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速さ以上を求めたい メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッドへ試乗 最長88kmを電気だけで対応可

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速さ以上を求めたい メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッドへ試乗 最長88kmを電気だけで対応可

AMG GLE 53と数万円差のプラグインHV

メルセデスAMGのアッパーミドルSUV、GLEに53 ハイブリッドが登場した。「さあ皆さん、プラグイン・ハイブリッドをタダで手に入れるチャンスです」。こんな広告展開が、英国では最近繰り広げられている。

【画像】最長88kmを電気だけで対応可 メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッド 競合クラスのSUVたち 全173枚

確かに、従来のモデルラインナップと比較すると、価格差は殆どない。直列6気筒マイルド・ハイブリッドのAMG GLE 53と、V8ツインターボのAMG GLE 63 Sの中間に位置するモデルだが、英国価格はGLE 53と200ポンド(約4万円)も違わないのだ。

一般的に、プラグイン・ハイブリッドは特別なパワートレインで、お高めの値段設定が当たり前。メルセデスAMGの高級SUVに9万ポンド(約1755万円)以上も支払える人にとって、数万円の差など、無視できるものに違いない。

ただし、トリックがある。メルセデスAMGはフェイスリフトをきっかけに、AMG GLE 53の価格を5桁ポンド(数100万円)単位で値上げしている。プラグイン・ハイブリッドの割合を増やすべく、意図的に価格調整したと勘ぐっても、不当ではないだろう。

こんなマーケティング的な駆け引きはさておき、AMG GLE 53 ハイブリッドが搭載するパワートレインは、高性能サルーンのAMG E 53と基本的に同じ。つまり、プラグインではないAMG GLE 53とも同じ、3.0L 直列6気筒ツインターボを搭載している。

殆どのクルマを置き去りにできる総合544ps

直6エンジンの出力は13ps強化され、9速マルチクラッチATとエンジンの間に、135psの電気モーターが挟まれている。リアアクスルの直上には、31.2kWhの駆動用バッテリーが積まれている。

ただし、ガソリンタンクは、AMG GLE 53より20Lぶん小さい。長距離を頻繁に走行する機会が多いドライバーは、気に留めておきたい違いといえる。

駆動用バッテリーが満充電なら、最長で88kmを走れると主張されるが、現実的には70km程度。充電が切れた場合の燃費は、高速道路の巡航で9.0km/L程度。20L多くガソリンを蓄えられるAMG GLE 53の方が、全体の航続距離では長い可能性が高いからだ。

市街地などを中心に利用し、こまめに充電できる環境があるなら、状況は異なる。ガソリンを燃やす時間は、限りなく短くできるはず。

動力性能は、AMG GLE 53 ハイブリッドの方が0-100km/h加速で0.3秒も鋭い。車重が425kgも重いにも関わらず。AMG GLE 63 Sと比べても、差は1秒以下だ。メルセデスAMGのSUVだから、ドライバーが期待することは速さ以外にも沢山あるとしても。

エンジンのサウンドは、ドイツ・アファルターバッハで組まれるユニットへ求められる音響には届いていないだろう。それでも、高域ではしっかり響きが増す。

駆動用モーターが加勢すると、パワー感は溢れんばかり。システム総合で544psと76.3kg-mが繰り出され、公道では殆どのクルマを置き去りにできる。息を呑むほどの、鋭さはないかもしれないが。

平滑な路面なら魅力的な操縦性や乗り心地

モーターの制御には、少し疑問が残った。9速マルチクラッチATが高めのギアへ入っている時に、効果的にトルクが補完されるような印象が薄いのだ。低回転域にある直6エンジンを、積極的にアシストしているとは感じにくい。

試乗車は標準の21インチではなく、22インチのアルミホイールを履いていたが、平滑ではないアスファルトでは、やや乗り心地が落ち着かない印象。エアサスペンションが標準装備ながら、コンフォート・モードでは減衰力の調整が充分ではないように思えた。

スポーツ・モードの方が、乗り心地はベター。それでもメルセデスAMGの水準で上質とはいいにくく、路面からの隔離性はもう少し高められるだろう。

ステアリングホイールには、控え目だが、情報がある程度伝わってくる。しかし減速時には、わだちやうねりによる影響を受けやすい。ブレーキペダルを踏んだ感触も、少し人工的といえる。

鋪装したての路面なら、操縦性は魅力的。乗り心地も上質。カーブでは、2725kgの車重から想像する以上に、鋭いコーナリングを披露してみせる。そんな瞬間は、グレートブリテン島では限られるとしても。

総じてAMG GLE 53 ハイブリッドの運転体験が、ブランドへ期待するものへ届いているとは表現しにくい。車重を巧みに包み隠し、洗練された走りを享受できつつ、ドライバーが望めばホッドロッドのようなアグレッシブさを楽しめるなら、望ましいのだが。

操縦性も動力性能も本物のAMGとは呼びにくい

高級SUVに求められる上質さと実用性を叶えつつ、スポーティな走りと環境性能も追求しようという目的は理解できる。しかし、説得力のある形で達成はできていないようだ。操縦性も動力性能も、本物のV8エンジンを積むAMGには及ばないだろう。

確かに、70kmを電気だけで走れる能力は評価できる。洗練性も、このクラスとしては間違いなく優れている。しかし、それだけでは訴求力を完全には補填できていないように思える、というのが本音だ。

ちなみにインフォテインメント・システムには、現行のメルセデス・ベンツとしては珍しく、まだタッチパッドが残っている。タッチモニターだけの時代になると、このインターフェイスの有り難みがよく理解できる。

メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッド4マティック+ プレミアム(英国仕様)のスペック

英国価格:9万4360ポンド(約1840万円)
全長:4924mm
全幅:1947mm
全高:1797mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:76.9km/L
CO2排出量:30g/km
車両重量:2725kg
パワートレイン:直列6気筒2999cc ツインターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:31.2kWh
最高出力:544ps(システム総合)
最大トルク:76.3kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速マルチクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

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