かつてはそれぞれが独立した存在だった自動車メーカー。現在では多くのメーカーが提携を行い、場合によっては買収されて別のメーカー傘下となったというケースもある。エンジンやプラットフォームの共通化によるコストダウン、流通の効率化など、メリットの多いグループ化だが、あるメーカーがどのグループに属しているのがわからないこともあり、さらに意外なグループの傘下となっていて驚かされるブランドもある。
このシリーズでは、そうした「自動車メーカーグループ」に注目し、紹介していくことにしたい。今回と次回の2回に分けて紹介するのは、ドイツの“巨人”が牽引する大型連合の「フォルクスワーゲングループ」だ。
開発費を抑えてヒット量産!! でも、そううまい話ばかりじゃないプラットフォーム共有の功と罪
文/長谷川敦、写真/フォルクスワーゲン、ランボルギーニ、Newspress UK、Favcars.com
【画像ギャラリー】えっ! これも!? フォルクスワーゲングループ傘下の意外なクルマたち
グループの中核たるドイツの国民的自動車メーカー「フォルクスワーゲン」
フォルクスワーゲンといえばこのクルマ。1937年に生まれたタイプ1は、そのフォルムからビートルと呼ばれるようになり、多くのフォロワーを生み出している
1937年にドイツで誕生した自動車メーカーが「ドイツ国民車準備会社」。その第一号が、やがてビートルの愛称で世界的に大衆車となるフォルクスワーゲン(VW)・タイプ1だ。当時としては驚異的な低燃費と低価格で販売されたタイプ1は目論見どおりの人気を集め、ドイツ国内はもとより、その後2003年まで生産が続けられるほどのロングセラーとなった。
そもそも「フォルクスワーゲン」という名称自体が「国民車」や「大衆車」を意味しているが、タイプ1で世界に知られるメーカーとなったフォルクスワーゲンは、その後はバリエーションを拡大して現在では高級車も販売するブランドに成長。しかしフォルクスワーゲンの社名は現在でも使われている。
初代ビートルの大ヒットで業績をあげたフォルクスワーゲンは、1965年にアウトウニオン(現アウディ)を買収。同社の技術を生かして開発されたFF車のゴルフが1974年に販売されると、これもまた世界的な人気を集めた。
1980年代に入るとフォルクスワーゲンは拡大戦略を進めることになり、スペインのセアトやチェコのシュコダを買収し、ベントレーやブガッティなどの伝統あるメーカーもフォルクスワーゲンの傘下に収まった。
この勢いはとどまることを知らず、2010年代初頭にはついにドイツの名門ポルシェもフォルクスワーゲングループの一員となった。このポルシェ買収に関してはいろいろと複雑な事情もあるが、それは第2回で紹介する。
こうして現在では、世界第2位の自動車生産台数を誇る巨大自動車メーカー連合となったフォルクスワーゲングループ。その構成メーカーは、「フォルクスワーゲン」を筆頭に「アウディ」「ランボルギーニ」「ポルシェ」「セアト」「シュコダ」「ベントレー」「ブガッティ」「トレイトン」と、そうそうたる有名メーカーが名を連ねている。ここからは、各メーカーの歴史や特徴などを個別に見ていくことにしよう。
フォルクスワーゲングループの古参かつ稼ぎ頭 「アウディ」
1930年代には精力的にレース活動を行ったアウトウニオン。写真のタイプD(1939年)はスーパーチャージャー付きV12エンジンをミドシップに搭載する
1932年、世界恐慌からくる経済危機に対応するため、ドイツの自動車メーカー4社「アウディ」「DKW」「ホルヒ」「ヴァンダラー」が合併し「アウトウニオン」を設立。自動車連合を意味するアウトウニオンは、メンバー会社がそれぞれ得意とするジャンルの自動車を販売し、競争力を確保していた。現在も続くアウディのシンボル「フォーシルバーリングス」は、この4社が由来になっている。
1958年、ドイツのダイムラーベンツはアウトウニオンの株式を取得して自社のグループ企業とした。そして1964年、今度はフォルクスワーゲンがダイムラーの持つアウトウニオン株の買い取りを開始し、翌年には完全な傘下に収めることになった。
アウトウニオンはフォルクスワーゲングループの一員となった後にアウディのブランド名を復活させ、さらに1985年には社名もアウディに変更している。この80年代には公道自動車向けの4WDシステムを開発して世界ラリー選手権(WRC)にも4WDのクワトロで参戦。女性初のWRC優勝ドライバーの誕生に貢献するなど大活躍を演じている。
