあるかのようなビート感とサウンドにも驚かされたのである。

反面、そのパワフルさは想像以上でもあった。高回転で炸裂する頭打ち感のない加速力。高荷重設定となっている車体とあいまって、ちょっとやそっとでは乗りこなせないような雰囲気に包まれていた。

そんなパニガーレV4が、早くも2020年に大幅な改良を行った。

パニガーレV4には、スーパーバイクレース参戦を目的としたV4Rが存在する。V4の排気量は1103ccであり、多くの公式レースにはレギュレーション上参戦できない。そこで、市販バイクをベースに争われるスーパーバイク選手権のレギュレーションに合わせた999ccのV4Rが2019年にデビュー。より高回転型のエンジンスペックを持ち、高速域でダウンフォースを生み出すウィングレットを装備した、レース用ベースマシンであった。

2020年モデルとなるV4は、そのV4R譲りとなるウィングを新たに装備。このウィングは単純に従来型に取り付けられたものではない。フェアリング形状をトータルで設計しないとまったく効果がないどころか、かえってマイナスになってしまうという。従来型のV4よりも、ベースとなるフロントフェアリングがワイドになっているのはそのためである。これにより、時速270km/h時で30kgのダウンフォースが稼げるとのことだ。2018年にバレンシアサーキットで行われた従来型の試乗では、メインストレートを約300km/hからブレーキングしても加速力は衰えることなく、フロントホイールがフラフラするような挙動があったのだが、こういった症状を抑えるのに効果的なのだろう。

また、フレームもV4Rに採用された、従来型フレームに大きな穴が開けられた新型を採用。新型では剛性コントロールが進み、よりしなやかな車体回りに改良されたという。

Alberto Cervetti低速域の乗りやすさが格段に進化した

強烈なエンジン性能。そしてウィングレットを装備したV4は、従来モデルにも増したオーラを放っている。

ところが、走り出したV4は意外な優しさを持っていることに驚かされる。低回転域でのコントロール性が格段に向上しており、スムーズなレスポンスになっているのだ。V4は高回転重視のマシンで、従来型ではそれが随所に感じられた。まだ先があるぞ! とけしかけられているようなプレッシャーが新型にはなく、全く違うマシンかと感じさせるほどスムーズになっているのだ。

もちろん、その本領はそこから先にあることは変わらないのだが、国際級のサーキットでなければ体感できないような領域でなくとも満足出来る、フレキシブルさが向上しているのである。

さらに、低速域でも前後タイヤの接地感がすこぶる高いのも従来型とは異なるところ。標準で装着されているピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSPの高いグリップ力はこれまで通りだ。高荷重設定のマシンはサスペンションがハードになりがちであるが、あたりがソフトで乗り心地も悪くない。聞けば、前後サスペンションのバネレートと減衰力も落とされているとのことで、これまた全く違うマシンに乗っているかのようなスムーズさとイージーさに驚かされた。

今回テストしたのは前後にオーリンズ製セミアクティブサスを装備したSバージョン。その状況に応じたダンピング設定に加え、もともと備わったフリクションの少なさがよりそう感じさせるのだろう。さほどスピードレンジの高くないワインディングを走らせる時でさえ、ストレスが少なくなっている。

