モデルチェンジや名前、はたまたコンセプトそのものの変更や、環境対応など外的な要因による変更…などなど、クルマには人間にも負けないくらい多くの「転機」となるタイミングが多い。
その時々の選択は基本的にはさらなる飛躍を期して行われるものだが、結果は悲喜こもごも、時には人気絶頂のモデルが一転…なんてことだってある。
8車種も販売終了! 国産セダンが衰退した理由と生き残るための秘策はあるか?
その選択が間違っていたかどうか、正解はあとになってみないとわからない(いまは「敗け」でも後になって大逆転! もまたあるのだ)が、ここでは、ヒット車・名車たちの転機となったターニングポイントを集めてみた。
【画像ギャラリー】一躍大ヒット! から、まさかの販売終了まで 36枚の画像で名モデルたちのターニングポイントを辿る
※本稿は2020年12月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年1月26日号
■人気モデルに飛躍したターニングポイント
●日産 ノート
「主役」になり切れなかったノートが、2016年のマイチェンでe-POWERの追加で一気にブレイクして、ナンバーワンコンパクトに君臨。新型はさらなる飛躍を遂げそうな雰囲気アリアリ!!
日産ノート(先代)…e-PОWER効果は絶大で、2018年には年間登録車販売台数で日産初のナンバーワン獲得
●スズキ スペーシア
スズキパレットは、地味なデザインが災いして人気はイマイチだったが、スペーシアに改名。現行で人気が高まり、今やタントを凌駕。
スズキ パレット(初代)→スズキ スペーシア
タントの対抗馬としてスズキ初のスーパーハイトワゴン軽自動車としてデビューしたパレットは苦戦したが、スペーシアと改名し、現行で大きく躍進して人気モデルとなった
スズキ スペーシア
●トヨタ RAV4
初代の爆発的ヒットの後、モデルを経るごとに存在感が失われたRAV4は、2016年に日本で終売。2019年に日本で復活した現行型は、アウトドア志向も後押しして大ヒット。
トヨタRAV4(現行型)…2019年に3年ぶりに日本で復活したRAV4はオフロード性能の高さと雰囲気で日本人の心をガッチリとつかんだ
●スズキ スイフトスポーツ
地味な3ドアハッチバックスポーツだった初代スイフトスポーツが、2代目でシャープ&引き締まったデザインを手に入れて大ブレイク!! 現行が4代目のスイフトスポーツは、今や日本の宝とまで称賛されるに至る。
スズキ スイフトスポーツ(初代)…地味な初代に対し、2代目でカッコよくなって大躍進。今では日本の宝
スズキ スイフトスポーツ(2代目)
●トヨタ アルファード
先代で登場した姉妹車のヴェルファイアが大人気で、メンツ丸つぶれ。現行になってもヴェルファイア人気は健在だったが、マイチェンでグリルを大型化してオラオラ顔に磨きをかけたら、あらビックリ大逆転。身内の敵を退けて無双状態。今や最も憧れられている一台だ。
トヨタ アルファード(先代型)…キング・オブ・ミニバンのアルファードだが、先代はヴェルファイアに圧倒された。現行のマイチェンで顔の迫力が増して販売急増。逆にヴェルファイアは凋落
トヨタ アルファード(現行型)
■3代目の悲劇
同族経営の会社の場合、「3代目が会社を滅ぼす」というのはよく言われることだが、実はクルマにとっても3代目は鬼門になっている。まずは消滅組から。
トヨタカルディナは、打倒スバルレガシィを掲げて登場したワゴンだったが、レガシィの牙城は切り崩せず3代で退散。
トヨタ カルディナ…レガシィに対抗できず3代目で消滅。トヨタ車では珍しいケース
CR-XデルソルはFFスポーツからオープンスポーツへ、プリメーラは大型化したうえにデザインテイストがガラリと変わるなど、渾身のコンセプトチェンジが仇となって消滅してしまった。
ホンダ CR-Xデルソル…ピュアスポーツを求めたユーザーとホンダの思惑が大きく乖離
日産 プリメーラ…好みのわかれる斬新なエクステリアデザインが消滅のカギ
ティアナはインテリアに新たな提案を盛り込んだ初代が大ヒット。続く2代目は可もなく不可もなく無難に過ごしたものの、3代目で存在意義を失いこれまた消滅。
日産 ティアナ(現行型)…初代のヒットが嘘のように3代目で存在感を失い2020年に消滅
ここで紹介する中で唯一3代目が生き残ったパジェロ。しかし今思えば大ヒットしたモデルの次のモデルは難しいと言われるとおり、豪華に大型化したのが裏目に出た。パジェロは4世代続いたものの、3代目が凋落へのトリガーを引いて、存在感が薄れるきっかけとなった。
三菱 パジェロ…大型化して豪華になったのがパジェロ凋落へのトリガーだ
■因縁の対決の終焉となったターニングポイント
三菱ランエボ、インプレッサが切磋琢磨して毎年のように進化していたのは、市販車ベースで闘うグループA時代のWRCで勝つため。三菱は2005年限り、スバルは2008年限りでWRCから撤退したのが大きなターニングポイントとなった。
スバルはニュル24時間に活路を見出し、進化の手を緩めなかったが、ランエボXは高性能ながら、半ば進化を放棄したかたちになり、2015年に惜しまれながらモデル消滅してしまった。
三菱 ランサーエボリューションX…ランエボXは高性能だったがエボI~IX MRのような大きな進化はなかった。対してインプレッサはWRC撤退後も細かく進化させて独自の地位を確立
スバル インプレッサWARX STI
■ビッグネーム凋落のターニングポイント
