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【ヒットの法則379】レクサス IS Fは雨上がりの富士スピードウェイで素晴らしいコントロールを見せた

掲載 更新 8
【ヒットの法則379】レクサス IS Fは雨上がりの富士スピードウェイで素晴らしいコントロールを見せた

2007年10月、5L V型8気筒エンジンを搭載した4ドアスポーツセダン、レクサス IS Fが発表された。同時期にBMW M3クーぺがV8エンジンで登場したこともあって「レクサスのV8モデル」と大きな注目も集めた。ここでは発表後間もなく、富士スピードウェイで開催された国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年12月号より)

VSC/TRCなどの電子デバイスはカットすることも可能
「トヨタが、いよいよ本格的なスポーツモデルのマーケットに本腰を入れてきた」という感じが、レクサスIS Fに乗っていると肌に伝わってくる。ただ速さだけを追求して、大きなウイングを付けたようなチャラチャラしたスポーツモデルではなく、大人が普段乗りからサーキット走行までこなすことができる4ドアスポーツセダンなのだ。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

レクサスISのボディに5LのV型8気筒エンジンを搭載していると聞いただけで、そのパフォーマンスはだいたい想像が付くだろう。

富士スピードウェイの本コース、その最終コーナーを立ち上がってから180km/hの速度リミッターに当たるのは、コントロールタワーのまだ遥か手前だ。リミッターを解除してあるモデルでは、第1コーナーのブレーキング開始地点では、300km/hまで刻まれたスピードメーター上の針は240km/hを越えていた。どちらも雨上がりのウエット路面という条件だから、相当に速い。

エンジンが速いだけでなく、ボディやサスペンションもこれに追いついている。423ps/505Nmというパワーとトルクを発揮するエンジンに、リア2輪駆動という組み合わせだけで、ジャジャ馬だと決めつけてはいけない。IS Fは、ウエット路面の富士スピードウェイで、素直にコントロールしながら走らせることができるのだ。

トラクションコントロールなどの電子制御はいろいろ装備しているが、それらをカットすることもできるし、スポーツモードを選ぶこともできる。普段はデフォルトの状態のままで走ればいいが、サーキットではステアリングコラムの左側にある小さなVDIM(統合制御システム)のモード選択スイッチを押して「スポーツ」を選ぶといい。

大人のドライビングを楽しめるハイパフォーマンス
コーナーの立ち上がりでアクセルペダルを強く踏み込むと、パワーオーバーステアの状態へ簡単に持っていくことができる。そしてドリフトアングルが付いたところでエンジンの出力が抑え気味になり、フロント外側タイヤにブレーキを掛けてクルマの姿勢を安定方向に持っていく。スパッと戻すのではなく、徐々に戻すところが「大人」の制御だ。

この場面で、アクセルコントロールでもっと大きくリアを滑らせたいのならば、VDIMの隣にあるVSCオフスイッチを3秒以上長押ししておけばいい。そうすると、VSCとTRCが作動しなくなる。しかしこのときは、エンジン制御もブレーキ制御もクルマ側では一切やってくれないから、すべてがドライバーのオウンリスクとなる。

滑りやすい富士スピードウェイのウエット路面ではあったが、全オフしたときのコントロール性は高かった。しかしコーナーから出てグリップが回復していく時に、それはスムーズではなく、お釣りが来る状態で、リアの収斂が悪かった。やはりLSDを付け、もっとしなやかなダンパーを選ぶと良いと思った。

VSC/TRCオフスイッチを、通常のワンプッシュ操作による1回切りを行うとどうなるのか。これは、深い雪やぬかるみから脱出するモードで、アクセルペダルはホイールスピンしても制御が入らず、ドライバーまかせになる。

それならば、VDIMは「スポーツ」を選んで、VSC/TRCはオフにすると楽しそうだと思ってやってみた。しかし50km/hに達するとワンプッシュ切りのVSCは復帰してしまう。なのでサーキット走行時のメーカー推奨モードは、VSC/TRCはそのままで、VDIMを「スポーツ」にする、というモードであった。

VSC/TRCのオフスイッチが、サーキット走行中に操作できない点は残念だ。最初はウォーミングアップ走行で、徐々に本格的に走ろうとしたときに、操作を受け付ける50km/h以下へと落とすためにいちいちピットまで戻らなくてはいけないのは不便だ。

パドルシフトはハンドルと一緒に回転するタイプ。サーキットで使うのならば、車庫入れのときのハンドル角にはならないからこれでいい。

セレクターレバーをDレンジから右に倒してM(マニュアル)モードを選ぶと、シフトショックがあるほど素早いシフトになる。そして、使える範囲内でマニュアル操作になる。つまり、自動シフトアップはしない。オーバーレブになって燃料カット状態になると、エンジンは「ワゥワゥ」といいながらそのままの状態をキープする。

Dレンジでパドルシフトを使った場合もしばらくはMモードになる。パドルを使わなくなって前後Gの変化が穏やかになってから30秒で、Dレンジへと復帰する。ただ、パドルシフトを使った場合は、完全なMモードとなるのではなく、セミMモードで自動シフトアップ制御もしてくれたらいいと思った。

リクエストするところは少しあるものの、IS Fは「サーキットも楽しめる」クルマに仕上がっている。(文:こもだきよし/Motor Magazine 2007年12月号より)



レクサス IS F 主要諸元
●全長×全幅×全高:4660×1815×1415mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1690kg
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4968cc
●最高出力:423ps/6600rpm
●最大トルク:505Nm/5200rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:8速AT
●車両価格:766万円(2007年)

[ アルバム : レクサス IS F はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

8件
  • アリストV300の次に乗ろうか迷った車。
    結局本格スポーツに乗りたくてGT-RにしたけどIS-FのV8 5リッターの力強いアメリカンなサウンドは魅力的だった。

    しかし、初の国産400馬力超えとしてGT-Rとほぼ同時期に出てしまったIS-Fはジャンルが違うのにどこのメディアでもGT-Rと比較されてかわいそうだった…。
  • 販売する時期が悪かった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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