緊急企画「サロンのテスラ全部撮る」
それは突然のことでした。1月10~12日まで開催されたカスタムカーショー「東京オートサロン2025」を取材中、ちょっと休憩のつもりで報道関係者が集まるプレスルームに戻り、THE EV TIMESのF氏と会場内の展示車両について情報交換をしていた時のことです。
東京オートサロン2025はICE車ばかりでなくEVも増殖中! 「テスラの痒いところにも手が届く」そんなイベントになっていた
斎藤「いや~、今年はEVの展示が増えましたね~」 F「増えた、増えた。とくにテスラが目立つよね」 斎藤「確かにいわれてみればチラホラ見かけた気がします。各車でテイストも違っていて面白いです」 F「ならさ~、斎藤君まだ取材続けるでしょ? 移動している最中に見つけたテスラ全部撮影してさ、それで記事でも作ってよ!」 斎藤「(!!!! えぇぇぇぇ) は、はい、かしこまりました。やらせていただきます(大汗)」
簡単にいうな~! と心のなかで叫びつつ、笑顔は崩さず最敬礼。下っ端フリーライターの悲しい性で、来るもの拒まず折角のご発注に対してはありがたく頂戴いたします。
とはいえ、出展社数389社、会場のあちこちに点在する展示車両の合計は857台。出展社の名前と展示位置は会場マップを見ればわかるものの、その389社がどんなクルマを展示しているのかまでは、細かく情報が掲示されていません。そうです、広い会場を歩いて探すしかありません。
ほかにも取材すべきクルマやブースはあるのですが、残りの取材可能時間は約4時間、立ち止まっている暇はありません。会話から生まれた思いつき企画、題して「サロンのテスラ全部撮る」実行です。
オートバックス:A PIT EV MODEL Y
オートバックスの旗艦店「A PIT AUTOBACS SHINONOME」が製作したモデルYは、EVでもカスタマイズする楽しさは健在であることを証明するための1台になっています。
EVというとカスタムやチューニングはできないんじゃないか、と構えてしまうところがありますが、A PITの手にかかればそんなことはありません。むしろA PITととしては、どうやったらお客さんがEVでもカスタムを愉しんでもらえるか、ユーザーに先行してEVカスタムの可能性を探っているわけです。そのため、ラッピングすることでセンサー類に異常が発生しないかもテストしているといいます。
カスタムというと、外見の変化に目が行きがちですが、車内の快適性向上も立派なカスタムのひとつです。モデルYはそのキャラクターから長距離移動の需要が高いと考え、レカロシートを導入するうえではセンターコンソールに肘が置きやすくなるように、シートレールを独自開発し最適な高さになるよう調整が施されています。
また、車内の音楽視聴環境にも注目。ビーウィズとフォーカルのテスラY、モデル3専用スピーカーキットをラインアップするほか、静音キットを開発して両者を組み合わせることで、静粛な車内を創り出し、クリアな音質を響かせることに成功しています。
走りの面でも、A PITオリジナルのサスペンションキットとアンプラグドの調整式スタビライザーで質感を高める工夫がされていますし、BBSのLMホイールも前後異なるサイズをスマートに装着してみせています。もちろんエアロも車検対応品で、Maxton Designのものが採用されています。
YOKOHAMA&YOKOHAMA WHEEL:リバティーウォークEV向けエアロ装着 モデル3
横浜ゴムのADVANブランドをPRするブースで光り輝いていたのは、リバティーウォークのEV向けエアロシリーズ「LB-E-WORKS」をまとったテスラ・モデル3。迫力のワイドフェンダースタイルは誰が見てもリバティーウォークのそれで、米国を中心に海外でウケること間違いなしのルックスです。
足もとは「走りのホイール」として絶対的な人気を誇るADVAN Racing GTの進化型ホイール、ADVAN Racing GT Beyondの19×11Jを前後に装着。深くコンケープしたスポークが、凄みを感じさせます。もちろんここは横浜ゴムのブースなので、タイヤも275/35R19のADVAN Sport V107を履かせてビシッときめてます。
リヤも存在感のあるダックテールウィングとディフューザーで完全武装。王道のリバティーウォークスタイルでありながら、上質さを感じるのはそのデザインが完成の域に達しているからでしょうか。
黒基調のブースに真っ白なド迫力ボディとレーシングチタニウムブラックのADVANホイールの組み合わせは、オートサロンのEV関連展示では間違いなくもっとも「映え」ていた1台です。
MID WHEELS:EV専用ホイール「TW025」装着 モデルY
アルミホイールの老舗メーカー「マルカサービス」が展開する「MID」ブランドは、モデルYにEV用ホイールとして開発されたTW025を装着して展示。車両の左右で装着ホイールの色を変え、オプションパーツの有無でも違いを表現していました。
マルカのMIDといえば軽量かつ高強度なホイールを生み出す「フローフォーミング製法」が有名ですが、このホイールの場合はEV特有の静かな走りを阻害しないよう、ホイールのインナーリムの厚さをあえて厚くするEV専用チューニングが施されています。
厚みを増やすことで重量は多少重くなる反面、バネ下から発する共鳴音を抑え、車内に侵入する不快なノイズを低減できるそうです。とくに後部座席は後方に大きなラゲッジスペースを抱えていることから、その効果を顕著に感じられるとのことです。