日産スカイラインが、「日本人の心のクルマ」と言われて注目されていたのも今や昔。スカイラインは1985年のR31以降、R31不人気、R32大人気、R33不人気、R34人気と、浮沈を繰り返してきたが、V35の登場以降は低空飛行が続いている。直6からV6、デザインテイストの大幅変更などが受け入れられなかった。
11代目日産スカイライン…V35から北米でインフィニティブランドの「G」として販売を開始
スバルレガシィ=ワゴンのイメージが強かったが、3代目で「B4」と名乗ってから人気セダンとして君臨。しかし、北米マーケットからの要望により大型化した5代目で大きく失墜。この5代目登場を機に存在感が大きく薄れ、2020年7月日本での販売を終了。
5代目スバルレガシィB4…アメリカのニーズに応えて肥大化したのが日本での敗因
初代でミニバンブームを築いたホンダオデッセイは、ブームが下火になりながらも、低い全高で走りを大幅進化させた3代目で大健闘。しかし4代目は代わり映えしなかったのが敗因となり、存続の危機となった。中国市場向けに開発されたモデルをオデッセイとして日本でも販売することで延命となったが、事態は好転せず。
4代目ホンダオデッセイ…3代目で盛り返したものの、ユーザーにとって4代目は顔が変わったくらいにしか映らなかった
■悲喜こもごも ターニングポイントになった「車名変更」
いかなる時でも車名変更は大きなターニングポイントとなる。そして慣れ親しんだビッグネームほど、変更した時の衝撃は大きい。
車名変更といえば注目されるのはマツダだろう。
2019年にアクセラ改めマツダ3を登場させてから、アテンザ→マツダ6、デミオ→マツダ2に変更。
マツダ3(現行型)…アクセラからマツダ3になって影が薄くなったのは気のせいか?
マツダ6(現行型)…カペラ→アテンザ→マツダ6と変遷。フラッグシップの苦悩は続く
マツダ2(現行型)…デミオの名前の消滅はもったいない。せめてフルモデルチェンジまで待てなかったのか
グローバル戦略の一環として、車名を全世界で統一。これは大きなターニングポイントだが、日本では数字、アルファベットの車名が受け入れられにくいのが気がかり。
続いてはトヨタ。マークIIからマークXに変更されたのは2004年。マークIIでいえば10代目のモデルだ。ラグジュアリー志向からスポーツセダンに鞍替えしたのもあって、車名変更は大成功。しかし、セダン受難時代には抗えず、2019年限りで消滅。まぁ、これは車名変更とは無関係だろう。
トヨタ マークX…マークXへの車名変更を機にスポーツ性を高めて大成功。しかしそれも長続きせず、2019年に消滅
最後はクラウン。クラウンは車名こそ変わっていないが、現行で車名に匹敵する、ロイヤル、アスリートの名称が廃止された。併せて走り志向で硬い乗り味も既存のオヤジユーザーを戸惑わせている。
トヨタ クラウン(現行型)…ロイヤル、アスリートの名称の消滅はユーザーにとって大事件
■コンセプトチェンジ
ホンダインサイトはハイブリッド専用車というのは不変ながら、3世代のモデルすべてのボディ形態が違う、世界的にも珍しいクルマ。2代目で波に乗るも3代目プリウスの影響で長続きしなかったのが惜しい。
初代ホンダインサイト
2代目ホンダインサイト
3代目ホンダインサイト(現行型)…初代は3ドアファストバッククーペ、2代目は5ドアハッチバック、3代目は4ドアセダンと変幻自在。2代目の初期を除き販売は苦戦
フォレスターは背の低いSUVとして登場したが、3代目で走りのよさはそのままに車高をアップさせて人気上昇して現在の安定期に至る。
2代目スバルフォレスター
3代目スバルフォレスター(現行型)…クロスオーバーワゴン的な初代、2代目に対し、走りのよさはそのままで車高を高くしたことで、本格SUVとして人気上昇
■FRからFFに! 駆動方式の変更がターニングポイントになったクルマたち
トヨタカローラレビン/トレノはAE92でFF化された。クルマ好きにとっては事件だったが、AE92は歴代ナンバーワンの販売をマークして大ヒット!!
トヨタ カローラレビン(AE86)…小型FRとして重宝されたが、超絶人気は絶版後
トヨ タカローラレビン(AE92)…スッキリしたデザインで男女問わず人気となった
セフィーロは2代目でFF化されユーティリティは大きく進化したが、ごく普通のセダンとなってしまった。
初代日産セフィーロ…個性的なデザインのFRセダンとして存在感抜群
2代目日産セフィーロ…広く快適になったが没個性のFFセダンとなった
エルグランドは3代目でFF化。しかしFR時代より室内、ラゲッジが狭く既存ユーザーは落胆し、販売は大きくダウンしてしまった。
2代目日産エルグランド…2代目までは商用車ベースのFRでネガもあった
3代目日産エルグランド(現行型)…新世代のFFモデルに期待するも広くならず苦戦
新しいところではBMW1シリーズ。唯一のFRコンパクトがFF化されたことで、先代の最後のFRの中古車が高値安定となっている。
2代目BMW1シリーズ…世界的に見て貴重なFRコンパクトとして人気
3代目BMW1シリーズ(現行型)…FF化で唯一無二の存在ではなくなってしまった
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みんなのコメント
アップして欲しい。
同じ内容を箇条書き(?)にして
繰り返し読まされるのは苦痛。
途中から読むの止めました。
そのほかの会社は、出した時から明らかに売れそうもない印象なのを平気で出してくるのが不思議。
売れてるコンセプトをわざわざ変えたりね。