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フォルクスワーゲン ゴルフTDIは「遅れて登場した真打ち」。標準のゴルフとはあまりに違う走り味

掲載 更新 13
フォルクスワーゲン ゴルフTDIは「遅れて登場した真打ち」。標準のゴルフとはあまりに違う走り味

新型フォルクスワーゲン ゴルフのラインナップで、話題を集める中心グレードと言えば「GTI」だろう。しかし、本質的な価値という観点ならば「TDI」はそれに勝るほどの存在意義を備えている。「ベストスコア」と評したい充実ぶりを体感した。(Motor Magazine 2022年3月号より)

信頼できる強靭な骨格。誠実なクルマづくりの真価
今回のテーマは最新型のゴルフTDIだが、その前に私がゴルフに寄せる思いについて記したい。いまから47年前の1975年、初代ゴルフは時代の最先端をいくスタイリッシュなコンパクトカーとして日本デビューを果たした。少なくとも当時の日本において、ゴルフは、それを所有しているだけで自慢できるクルマだった。そして優れた実用性に加えて、スポーティな要素も兼ね備えているところも、忘れることのできないゴルフの魅力だった。

8代目フォルクスワーゲン ゴルフGTIの進化と本領。走るほどにその印象が強くなる

つまり、ゴルフはデビュー当時から多種多様な側面を備えていたわけだが、そうした数多くの価値を根底で支えていたのは、ファミリーカーとしての「誠実なクルマ作り」であったと私は捉えている。さらに言えば「誠実なクルマ作り」こそは、フォルクスワーゲンというブランドを支えるもっとも重要な価値、と言ってもいいと思う。

そして、この「誠実なクルマ作り」の頂点に位置づけられるモデルが、先代のゴルフ7だった。静粛性が高く、乗り心地は快適で、室内は広々としている。運転のしやすさや経済性にも文句の付けどころがない。そして何よりも安全極まりない操縦性を備えていて、品質が高く、どんな過酷な状況でも「アゴを出さない」骨太さを備えていた。まさにゴルフを代表するような存在だと言えた。

そして、その7世代目に用意されたゴルフTDIもまた、いかにもゴルフらしいクルマだった。優れた実用性や質感はそのままに、TDIらしい力強さと経済性の高さを備えていた。ディーゼルエンジンが発するノイズやバイブレーションは、同時代のモデルと比較して決してトップクラスに位置していたわけではないけれど、ゴルフという全体的な価値の中で捉えれば、目をつぶれない問題ではなかった。言い換えれば、ディーゼルエンジンを積むコンパクトカーを探している人であれば、誰にでも安心して勧められたのがゴルフ7のTDIだったのである。

ただし、新型ゴルフ8のTDIについては、実際に乗ってみるまでちょっとした心配を抱いていた。先に登場したガソリンエンジン仕様のゴルフ8に試乗した時に感じたのだが、足まわりに大きな衝撃が加わった際、何とはなしに心許ない感触が伴ったのである。 

別に、これによって進路が乱されるわけでもなければ、強い不安を抱いたわけでもない。衝撃を受けた直後に、かすかな振動が残ったように感じられただけのことで実用性や安全性には何の影響もない。でも、このことで私はゴルフ8に大いに落胆することになる。

なぜなら、こんなことで安っぽさを露呈しない「誠実なクルマづくり」こそ、ゴルフの、ひいてはフォルクスワーゲンの最大の価値だと捉えていたからだ。この「足まわりの微振動」は、ガソリンエンジンを積むゴルフ8に共通して感じられる傾向だったので、最新のゴルフTDIも同様の弱点を抱えているのではないかと心配でならなかった。しかし幸いにも、これは杞憂に終わる。

8世代目ゴルフのTDIモデルでは、サスペンションに大入力が加わっても微振動が残ることはなかった。おかげで、7世代目までのゴルフがそうだったように、その強靱な骨格に全幅の信頼を置くことができたのだ。

ディーゼルの魅力が勢揃い。期待どおりの性能を実感
もうひとつ嬉しかったことは、ディーゼルエンジンの発するサウンドや振動が、ゴルフ7のそれよりも大幅に軽減されていた点にある。そもそも、最新のゴルフTDIは、エンジン始動時にもディーゼル特有の身震いする様が感じられない。またディーゼルエンジンの開発では、低回転域で中負荷もしくは高負荷をかけた際のノイズ処理のハードルがもっとも高いとされるが、8世代目のゴルフTDIはこれも合格点が与えられる。

しかもエンジン回転の上昇はスムーズで、パワーのリニアリティも良好。それでいながら、ボトムエンドではディーゼルターボらしい圧倒的なトルク感が味わえる。つまり、ディーゼルの魅力がすべて揃っていて、ディーゼルの弱点が見当たらない。「これぞゴルフのディーゼル!」と言いたくなるような完成度なのである。

足まわりに強いショックが加わっても微振動が残らないことは前述のとおり。つまり、ボディのダンピング性能が優れているわけだが、こうなってくるとゴルフ本来の「柔らかいのに芯がある」乗り心地の良さが際立ってくる。

ハンドリングは例によって安定志向。積極的にコーナリングを試せば、それなりにボディはロールするが、そのような時でも4本のタイヤは安定したグリップ力を生み出すので、常に一定の安定感あるハンドリングを示してくれる。

とりたてて刺激的なところはないが、いつでもどんな時でも、安心してハンドルを握っていられる。いや、むしろ条件が悪くなった時にこそ、その安心感が際立つ。まさしく、私がゴルフに期待する性能を、最新のゴルフTDIは備えていたのである。

というわけで「新型ゴルフ8を買うならTDI」と、ゴルフファンの皆さんには自信を持ってお勧めしたい。(文:大谷達也/写真:永元秀和、井上雅行)

フォルクスワーゲン ゴルフTDI アクティブ アドバンス 主要諸元
●全長×全幅×全高:4295×1790×1475mm
●ホイールベース:2620mm
●車両重量:1460kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1968cc
●最高出力:110kW(150ps)/3000-4200rpm
●最大トルク:360Nm/1600-2750rpm
●トランスミッション:7速DCT(DSG)
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・51L
●WLTCモード燃費:20.0km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●車両価格(税込):398万9000円

[ アルバム : ゴルフTDIの詳細解説 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

13件
  • GTIも真打ち登場、
    ディーゼルにも真打ち登場、
    もしもRが出たらそれも真打ち登場ww
  • ゴルフ8に輸入車COTY授賞したのは茶番だったな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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