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【試乗】歴史的大ヒットの予感漂うホンダN-BOXの走りと使い勝手

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【試乗】歴史的大ヒットの予感漂うホンダN-BOXの走りと使い勝手

 ライバルを圧倒する室内の広さと使い勝手

「日本にベストな新しいのりものを創造する」という思いを込め、2011年12月に登場したホンダ・N-BOXが、いよいよフルモデルチェンジ。初代は約5年で4度もの新車販売台数1位(軽四輪車新車部門)を獲得し、スーパーハイトワゴンブームを加速させた大ヒットモデルだ。その新型となれば、いったいどんな進化を遂げてきたのか、注目している人は多いはず。今回は一般道ではなくクローズドコースでの試乗ではあるが、そのリポートを速攻でお届けしたい。

軽自動車にハイオク仕様がない理由とは

 まず新型N-BOX全体のテーマとなるキーワードは、「N for Life」。モノとしての良さだけでなく、人に寄り添い乗る人の毎日を楽しく豊かに変えたいという思いが込められている。なかでも、初代のユーザーに子育て層が多いことから、とくに考えられたのが「家族のしあわせ」なのだという。それを具現化するため、プラットフォームからパワートレインまで新しくした新型。素の状態で約150kg軽量化した上で、商品力アップのために70kgをプラスし、結果的に先代比約80kgを減量。外観のデザインは初代N-BOXらしさを継承しつつ、中身はまるで別モノになったと言える力の入れようだ。

 先に言ってしまえば、キーワードの意味をより強く感じたポイントは3点。「室内の思いやり機能の進化」、「乗る人すべてが快適な走行性能」、そして軽自動車トップに躍り出る「安心・安全技術の手厚さ」だ。

 まず「室内の思いやり機能の進化」で大きな目玉となるのが、前席を独立タイプとしてセンターウォークスルーを可能とし、さらに570mmものロングスライド機能を助手席に持たせた「助手席スーパースライドシート」。従来通りベンチシートのグレードもあるが、グレード名に「EX」と付くモデルにはこの機能が備わる。

 新型N-BOXの室内空間は、室内幅・高さは初代と同等ながら、室内長が60mm拡大して2240mmに。これはライバルのダイハツ・タント2200mm、日産デイズルークス2235mm、スズキ・スペーシア2215mmを一気に抜き去る驚異的な広さ。そこに、室内での移動と、自由な空間づくりを叶える機能を持たせたところに、家族へのやさしさが詰まっている。 

 たとえばママが何度も車外へ出ることなく、子どもの乗り降りを手伝えたり、荷物を取り出せたり。猛暑や雨・雪の日などはとくに助かるし、縦列駐車の際にも危険な車道側に降りなくて済む。

 そしてパパが運転のときには、助手席を前席と後席の中間にスライドしてママが座れば、パパとの会話も子どものお世話もしやすいし、出先ではいちばん前にスライドすると、子どもの着替えなどをラクにするスペースが取れる。もちろん、初代に途中から追加された後席スライド機能、座面をはねあげるチップアップ機能も健在。荷室のフロア長は25mm、高さは25~55mm拡大し、フロア地上高が75mm低くなったのも見逃せない進化。こうしたアレンジの幅広さも含め、新型N-BOXの室内に備わる思いやり機能は、子育てファミリーの毎日を劇的に変えてくれるはずだ。

 ハイト系の軽自動車でも期待以上のコーナーの安心感

 さて、2点目の走行性能については、自然吸気エンジンが14インチタイヤの「G・EX」、ターボエンジンが15インチタイヤの「G・EXターボ」でチェックした。運転席に座るとどちらも、よりワイドになった視界と、ポジションの取りやすさに感心。新骨格のインパネを採用し、Aピラーは初代の82mmに対して54.7mmにまで細くなり、とくに斜め前方の見え方が良くなっていると感じる。シートは新設計でミドルクラスセダン同等サイズのフレームを採用し、位置調整幅も広がっており、とくに大柄なパパでもゆったり座れるように改良されている。

 スタートボタンでエンジンをかけ、まずは自然吸気(NA)エンジンモデルで走りだす。今回、軽乗用車初となるVTECが搭載され、吸排気効率が大幅に向上。58馬力/65N・mのパワーと27.0km/Lの低燃費を両立し、初代の自然吸気エンジンよりも出力・トルクともに4000~5000rpmあたりからのもうひと押しが高まっているという。

