ホンダの新しいクロスオーバーSUV「ZR-V」のプロトタイプに、『GQ JAPAN』ライフスタイル・エディターの稲垣邦康が乗った!
ヴェゼルより1クラス上
“ワーゲン・バス”の復活──フォルクスワーゲンID.BUZZ試乗記
目の前に置かれたホンダの新しいZR-Vは、“見ため以上”に上質なクロスオーバーSUVだった。
と、言うのも筆者は当初、コンパクトハッバック「フィット」をベースにしたSUV「ヴェゼル」の派生モデルと勘違いしていた。しかしZR-Vは、フィットより1クラス上の「シビック」をベースにしているのだ。フィットより年次が新しい分、あらゆる箇所が洗練されているシビックだけに、上質であるのも納得だ。
写真で見ただけで、ボディサイズを勘違いしたのがおもな理由だ。背が低かったり、フロントグリルがコンパクトだったり、と、全体的にすっきりとした印象を受けた。とにかく威圧感がない。
「デザインは日本チームが手掛けました。ボディサイズは、ヴェゼルだと小さいけれど、CR-Vでは大きすぎるといったユーザーを意識して決定しました」
試乗会場となった群馬サイクルスポーツセンター(群馬県利根郡みなかみ町)で、開発担当者は述べた。日本仕様はプロトタイプゆえにサイズは明かされなかったが、北米仕様では全長×全幅×全高=4567×1839×1610mm、ホイールベース2700mm。
ヴェゼルが全長×全幅×全高=4330×1790×1590mm、ホイールベース2610mmだから、ひとまわり大きい。全長にいたっては200mm以上異なる。
参考までに日本へも導入された先代CR-Vは、全長×全幅×全高:4605mm×1855mm×1690mm、ホイールベース:2660mm。北米市場で発表された新型のサイズはこれより拡大されたから、担当者が言うところの“ヴェゼル以上CR-V以下”としたわけだ。
意のままに走る!
試乗前のプレゼンテーションでは、開発責任者を務めた小野修一氏が、走行性能へのこだわりを半分以上の時間を割いて述べた。
“そんなにこだわったって重心の高いSUVなんだから……”と、半信半疑で、まずは主力となるハイブリッドの4WDモデル「Z」に乗り込んだ。
走り出した瞬間、静粛性の高さに驚いた。風切音やロードノイズも巧みに抑えられている。ハイブリッドゆえにエンジンが掛かるような場面でもうるさくは感じられなかった。ヴェゼルと比べるとその差は歴然だ。のちほど試乗したガソリン・モデルでも印象は変わらなかったから、ボディのつくりこみがしっかりおこなわれているのだろう。
静かな車内に適したBOSEのサウンド・システムも見逃せない。シビックにも採用されているが、ZR-V用にチューニングが施されたという。スピーカー数などは明かされなかったが、迫力あるサウンドを楽しませてくれた。
当日はあいにくの小雨だったが、それでも結構なハイペース(80~90km/h)でいくつものアップダウンやカーブのある専用コースを駆け抜けた。
「e:HEV」と呼ぶ2モーター・ハイブリッド・システムはほとんどの場面でモーター駆動となる。そのパワーは最高出力135kW、最大トルク315Nm。3.0リッターエンジン並みのトルクが瞬時に立ち上がるから、登り坂でもスイスイ駆け抜けていく。
アクセルを深く踏み込むと、発電用などに搭載された2.0リッター直列4気筒ガソリン・エンジンが掛かるけれど不快な振動や音は皆無。あくまでメインはモーターであるから、主張をしないのだ。
モーターとエンジンの絶妙なハーモニーにくわえ、コーナリング性能の高さも印象的だった。思い通りに曲がってくれるのだ。SUVとは思えぬ身軽さである。本性能の高さを体感してもらうべく、試乗会場もカーブの多い群馬サイクルスポーツセンターが選ばれた。
コーナリング性能を高めるべくリア・サスペンションは、シビックのものではなくCR-V系のものを流用し、かつ最適化。タイヤもブリヂストンないしは横浜ゴムの専用タイプとすることでグリップ力を高めた。シビックではミシュランおよびグッドイヤーと別メーカーになる点について「SUV用に適したタイヤとするためです」とのこと。
ただし、高いコーナリング性能を実現するためか、乗り心地は少し硬い。運転している分にはあまり気にならなかったものの、助手席では“コツコツ”としたショックを感じる場面があった。走行性能を高めるべく、足まわりが硬められているのだろう。その分スポーティな走りを楽しめるから、ZR-Vは走りに振ったSUVとも言えるし、「NSX」や「シビック TYPE R」などを手掛けてきたホンダらしいSUVとも言える。
次に乗ったガソリン・モデルの前輪駆動仕様は“軽快”だった。
ハイブリッドの4WDと比べ150kgも軽いのだ。搭載するエンジンはシビックとおなじ1.5リッター直列4気筒ガソリンターボで131kw/6000rpmの最後出力と240Nm/1700~4500rpmの最大トルクを誇る。全長4.6m級のSUVには十分なパワーだ。
競争力の高い価格設定を実現化
インテリアは、オーソドックスなデザインだ。シビックのパーツを数多く流用するものの、シートなどはZR-V用に最適化されたという。試乗車はすべて革張りで、ホールド性および座り心地は良好だった。長時間のドライブでも疲れなさそうだ。
専用設計のセンターコンソールにはドライブモードの切り替えスイッチや、滑りやすい路面や荒れた路面、急勾配の下り坂を低速間で設定された車速にキープする「ヒルディセントコントロール」のスイッチが設置されている。
ZR-Vは、シビックよりも快適装備を増やしたという。詳細は明かされないが、試乗車をチェックするとリアシートやステアリング・ホイールのヒーター機能、電動開閉式テールゲート、ドライバーズシート位置のメモリー機能などが確認できた。
e:HEVによる爽快な走りに充実の装備となると、価格はいかに。参考までにシビックのe:HEVモデルは394万200円。となると400万円オーバーは確実か? と、思いきや「価格はかなり頑張りました」と、開発担当者のひとりが押してくれた。
“かなり頑張った”というから400万円以下を実現出来たのかもしれない。正式発表となる2022年秋が待ち遠しい。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)、ホンダ
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