鈴鹿サーキットで開幕した2025年のスーパーフォーミュラ。タイヤやフォーマットの変更でレースの面白さが損なわれるのではないかという心配の声もあったが、基本的にペースの良いマシンが戦略にかかわらず強さを発揮するという傾向自体は例年通りだったと言える。
今季のスーパーフォーミュラは、まず横浜ゴムが供給するタイヤのサステナブル&リサイクル原料比率がアップし、それに伴い特性も変化。事前テストや開幕戦のフリー走行を終えた段階では、デグラデーション(性能劣化)が小さくなっているように感じるという声がドライバーからあがっていた。今季から2レース制フォーマットの2戦目はピットウインドウが撤廃される(=タイヤ交換義務を消化できる周回数に縛りがない)こともあって、1周目や2周目に早々にピットインしてタイヤ交換を済ませる戦略を採るチームが多いのではないかと予想された。
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実際、日曜日に行なわれた第2戦では最初の2周の間に22台中8台がピットインした。ただこれは、従来のピットウインドウが10周目に設定されたレースでも展開される、アンダーカットを狙う『ミニマム(ピットに入れる最少周回付近でタイヤを交換)』VSオーバーカットを狙う『引っ張り(タイヤ交換をレース中盤以降に伸ばす)』の構図と大きく変わらない。
つまり“表と裏”の戦略に分かれてスプリントレースが展開されるというのは同じであり、レースの流れ自体が大きく変わったという印象は受けない。では、第2戦で上位に入ったドライバーのラップタイム推移を見ていく。
ピットウインドウなしの第2戦、レースの流れは?
上の図は、第2戦でトップ6に入った牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、そしてペナルティで入賞圏外に落ちたもののトップ争いを展開した太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の計7名のラップタイム推移を折れ線グラフにしたものだ。
このうち、引っ張り戦略を採った牧野(赤実線)と佐藤(青実線)がレース後半にピットに入ったあと、タイヤ交換後に驚異的なペースを見せてマージンを稼いだことが分かる。同じ戦略の坪井(緑実線)も当然、タイヤ交換後のタイムは上がっている。
ミニマム組に目を向けると、TEAM MUGENの岩佐(黒実線)と野尻(黒点線)はペースが若干落ちていっているように見えるが、太田(赤点線)はタイムが落ちるどころか、燃料が減ってマシンが軽くなるに連れて徐々に速さを増している。フラガ(青点線)も終盤野尻に引っかかる形でラップタイムが悪化したが、基本的には後半にかけてペースは上がっていた。
したがって、1周目ピットインも現状戦略として十分機能する範疇にあると言える。ただ、第2戦は優勝できるほどのペースはなかったと記者会見で振り返った岩佐は、レースフォーマットやタイヤが変わったとはいえ、ペースの良いマシンが戦略にかかわらず強さを発揮する傾向は昨年と同じだと総括した。
「正直今日のレースを見ていると、やはり昨年とあまり変わらずに、純粋にペースがあるチーム、マシンがどんな戦略を採っても基本的には強いのかなと思いました」
「それはスーパーフォーミュラに限ったことではないと思いますけどね。ペースがあればどんな戦略でも問題ないというか、上位に来るというのはあると思います」
「ピット戦略ももちろん大事ですが、まずは自分たちがどういうパフォーマンスの立ち位置にいるのかが、戦略を決めるにあたって大事になってくるのかなと思いました」
第2戦のスタートでトップに立っていた岩佐は、1周目にピットインした後続の野尻、太田にリアクションする形で2周目にピットインした。結果的にポジションを落として3位に終わった岩佐だが、これはペースのなさが原因であり、戦略判断自体は間違っていなかったと岩佐、そして担当の小池智彦エンジニアは共に主張している。
「結論から言うと、あれ(2周目ピットイン)をやらないと5番手、6番手で終わっていたと思います」と小池エンジニアは振り返る。
「ペースがあれば牧野選手のように引っ張ってもなんとかなったかもしれませんが、最終的にペースもなかったので、被害を食い止めるにはあそこで入れるしかないなと思っていました。それにチャンピオンシップのことを考えると、前日の第1戦で優勝した太田選手を抑えにいかないと、という考えもありました」
「岩佐選手もペースさえあれば、裏(序盤ピットインしたミニマム組)のトップを走っていたので勝てるチャンスはあったと思います。最終的にはペースがなかったことが敗因で、戦略は間違っていなかったと思います」
一方で小池エンジニアは、次回以降のラウンドでもピットウインドウのないレースで1周目ピットインが有効かどうかについては疑問視している。このデグラデーションの少なさは“鈴鹿限定”ではないかと見ているからだ。
「タイヤのデグラデーションが少なくなったかと言われると、個人的には正直そうは思っていないんですよね」
「鈴鹿に関しては、東コースの改修(路面再舗装)がデグラデーションの減った一番の要因だと思っています。東コースでは路面が良すぎて、デグラデーションが起きていないんだと思います」
「ここからはデグラデーションの大きいサーキットになってくるので、1周目ピットインというのはなかなか厳しいかなと」
結論、今季の新タイヤとレースフォーマットは、現状レースの面白さを著しく希釈するようなものにはなっていないと言えるのではなかろうか。ただ、仮にピットウインドウのないレースでの1周目ピットインが常態化した場合、懸念される点がふたつある。ひとつは“見え方”の問題。1周目からレースがふたつに分断されるような形となるため、初心者にとってはやや分かりづらいというのは難点かもしれない。
そしてもうひとつは、オープニングラップにセーフティカーが出てしまった場合のこと。こうなると全車が1周目にピットに駆け込んでくる可能性もあり、チーム内2台同時ピットストップによって後ろを走っていた方のドライバーが大きくタイムロスし、その時点で不運にも勝負権を失うということも考えられる。また、ピットエリアの狭いサーキットでは危険を伴うという声もある。
実際に土曜の第1戦では、セーフティカーラン中にピットウインドウオープンの10周目を迎えて全車がピットインすることになり、チームメイトのすぐ後ろを走っていた野尻や牧野がダブルピットストップの割を食って大きくポジションを落とした。各車が密集するオープニングラップはアクシデントの発生率も高いことを考えると、ピットウインドウなしのレースの方がこのような事態が起きるリスクが高いと言える。
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