近年のアウディは、スポーツカーやセダン、SUVなどのラインナップに加えて電気自動車のe-tronもリリース。次世代パワーユニット車の開発にも積極的な姿勢を見せている。高級車のラインナップも多いアウディの売り上げは、フォルクスワーゲングループ全体の中で占める割合も大きく、グループの強化に貢献している。
イタリアの猛牛はドイツの血で復活! 「ランボルギーニ」
アウディ傘下になってから開発されたガヤルド。アウディ R8と兄弟車といわれると、なんとなくそう見えてくるのが不思議だ。500ps超えのV10エンジンを搭載
農業用トラクターの製造・販売で成功したイタリアのランボルギーニ社がスーパースポーツカーの開発にのり出したのが1963年。熱心な自動車マニアであった創業者のフルッチオ・ランボルギーニは、市販のスポーツカーに満足できず、自らスポーツカーの開発をスタートさせた。
流れるようなボディラインを持つ350GTVでカーメーカーとしての第一歩を踏み出したランボルギーニは、その後も個性的なモデルを次々にリリース。我が国で70年代に巻き起こったスーパーカーブームでは、同社のミウラ、カウンタック、イオタなどが少年たちの“スター”になった。
スーパーカーのラインナップで華やかなイメージのあるランボルギーニだが、1974年のオイルショックが業績に影を落とし、さらにBMWとの提携が失敗に終わったこともあって1978年に破産状態に陥ってしまう。これで創業者の手を離れたランボルギーニは、その後オーナー企業が変わり、紆余曲折を経て1987年にはアメリカ・クライスラーの傘下に入った。
クライスラー時代はそれほど長く続かず、インドネシアの財閥グループへいったん売却された後、1999年にはアウディがランボルギーニの株式を取得する。以後は現在に至るまでアウディの子会社、つまりフォルクスワーゲングループのメンバーになっている。
アウディとの提携により、ランボルギーニのモデルには同社の技術が投入されることになった。有名な例が2003年に登場したV10エンジン搭載のスポーツカー・ガヤルドで、このモデルはアウディR8(初代)と共通のプラットフォームをもち、エンジンや駆動系も共有。イタリアの情熱にドイツの理性が注入されたガヤルドは、それまでのランボルギーニ製マシンの伝統を引き継ぎながら、より信頼性と汎用性の高いモデルに仕上げられた。ガヤルドの後継車ウラカンもまた、2代目R8の兄弟車だ。
フォルクスワーゲングループ紹介の第1回はここまで。第2回はスポーツカーメーカーのポルシェをはじめ、ブガッティやベントレーなど、フォルクスワーゲングループの個性豊かなメンバーたちを紹介していきたい。
【画像ギャラリー】えっ! これも!? フォルクスワーゲングループ傘下の意外なクルマたち
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
マツダ「新コンパクトカー」がスゴイ! 6速MTもある「スポルト+」がイイ! 高機能「アイ セレクション」も追加の「マツダ2」が販売店でも話題に
トヨタ「少し…小さな高級ミニバン」あった! 5ナンバーサイズで「アルファード風グリル」採用!? ちょうどいいサイズに「豪華インテリア」採用の「エスクァイア」とは何だったのか
所要時間は6時間超え!「ロングラン急行」が“日本最北のローカル線”で運行へ 編成はごちゃ混ぜ
トヨタ「ハリアー」とレクサス「NX」比較に反響多数! 「ターボの加速最高!」「後席広くて快適」「高く感じるけど納得」の声! 似て非なる“ミドルSUV”に注目集まるワケとは
スズキ新「スイフトスポーツ」発売! 「グラデーションカラー」のド派手内装&「ブラック仕立て」の特別外装! “専用ロゴ”もカッコイイ最後の集大成モデル「ZC33S ファイナルエディション」とは?
「免許証見せるのイヤです」中国出身の女が逮捕、なぜ? 一時停止違反の取り締まりが”まさかのトラブル”に発展… みんなの反響は? 厳しい声も相次ぐ
大人気[アルファード]が月々7万円切り!! でも残価設定ローンの誰も教えてくれない落とし穴とは
中国・QJモーターが400cc 4気筒「SRK400RS」を日本市場投入! 最高出力77馬力で、早ければ6月発売
【10年ひと昔の新車】マツダ アテンザのSKYACTIV ディーゼルは静粛性も高く秀逸だった
510万円! トヨタ新「最安価・8人乗りアルファード」に反響多数!?「待ってた」「大歓迎」 驚愕の“120万円安い“シンプル仕様に販売店も「嬉しい悲鳴」
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
いつの時代の話し?
2021/10/21 19:37違反報告
↑
文 盲
話しと書いて文学ではハナシとも読む。
もっと本を読みなさい、経験の浅い低所得層君。