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自動運転支援技術 「自動」が危険な誤解の要因に ザッチャム研究所が指摘

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自動運転支援技術 「自動」が危険な誤解の要因に ザッチャム研究所が指摘

もくじ

ー 「自動」「自律」が誤解招く
ー あくまでも「支援」
ー インタビュー マシュー・エイブリー(ザッチャム研究所)
ー ザッチャムのテスト結果(その1)
ー ザッチャムのテスト結果(その2)
ー ザッチャムのテスト結果(その3)

「自動運転」安易な呼称は危険 英研究機関が指摘 各メーカーが声明

「自動」「自律」が誤解招く

ザッチャム・リサーチは最新の運転支援システム搭載車について、ドライバーが「危険な」誤解をしがちであるとする研究結果を発表した。

またユーロNCAPと協力し、自動緊急ブレーキやレーンキープアシストなど最近一般的になったシステムを装備する10車種のテストを行なった。

両者は多くの消費者が最近のテクノロジーについて誤解していると発表。研究によれば、世界全体で71%、英国内では53%のドライバーが既に完全な自動運転が実用化されていると考えていた。ザッチャムでは、広告などにおける「半自動運転」や「自律走行」といった用語の使用が混乱を招いているという。

ザッチャムでの研究を統括するマシュー・エイブリーは「一部のメーカーは、ドライバーがクルマを操作しなくても良いかのような広告を行なっています。『半自動運転』や『自律走行』という用語によって競争における優位性を確保したいのでしょうが、これが混乱を増長しているのです」と説明している。

あくまでも「支援」

「われわれがいいたいのは、今日の技術はドライバーをサポートするものだということです。自動運転ではなく、ドライバーが注意を逸らすこともできません」

「ハイウェイ・アシストを正しく使用すれば安全性を高め死亡事故を減らすことができるでしょう。しかし、誤解を招く名称や広告を使用していれば、そうはいきません」

この研究結果が公表されてから、英日産は「自動」や「自律」という用語の使用をやめ、「支援システム」と呼称するようにしたという。またボルボも「半自動」という用語が混乱を招く可能性があるとして使用を中止した。

ザッチャムのテスト結果によれば、このような用語を使用している車両の大半がその名称に見合う機能を有していないとのことだ。ユーロNCAPは2020年までに、安全性評価の中にこれらの装備を含めるという。

インタビュー マシュー・エイブリー(ザッチャム研究所)

――今日の運転支援システムについて、一番の懸念は?

「それらが正しく使用されている限り、特に問題はありません。システムを過信した場合に問題が生じるのです。ひとびとは広告や販売手法を見て、そのシステムの能力について誤解してしまいます。例えばBMWや日産のシステムはドライバーを支援しきれていないように見えます。これはドライバーがその動作について疑問を抱くでしょう」

「一方テスラは支援しすぎのように見えます。非常に高い競争力を持つ良いシステムです。しかし、これはやりすぎの側面もあります。ドライバーは介入する必要がないように感じるでしょう。テストにおいて、テスラはドライバーの操作を拒否する場面がありました。これはシステムを過信する原因になります」

――メーカーは購入者に対する指導を徹底すべき?

「各メーカーは正しい方向に進み始めています。しかし、『オートパイロット』などの呼称は良いと思いません。『支援』と『自動』の区別をはっきりとつける必要があります。例えばテスラはオンラインアップデートにより、どんどんそのパフォーマンスが向上しています。これにより安全性が高まっているのは事実ですが、クルマがひとのために運転を代わってくれているわけではないのです」

――システムの性能は天候による影響を受ける?

「AEBシステムは確かに天候に左右されますが、非常に信頼性の高いシステムです。悪天候では多少性能が落ちるとはいえ、大きな影響はありません。ただし、一部のセンサーに支障が生じても警告が発せられないことがあります。その場合、ドライバーはシステムが正常でないことに気付かない可能性があります」

ザッチャムのテスト結果(その1)

ザッチャムが開発したテスト手法は、2020年からNCAPが導入するテストの基本となるものだ。この中にはメーカーがどのように顧客に対してそれらのシステムを販売しているかという評価が含まれる。さらに実地試験において、システムが白線や標識を認識する能力が評価される。

