1980年に2代目へと進化したセダンのシグマとスペシャルティカーのラムダ
三菱のラインナップの中でもヨーロッパ的な斬新なスタイリングを誇っていたのが、1976年に登場したセダン「ギャラン シグマ」とスペシャルティカー「ギャラン ラムダ」。さらにカープラザ店では「エテルナ シグマ/ラムダ」も販売されました。今回は1980年にモデルチェンジした2代目を振り返ります。
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かつてはクルマの最新情報といえば紙の雑誌だった
今のようなインターネットがまだ存在すらしていなかった時代は、たとえばクルマ好きが新型車の情報を得る最速の手段といえば、「発売日に本屋へ走って自動車雑誌の最新号を手に入れること」だった。筆者も子どもの頃からそうしていた。ただし今から10数年前、古民家のようだった自宅を建て替えることになり、その際、蔵と古い家の8畳間を平積みで埋め尽くしていた(そして本当に床が抜けた)、手放さずにおいた自動車雑誌のバックナンバーの大半を泣く泣く処分してしまった。
MF誌、MM誌、CT誌、Dr誌や、創刊号からあったBC誌、LV誌、CD誌、N誌(ほかに鉄道雑誌やカメラ、オーディオ誌、ポパイ、メンクラといった雑誌も)など、今はもう手元にないが、毎月発売日になるとどっさりとまとめて買ってきては、家に帰ってワクワクしながら各誌のページをめくったもの。もちろんすべてではないが、あの雑誌のあの号の表紙は〇〇だった、とか、自分がとくに関心のあるクルマなら、記事中の写真にはこんなキャプションが付けられていた……とか、断片的とはいえ、今でも覚えていたりする(なので自分で試乗記を書いたり写真を撮ったりする時は、ひとつひとつを大切にしたいと心がけてきた)。
今でもそうだが、クルマが登場するとまず第一報としてメーカーのリリースをもとにした細報が掲載され、翌月の号で実車の試乗記というのが一般的なパターン。もちろんどちらも食い入るように読んだ。
個性にますます磨きをかけた2代目シグマ&ラムダ
そんな中で決して派手ではなかったが、(案外、なぜか、などと言っては、はなはだクルマに失礼ながら)個人的に今でも印象に残っている「新型車」の中の1台が、1980年に登場した2代目の三菱「ギャラン」&「エテルナ」の「シグマ」&「ラムダ」だ。
決して派手ではなかった……と書いたのは、キープコンセプトだと言われていたため。ただ筆者はラムダのほうはグッとアメリカ仕様風の顔つきになったものの(そういえば北米では1972年の札幌冬季オリンピックが有名だからとプリムス・サッポロが車名だった)、全体の雰囲気には初代との近似性を感じたが、シグマのほうはそうは思わなかった。シグマは初代も国産車としてはどのクルマとも違う個性が光ったが、2代目は「作風」がいっそう垢抜けて見え、クリーンでヨーロッパナイズされたムードが色濃く感じられたのである。
ちなみに2代目シグマ&ラムダが登場する直前の1979年に「ランサーEX」が登場しており、こちらはイタリアのセッサーノがデザインに関わったとされていた。2代目シグマのスタイリングはクリーンな面質と、初代より下げられたボディサイドのキャラクターラインなどのおかげで、ランサーEX同様にスッと背筋を伸ばして見えたところに通じるものがあったというべきか。
ただし本稿をまとめるにあたり、シグマの1代目、2代目それぞれの初期型のボディサイズをカタログの諸元表で比べてみたところ(グレードは2000GSL同士)、2代目は初代よりも全長が140mm長く(4470mm)、全幅も25mm広い(1680mm)ものの、全高はわずか10mm(1370mm)高いだけ(ホイールベースは+15mmの2530mm)。まさにデザインの妙だが、ともかく2代目(のとくにシグマのスタイル)は、伸び伸びと大らかで、初代以上に他の国産車とは違う趣、存在感があったのだった。
純国産の直4ガソリンターボはスカイラインターボの6気筒に匹敵するパワーを発揮
そしてこの2代目シグマ&ラムダの注目といえば、やはりガソリンターボの登場だろう。ギャラン シグマ、ギャラン ラムダ、エテルナ シグマ、エテルナ ラムダの全4車種にGSR、GTの2グレード展開で設定。
いずれのターボ専用カタログでも見開きを割いて丁寧に紹介されているが、とくに写真でもご紹介しているブルー地のギャラン シグマ ターボのカタログを見ると、三菱重工製のターボチャージャーのカットモデルの写真およびタービン&コンプレッサーの単体写真が載せられているほか、エンジン単体写真もよく見るとクーリングファンが回転した状態で、「このエンジンは現在2000回転でまわっています。ターボゾーンはこの回転数付近から始まります」とキャプションが付けられていたりする。さらに吸・排気の経路が図版で示されていたりと、マニアックなユーザーなら、これは白いご飯が何杯もいけるページだったに違いない。
「三菱はかつて昭和18年、日本で初めて、航空機用ターボの開発と試作、搭載機の飛行に成功したメーカーです。わが国初のターボディーゼルにひきつづき、いま初の純国産ターボ付きガソリンエンジンの開発に成功。システム全体がエンジンに合わせて自社開発されています」と、他社では書けない文面も載っている。
ちなみに搭載されたこのG63B(ECIターボ)のスペックは最高出力145ps/5500rpm、最大トルク22.0kgm/3000rpmで、当時のスカイラインターボの6気筒、L20ETとは最高出力は同じ、最大トルクは1.0kgm上まわるというものだった。
ほかにも日本初の4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ、等速ジョイント、アドバンのスチールラジアルタイヤ(オプション)、4輪独立サスペンションや、VELNAS(ベルナス)と名付けられた車載コンピューターなど、マニア心をくすぐる仕様やアイテムも。
写真でご紹介しているカタログの裏表紙には筆者の自宅近くの三菱ディーラーのスタンプが押されてあり、どうやら「閲覧用」と「保存用」の2部までは貰ってこなかったようだが、こういう惹きつけられる国産の新型車が続々と登場してきた頃のクルマでありカタログだった……とつくづく思わされる。
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みんなのコメント
ターボのパワーは文句なしでしたね。高速でも踏めばドカンときました。
でも、燃費は頑張ってもリッター10に届くかどうか、普段はリッター7でした。
あと、重ステで小回りがきかずワインディングでは、ターボラグや重ステとの格闘でした。
10万越え10年落ちで購入して、4年間で7万kmくらい走りましたが、その間はタイヤ、クーラント、オイルを交換したくらいで、トラブルとは無縁ないい車でした。社宅住まいとなり手放したのが残念です。
その後三菱ディーラーのOBに聞いたら、コンピューターboxの温度が上がると基盤剥離してトラブル続出だったそうで、普通ならリコールのレベルだったらしい。その後同社がリコール隠しで問題になったけど、あの時の7万返せ!