■平成5年登録の日産 スカイライン「ケンメリ」!? その中身は…
生産台数の少なさから、ただでさえ中古車市場では珍しい「ケンメリ」こと日産「4代目スカイライン/2代目スカイラインGT-R」。
現在、平成5年登録の「ケンメリGT-R」が販売されて注目を集めています。
「ケンとメリーのスカイライン」のコマーシャルで大ヒットしたことから「ケンメリ」の愛称で呼ばれるようになった4代目「スカイライン」が登場したのは昭和47年(1972年)のこと。
その翌年1973年には2代目となる「スカイラインGT-R」が登場。GT-Rは排出ガス規制の強化の影響により、わずか200台弱で生産打ち切りとなってしまった幻の名車とも呼ばれる希少な存在です。
そんななか、「平成5年登録のケンメリGT-R」が中古車市場に登場しています。いったいどのような個体なのでしょうか。
平成5年登録の不思議な「ケンメリGT-R」の正体は、愛知県岡崎市に拠点を構える旧車総合ディーラー「Rocky Auto」が製作した、3代目スカイラインGT-R(BNR32型/以下R32)のシャシにケンメリのボディを装着した車両です。
ベース車両となったR32は、8代目スカイラインに設定されたもので、ケンメリGT-R以来16年ぶりに「GT-R」の称号が与えられたもので、平成元年~平成6年(1989年~1994年)まで生産されました。
エンジンは当時のツーリングカーレースのグループA規格に最適化された排気量2.6リッターで280psを発揮する直列6気筒ツインターボエンジン「RB26DETT」を搭載し、その大出力を路面に伝えるために新開発のマルチリンク式サスペンションを採用。
電子制御式4WDシステム「アテーサE-TS」や、回頭性を高めるための四輪操舵システム「スーパーハイキャス」などの新機構なども装備され、R32型GT-Rはその魅力的なスペックと外観により、今なお衰えない人気を誇っています。
外寸の異なるR32がベースでありながら、「Rocky Auto」が製作したケンメリの外観はオリジナルと見分けがつかないほどの精巧です。
しかし、なぜ「Rocky Auto」ではオリジナルを復元できる高いレストア技術を持っていながら、R32をベースとしたケンメリを製作したのでしょうか。
Rocky Autoに車両の詳細をたずねたところ、以下のように話しています。
「このR32をベースにしたケンメリGT-Rは、オリジナルのボディをスキャンし、同寸に近い状態のフレームを装着した車両となっています。
デフォルトの状態ではエンジン等の内部には手を加えておりませんが、変更を希望されるオーダーがあった場合は、それに沿って変更していきます」
■何不自由なく乗れて速いR32ベースの「ケンメリGT-R」のこだわりは?
さらに、製作経緯について、前出の担当者は次のように話しています。
「当店では元々ケンメリをベースにした車両を35年前から手がけていました。
その一環としてケンメリにマルチリンク式サスペンションを搭載しようとしたときに、2年という長い期間と非常に大きな労力がかかりました。
ただその労力を掛けただけあり、路面をキッチリと捉えるようになり、雨が降っているときに時速100km以上を出しても問題なく走れるようになっています。
ですが、他にもやることがあったとはいえ1台作るのに2年間かかり、さらに莫大な費用もかかってしまいました。
そこでケンメリを現代仕様に改造していくよりも、R32型スカイラインをベースにすればマルチリンク式サスペンションもエアコンも最初から搭載されているため、費用を安く抑えられると考えました」
R32がベースのケンメリについてのこだわりポイントをたずねました。
「この車両のこだわりは、旧車の見た目でありながら東京都内でも日常使いでき、さらに東京から大阪までのロングランにも対応できるという点です。
また、国内の保険会社は『Rocky Auto』のことをカーディーラーとして見ていて、そのため満額の車両保険に入ることができます。
その理由として、事故が起きても自社でアフターパーツを用意しており修理できるため、ただの販売店とは少し違い車両保険に入ることが可能です。
メカニカルな部分はすべてR32であるため一般の整備工場でも事故修理や車検、アフターメンテナンスが受けられます。
R32用の豊富なアフターパーツが使えるため部品不足で悩む必要もありません」
※ ※ ※
平成5年登録の不思議なケンメリGT-Rの正体は、レストア作業の効率化を考えるなかで生み出された車両だったようです。
Rocky Autoによると、近年はR32の中古車両や部品価格も高騰しており、今回のケンメリGT-Rの値段はGT-Rベースだと3000万円、2WDのGTSベースでも2000万円ほどになるとのことです。
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