テストコースでは3種類のテストが行われる。まず第一に、レーンキープアシスト作動時に路面の窪みを回避する性能がテストされる。次に、連続するS字カーブにおける車線追従性のテストだ。最後に行われるの緊急ブレーキシステムのテストでは、64km/h以上での走行時に停止車両の手前で停止することができるかどうかが確認される。以下にザッチャムとNCAPの試験結果を記述する。

アウディA6

「アウディA6に搭載されるアダプティブ・クルーズ・アシストはドライバーが自分で操作している実感を与えつつ、ほど良いアシストを加えています。この名称もあくまでも運転支援装備であることがわかりやすく、誤解を生む可能性は低いです。全体として、アウディのシステムはドライバーによる過信のリスクが低いバランスのとれたものです」

DS7クロスバック

「DS7クロスバックのコネクテッド・パイロットは介入度が低く、ドライバーが自分で運転している感覚が強い。ただしこの名称は運転支援装備であることが明らかでなく、誤解を生じる可能性があります。今回のテストによれば、このシステムは前後方向にのみ効果を発揮するようです。低速車の存在や前走車の減速にはある程度の反応をしますが、停止車や飛び出しなどには一切動作をしませんでした。DSのシステムはドライバーが主体的に運転する必要がありますが、過信する可能性も低いと考えられます」

ザッチャムのテスト結果(その2)

フォード・フォーカス

「ストップ&ゴー、レーンキープ、速度制限認識などの機能を備えるアダプティブ・クルーズコントロールがコ・パイロット360とよばれるシステムに組み込まれています。これは高いレベルの支援を提供するとともに、ドライバーが自分で運転している感覚を与えています。一方この名称は運転支援機能であることがわかりやすく、過信の可能性は低いです。全体として、フォードのシステムはドライバーによる過信のリスクが低いバランスのとれたものです」

メルセデスCクラス

「メルセデス・ベンツCクラスに搭載されたアクティブ・ディスタンス・アシスト『ディストロニック』およびアクティブ・ステアリング・アシストはドライバーが自分で運転している感覚を与えながら、高いレベルのサポートを提供します」

「S字カーブにおいてはわずかなステアリングのサポートにより、バランスのとれた制御が行われます。白線や前走車がない状況においてはパッシブモードとなりますが、白線が検出されれば復帰します。全体として、メルセデスのシステムはドライバーによる過信のリスクが低いバランスのとれたものです」

日産リーフ

「日産リーフに搭載されるプロパイロットはドライバーが自ら運転している感覚を残しながら、中程度の介入をします。S字カーブにおいてはわずかなステアリングのサポートにより、バランスのとれた制御が行われます。白線や前走車がない状況においてはパッシブモードとなりますが、白線が検出されれば復帰します。プロパイロットという名称は運転支援技術であることがわかりにくく、誤解を招く可能性があります」

ザッチャムのテスト結果(その3)

テスラ・モデルS

「テスラ・モデルSに搭載される『オートパイロット』はブレーキやステアリングなどを車両が主体的に操作し、高いレベルのサポートを提供します。この、名称はドライバーの介入を必要としない完全自動運転を示唆するものです。しかし、テストの結果これは事実ではないほか、法的にも認められていません。全体として、テスラのシステムはドライバーの誤解を招く恐れがあります」

「ドライバーが路面の窪みを回避しようとした際、車両はその操作を拒否することがあります。これはドライバーが車両の操作を放棄する恐れがあり、危険です。S字路においては、白線が有る限りそれに追従しますが、白線がなくなると動作を停止します。高速道路モードでは路面を正常に認識できず、路肩を左車線と誤認識することがありました。前方の停止車両を検出した際は、手前から穏やかに減速、停止することができました」

ボルボV60

「ボルボV60に搭載されるパイロット・アシストは中程度のサポート機能を有し、ドライバーは自分が操作している感覚を持ちます。この名称は運転支援装備であることが明らかであり、誤解の可能性は低いと考えられます。全体として、ボルボのシステムはシステムはドライバーによる過信のリスクが低いバランスのとれたものです」

「S字カーブにおいてはドライバーに対し、15秒以内にステアリングを操作しなければシステムが停止することを警告しました。その15秒後には実際にクルーズコントロールがオフになり、穏やかに停車しました」

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