本領を発揮すれば驚くほど速いのは間違いないが、それを味わわなくとも満足できるフレンドリーさがV4の魅力をより幅広いものとしているのだ。

文・鈴木大五郎 写真・Ducati Motor Holding 編集・iconic

こんな記事も読まれています

角田裕毅に4万ユーロの罰金。F1オーストリアGP予選中の暴言で国際スポーツ競技規則に違反
角田裕毅に4万ユーロの罰金。F1オーストリアGP予選中の暴言で国際スポーツ競技規則に違反
AUTOSPORT web
BMW『M5』新型は最高速305km/hのHEVに、ワールドプレミアは7月11日…グッドウッド2024で
BMW『M5』新型は最高速305km/hのHEVに、ワールドプレミアは7月11日…グッドウッド2024で
レスポンス
セルフ式ガソスタで「給油口カンカン」は絶対NG! でも一体なぜ危険なの? 熟練ドライバーもやりがちな「うっかり行為」に潜む危険とは
セルフ式ガソスタで「給油口カンカン」は絶対NG! でも一体なぜ危険なの? 熟練ドライバーもやりがちな「うっかり行為」に潜む危険とは
くるまのニュース
今更聞けない!? 日本にある4大バイクメーカーの特徴とは?
今更聞けない!? 日本にある4大バイクメーカーの特徴とは?
バイクのニュース
レッドブルF1重鎮、フェルスタッペンとノリスのトップ2激突は「完全に不必要」チーム自ら招いたピンチとも示唆
レッドブルF1重鎮、フェルスタッペンとノリスのトップ2激突は「完全に不必要」チーム自ら招いたピンチとも示唆
motorsport.com 日本版
2択アンケート「近距離の足として使うなら、原付? 電動アシスト自転車?」【クルマら部 車論調査】
2択アンケート「近距離の足として使うなら、原付? 電動アシスト自転車?」【クルマら部 車論調査】
レスポンス
改良型CX-60の魅力まとめ
改良型CX-60の魅力まとめ
グーネット
国内最高峰 トヨタ「センチュリー」の新車価格は2000万円超え! 買うために必要な年収とは? 厳しいといわれる“購入の条件”とは
国内最高峰 トヨタ「センチュリー」の新車価格は2000万円超え! 買うために必要な年収とは? 厳しいといわれる“購入の条件”とは
VAGUE
”まもなく登場!?”の新型「ロードスター」! 2リッター”直4”+精悍エアロ採用! 待望の「RS C」はどんなクルマなのか
”まもなく登場!?”の新型「ロードスター」! 2リッター”直4”+精悍エアロ採用! 待望の「RS C」はどんなクルマなのか
くるまのニュース
Luupが「電動シートボード」提供開始へ…座席・カゴ付きの特定小型原動機付自転車
Luupが「電動シートボード」提供開始へ…座席・カゴ付きの特定小型原動機付自転車
レスポンス
2024年5月の自動車輸出、欧州向け36%減 米国向けは10%増 自工会発表
2024年5月の自動車輸出、欧州向け36%減 米国向けは10%増 自工会発表
日刊自動車新聞
角田裕毅、F1オーストリアGPは14位。リカルドと分けた戦略がうまくいかず……「でも、チームとして理解が深まった」
角田裕毅、F1オーストリアGPは14位。リカルドと分けた戦略がうまくいかず……「でも、チームとして理解が深まった」
motorsport.com 日本版
新型BMW「M5」の全て!パワフルなルックスと700馬力を超えるパワーで2.4トン超の車重でもセンセーショナルな新型M5!
新型BMW「M5」の全て!パワフルなルックスと700馬力を超えるパワーで2.4トン超の車重でもセンセーショナルな新型M5!
AutoBild Japan
スズキ「斬新“タフ仕様”軽トラ」実車公開! 超カッコイイ「精悍“黒”顔」&「専用カスタム」! 新「スーパーキャリイ」アウトドアショーに出展
スズキ「斬新“タフ仕様”軽トラ」実車公開! 超カッコイイ「精悍“黒”顔」&「専用カスタム」! 新「スーパーキャリイ」アウトドアショーに出展
くるまのニュース
旭川空港でタクシーアプリ『GO』が利用可能に…北海道の空港で初の試み
旭川空港でタクシーアプリ『GO』が利用可能に…北海道の空港で初の試み
レスポンス
レクサス・NX「アウトドア×プレミアム」
レクサス・NX「アウトドア×プレミアム」
グーネット
「ライダーの所有欲をかき立てる」ハデ色が充実! 英国最大のバイクブランド発「カラフル&シック」な2025年モデルの魅力とは
「ライダーの所有欲をかき立てる」ハデ色が充実! 英国最大のバイクブランド発「カラフル&シック」な2025年モデルの魅力とは
VAGUE
京葉道路の“地獄渋滞区間”「貝塚トンネル」いつになったら改善!? 新トンネル建設で「車線増加」千葉県が国へ要望継続!「慢性的な渋滞です」
京葉道路の“地獄渋滞区間”「貝塚トンネル」いつになったら改善!? 新トンネル建設で「車線増加」千葉県が国へ要望継続!「慢性的な渋滞です」
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村