■2022年に騒ぎを起こした「オデッセイ暴走」はその後「逮捕」一方で派手な成人式で日本一になった北九州市成人式とは?
新成人を祝福する毎年恒例の行事「成人式」。2022年に成人の年齢が18歳に引き下げられたものの多くの地自体では20歳での成人式を行うようです。
また過去には成人式で暴れる様子が度々報道されますが、近年はどのような状況なのでしょうか。
【画像】「えっ…!」これが「屋根なしオデッセイ」 驚きの画像を見る!(32枚)
かつて荒れる成人式には「族車」の姿をした不正改造車が良く見られましたが近年は暴走族の減少とともに、激減しています。
しかし、数年に1度は成人式で騒動を起こし周囲に多大な迷惑を与える不正改造車も現れます。
記憶に新しいところでは2022年1月9日、横須賀市で発生したオデッセイによる暴走事件でしょうか。
成人式+不正改造車での暴走は一時期に比べると大幅に減少していますが、神奈川県横須賀市という首都圏の都市部でこのようなクルマが出現したことに驚かされた人も多かったのではないでしょうか。
この日は横須賀市で成人式の式典が行われていましたが、屋根を切るなどして不正な改造を施したオデッセイやバイクが式典会場である横須賀芸術劇場や横須賀駅周辺の道路3km以上にわたって信号無視や蛇行運転を繰り返しました。
とくに、目立っていたのは横須賀駅前のロータリーで、バスやタクシーの専用レーンで進路妨害を行ったり空ぶかしやクラクションを鳴らしたりして周囲を威嚇していたことです。
屋根を切ったオデッセイには乗車定員を大幅に超える人数が乗っており、もちろん運転席、助手席含めシートベルトの着用はありませんでした。
この時、現場にはパトカーが複数台と警察官がいたにもかかわらず取り締まりなどの行為は行われませんでした。
しかしその後、成人式から約2か月後の3月7日に神奈川県警交通捜査課は道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで横須賀市内に住む18歳と20歳の土木作業員を逮捕。
この2名は「横須賀が他の県に負けないように日本一派手な成人式にしたかった。捕まったのは残念だが、テレビに映って日本一なので満足している」という意味不明の迷惑発言をしていたようです。
不正改造車で暴走行為をしたところで「横須賀市が派手な成人式で日本一になった」とはもちろん言えませんし、横須賀市にとっても、迷惑千万な話です。
※ ※ ※
一方、本当の意味で「派手な成人式で日本一」になったといえば北九州市の成人式があります。
多くのメディアで取り上げられている「ド派手成人式」に、かつてのような族車の存在はありません。
北九州市の成人式もかつては、会場内での飲酒や卒業中学単位での不良グループ同士の喧嘩、そして不正改造された族車による暴走行為などでかなり荒れていた時代がありました。
しかし、今はもう族車の姿を見ることも喧嘩や式典の妨害なども全く見ることはありません。
筆者は2021年から毎年、週刊誌の仕事で北九州市の成人式を取材していますが、この数年間だけでも変化を感じることができます。
2021年は会場である北九州メディアドームの駐車場にたくさんの警察車両がとまっており、会場周辺やメディアドーム前の広場にも警察官の姿や民間警備会社のスタッフの姿が数多く見られました。(実際には私服の警察官も多く配置されています)
しかし、それらは2年後の2023年にはかなり数も減っている印象です。
また、いずれの年でも「族車」の姿は会場周辺で見られることはありません。
当時、会場に向かうタクシードライバーは、にこやかに話してくれました。
「派手な衣装がはやるようになってからかつての不良たちも随分おとなしくなりました。
暴走族なんてもう10年以上見ていませんね。
成人式は暴れたり喧嘩したりする場所じゃなくて、衣装や髪のセットにお金と時間をかけた晴れ舞台ということなんでしょう」
■なぜ北九州市成人式から族車がいなくなった? 全国の傾向は?
北九州市成人式から族車がいなくなった理由。これは北九州市だけではなく全国の成人式で同様の傾向だと考えられますが第一には暴走族そのものが激減していることが考えられます。
そして、北九州市の場合は独自の理由もあります。
暴走族が減り始めた2000年初頭に始まった北九州発祥の「ド派手衣装」です。火付け役となった北九市内の貸衣装店みやびの代表者、池田雅さんは以下のように話してくれました。
「以前、成人式を迎えるという男の子ふたりがお店にやってきました。
彼らは1年も前に来店し『成人式に二人で金と銀の衣装を着たい』と。
当時は金銀単色の既製品しかなかったのですが、『これじゃ嫌』といって毎月5000円、1万円を衣装代として持ってくるようになったのでこれは本気だなと。
結局生地から金と銀のこれまでにない派手な袴を作ることになりました。
これが金さん・銀さんと呼んでいるド派手衣装の始まりです。
2003年に始まったド派手衣装はクチコミで広がり、『もっと派手な衣装で出たい!』という若者が増え始めました」
その後、ド派手衣装は年々拡大し海外メディアも含めた多くのメディアが取材に訪れるようになります。
2023年9月には池田雅さんが手がけるド派手衣装が世界4大コレクションの1つ「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」で披露され、世界中のメディアから大絶賛を集めました。
こうして広まってきたド派手衣装によって、北九州市では「不正改造車にお金をかけて目立つより、親も喜んでくれるド派手衣装にお金をかける」傾向が強まったのでしょう。
これまで取材してきた新成人たちは、ほとんどが衣装代は自力で支払っており、「高校生の時からバイトして衣装代をためてきた」という人もたくさんいました。
※ ※ ※
2023年2月に警察庁が発表した「暴走毒等の勢力及び検挙人員の推移」(2018年-2022年)によると「暴走族」「旧車會」ともにグループ数は年々減っており、ピークだった昭和50年代に比べるとケタ違いの減り方です。
当時の資料によると全国に4万人以上の暴走族構成員が確認されており、全国で年間4000回以上の集団暴走行為が行われていました。
一般人を巻き込む事故なども急増したため昭和53年に共同危険行為等禁止規定が道交法に新設され、暴走族に対する罰則が厳しくなったことも暴走族の減少に大きく貢献したといえます。
また、暴走族=かっこ悪い、ダサい、古臭いというイメージが拡大してきたことも暴走族激減に大きく関わっています。
SNSの普及も手伝って時代とともに暴走族、ヤンキー、DQNなどの言葉が「カッコ悪くて頭が悪い存在の象徴」として浸透してきました。
暴走族グループの未加入者が増えていることにも注目です。
昭和50年代にはほとんど存在していなかったグループ未加入者は近年8割を超えるまでになりました。
現代の若者は上下関係や規律が厳しい50台-100台レベルの大所帯に参加することを嫌う傾向が強まり、気の合う仲間と数台規模でツーリング感覚で走る、このような傾向が拡大したことで、暴走族が激減。
ひいては成人式に集まる族車も激減したと考えられます。
この週末は、全国各地で成人式が行われますが、不正改造車によるトラブルがないことを願いたいものです。
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みんなのコメント
ただただ下品でターゲットにされた車が可哀想すぎる。
海外で絶賛してねえよ
鼻で笑われてるのを絶賛とか捉え方がどうかしてるし、これに影響受ける若者が増えない事を祈る。