 試乗は大人3人乗車で行ったが、発進直後からもたつきのない加速が得られ、鋭さはないものの思った通りに速度があげられる。40~60km/hあたりでは余裕を持ってコントロールできるし、80~100km/hでの巡航でも頭打ち感がなく、全高1700mm超の軽自動車としては期待以上。そして直進からすでにガッシリ感が増しており、カーブでは前のめり感なく進入してボディの沈み込みも少なく、安定して立ち上がれる。今回、全車に高性能ダンパーを採用し、FF車にはリヤスタビライザーを採用するなど、操安性や乗り心地にはかなりこだわったとのこと。また必要に応じてブレーキを自動制御し、コーナリングのしやすさと安定感を高める「アジャイルハンドリングアシスト」が全車標準装備なのも効いているようだ。

 一方、ターボエンジンにも軽乗用車初の技術、過給圧を任意に調整して最適化する電動ウェイストゲートを採用。64馬力/104N・mという数値をほこり、2600rpmで発生する最大トルクにびっくりだ。走り出すと、やはりモリモリとした加速フィールでバビューンと爽快に走れる俊足。これはミニバンレベルの加速性能だそうで、大人3人乗車でもまったく衰えを感じさせない頼もしさ。直進、カーブともに剛性感もさらにガッシリと感じるが、決してガチガチに硬いわけではなく、しなやかさも手に入れている。とくにそう感じるのが高速道路の車線変更を模して左右に移動した時や、少しきつめのS字カーブを抜ける時。ボディが傾くのを足もとを固めて無理やり抑えているようなものとは違い、とても自然にジワリと荷重移動してくれる感覚が、安心感と気持ちよさをもたらしてくれる。 

 そしてターボモデルでは高い静粛性にも驚いた。聞けば、全車に施したロードノイズ対策、防音材や遮音材だけでも初代より大幅に静かになっているが、カスタムモデルにはさらに防音材を追加で施し、コンパクトクラス同等の静粛性を達成したという。あまりに静かなので、高速域では逆に風切り音が目立ってしまうのが残念だが、車内の会話はとても明瞭で、こうしたところからも上質感の高さが実感できた。

 また、どちらも後席での試乗をしてみたが、乗り心地はかなり快適。15インチタイヤのターボでもゴツゴツ感はほとんどなく、乗る人すべてが快適な走行性能をしっかり手に入れていると感じた。

 軽自動車では群を抜く安全&運転支援装備

 さて、最後に「安心・安全技術の手厚さ」について。ボディそのものに、J-NCAP5つ星獲得を目指した衝突対応技術、歩行者傷害軽減対策を盛り込んだのはもちろん、やはり先進の安全運転支援技術「Honda SENSING」を全車に標準装備したのが大きな目玉となる。

 とくに、全車速対応ではなく約30km/h以上からの作動ではあるが、前走車との車間距離を一定に保つ追従機能、「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」や、車線の中央を走れるようステアリング操作をアシストする「LKAS」が搭載される軽自動車は現時点でほかになく、新型N-BOXはそうした面で軽トップクラスの先進安全機能を手にしたと言える。

 そのぶん、価格設定が高めになってしまうのを良しとしないユーザーもいるかもしれないが、この先5年、10年と長く乗ることを考えれば、ユーザーにとって決して損はない機能。前方・後方ともに作動する誤発進抑制機能や、標識認識機能など、万一のときだけでなく日頃のうっかりミスもカバーしてくれる10の先進機能で、運転中に子どもに気を取られがちなママや、お年寄りのドライバーにとってもグッと安心感を高めてくれるものだ。

 こうして新型N-BOXをチェックしてみて、初代のユーザーはもちろん、コンパクトクラスやミニバンからのダウンサイジングとしても、期待を上回る魅力満載だと実感。磨かれたデザインやインテリア、ツートーンを含めてさらに豊富に揃うボディカラーで、選ぶ楽しさも広がっている。また初代のN-BOX+のように荷室がスロープになるタイプも、遅れてバリエーションの一つとして追加される予定とのこと。事前受注もすでに好調という新型N-BOX。また歴史を塗り替える大ヒットの予感だ。

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