また、このホイールには「エアロコンセプトプレート」と呼ばれるリムに沿って装着するプレートがオプションで設定されています。
見た目の印象が大きく変化するだけでなく、空力的な洗練さを感じさせることから、メカ好き男子には堪らないアイテムではないでしょうか。
まだまだ会場内にはテスラがいっぱい
テスラアライアンス:ラグジュアリーなモデルY
テスラアライアンスのモデルYは、KOKOROブランドのカーボン製エアロパーツをフル装備。モデルY専用にトモキスペシャルパーツが開発したゲパルトの車高調整式オイルダンパーとスプリングを装備していて、街乗りは快適でありながらも、サーキットを攻められる足まわりとなっています。
ボディカラーはマセラティのマットホワイトをスプレーラッピング。そこにマットブラックを足してラグジュアリーな印象を与えています。
室内も本家マセラティをオマージュして、カーメイクアートプロの手による本革張替加工が施され、ラグジュアリーなインテリアへ劇的に変化を遂げています。
カーメイクアートプロでは、テスラに特化した内装カスタムブランド「T-ART」を展開していて、さまざまな要望に応えてくれるといいます。
スーパーオートバックスKOBE:テスラ・モデル3 by G-7 大阪 Co
オートバックスのブース内に展示されたモデル3は、「大人カッコいい」をテーマにスーパーオートバックスKOBEが製作したもの。プロテクションフィルムの「SPPF」で車両全体を保護しながら、マットに仕上げたその姿は、まさに大人に向けたゲキ渋なモデル3です。
エアロキットはアーティシャンススピリッツ・ブラックレーベル。テインのストリートアドバンスで車高を調整し、スーパースターのレオンハルト・バイファル20インチで足元を引き締めています。
スーパーオートバックスKOBEを運営するG-7オートサービスとしては、この車両製作を通じてEVのカスタムや整備に対しての知見を深める、社員教育の意味が込められているのだといいます。つまり、G7オートサービスのオートバックスは、EVの整備もおまかせあれ! ということです、はい。
ダンロップ:SPORT MAXX LUX装着 モデル3
ダンロップの最新作にして、EVに求められる低転がり抵抗性能に高い静粛性能、耐荷重性能や摩耗性能に対応し、ハンドリングも楽しめる欲張りなタイヤが、2月から発売を予定している「SPORT MAXX LUX」です。ダンロップが独自に定めた「EV適応マーク」を刻印した第1号モデルでもあり、まさにモデル3にピッタリなタイヤといえます。
エンジン音がしないEVですから、タイヤが発するノイズを低減することは車内の静粛性向上に多大な効果を発揮します。そのため、タイヤパターンの改善はもちろんですが、ダンロップではお馴染みの特殊吸音スポンジ「サイレントコア」も搭載して、徹底的に音の発生を抑制しています。
その結果、ハンドリング性能を重視したSPORT MAXXシリーズでありながら、乗り心地と静かさを追求した同社のVEURO(ビューロ)よりも静かさで上まわるのだとか。これはちょっと全EVオーナー注目のタイヤですよ。
TBR:便利グッズ満載 モデル3とモデルY
最後にTBRのモデル3とモデルYです。
TBRはテスラをカッコよくするだけでなく、テスラユーザーの困りごとを解決するようなアイテムを多数ラインアップしています。センターモニターの角度を調整できるアイテムや、広大なガラスルーフに装着可能な電動シェード、フロントのトランクをアプリから遠隔開閉できるアイテムは良い事例かもしれません。それらを、日本企業のクオリティで製作していますので、どこかの国で企画・製造された商品とは一線を画す仕上がりに。
テスラ特有のOTAによるバージョンアップで、それまで使えていた後付け機能が突如使えなくなる、というケースが稀に発生するそうですが、TBRでは開発エンジニアとの連携で迅速に対応していることも強みだそうです。
このモデル3には、テスラのチューニングで有名なアンプラグド・パフォーマンスの新作ホイールが装着されていました。UP-05と呼ばれるこの鍛造ホイールは、ハイブランドスポーツカーのホイールに見られるようなダイヤモンド形状のスポークデザインを採用して、足もとをラグジュアリーに演出しています。
18インチから20インチまでラインアップし、テスラの全車種(日本未導入ですが、なんとサイバートラックまで!)に対応する予定とのことです。
まとめ
東京オートサロン2025会場内で見つけられた限りのテスラを取材してきましたが、こうして会場中を歩きまわると、かつてのプリウスがそうであったように、先進的なEVであるテスラが一種のステータスシンボルになっている気がいたします。それだけに、今後ますますカスタムが進むことが予想されますし、テスラ関連の出展が増えるかもしれません。そうなった場合、できることならどこのブースにテスラが展示されているのかだけでも、事前に知っておきたいですね。
というわけで緊急企画「サロンのテスラ全部撮る」、任務完了でございます!(時間と体力と捜索能力の不足により、撮影が漏れてしまったテスラがございましたら大変申し訳ございません)
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