ガレージと書斎はマスト！ 「古民家を移築したような和モダンテイスト」をテーマに同級生に依頼したガレージハウス。【ガレージライフ】

「住みたい家を建てるのならば、建築家に頼みたい」、そんな思いを持って臨んだ同窓会で再開した同級生は、建築家になっていた！

「この家で特に気に入っているのは家の外観、中でも前のほう……なんて言ったっけ?」「ファサードですね」「そうそう、ファサードが好きですね」と施主のSさん。そして途中で答えを教えてくれたのが、この家の設計を担当した建築家の大岡成光さんである。お二人の間柄は、施主と設計士だけではない。実は高校時代の同級生で、しかも部活動も一緒。言うなれば"同じ釜の飯を食った"仲なのである。そんなSさん一家が自分たちの家を持つことを考え始めたのは、竣工の2年ほど前だった。

そのころは社宅のアパート住まいだったのだが、家族が増えたりしたこともあって、段々と手狭になりつつあったのだ。お子さんたちが成長するにつれて、そこに拍車が掛かるのはもはや既定路線。このまま家賃を払い続けるのならば、自分たちの家を持とうじゃないか、となったのである。「マイホームに憧れもありましたしね」と奥様。かくしてプロジェクトは船出を開始したのであった。

家を新たに建てる場合、まずは場所探しからとなるが、親世代が持っていた土地を譲ってもらえることになったのは、恵まれていたといえるだろう。もちろん住環境や利便性、あるいは勤務先との位置関係などが合致していれば、ではあるがその点も問題なかった。そして、いよいよ上物となるのだが、Sさんの中には「自分たちの思いをカタチにするには、設計事務所に頼むほうがいいんじゃないか？」との思いがあったのである。

そんなとき偶然開かれたクラス会で大岡さんと再会して……と昭和のネタのようにはならなかった。近況や動向の情報はSNSで得ており、大岡さんが建築家として活躍していることを実は薄々知っていたのだ。もちろん"同級生だった"のは依頼する契機のひとつではあったが、決して大きなファクターではない。手掛けた物件を見て、自分たちにとっての理想を叶えてくれそうに思えたからにほかならなかったという。

【写真15枚】子どもの成長とともにふくらんだ、マイ・ガレージハウスの夢！ 

「家を作るならば、ガレージと書斎はマストでした」とSさん。ほかでもたびたび耳にしたことがあるが、ガレージというのは実は難物なのである。担当者によっては、その必要性を1から説明することになることもある。その点で大岡さんは、これまでにも何件もガレージ付の物件を手掛けており、自身もガレージを持って楽しんでいたのだから、この段階で家造りの成功は約束されたようなモノだった!?

そしてSさんの希望が「古民家を移築したようなテイスト」だったので、和モダンがテーマとなり、それは達成された。前述のとおり「ガレージと書斎はマスト」だったが、それ以外のSさん側からの要望としては、外観の色、中庭を設けたい、吹き抜けにしたい、窓を大きくしてリビングを明るくしたい、サンルーム、和室を設けたいなどが出されたのである。そして「できませんでしたというのはイヤでしたからね」とは大岡さんのことで、それらはすべて実現されたのである。

中庭はガレージと、リビング・ダイニングの間に作られている。なので一見すると、完全なビルトインガレージの家のように思えるが、そうではないのが特色ともいえるだろう。母屋には完全に組み込まれていないセミビルトイン的なものになっており、中の車輌の圧迫感は抑えながらも、それでいてリビングから存在が感じられる適度な距離感といえる位置関係を築き上げているのである。

「使い勝手も住み心地も良いし、とても満足しています」とSさん。今後の課題としては、外構、家の前の砂利敷きの部分をどうするか？ なのだそう。雑草がアチコチ生えてきてしまうのを防止できる策を考えてみるそうだ。

◆Planning Data
　施　主：Sさん
　所在地：静岡県
　構　造：木造平屋
　敷地面積：496平米
　延床面積：168.93平米
　ガレージ面積：26.91平米
　外装／内装：防火サイディング／ビニルクロス　ほか
　愛　車：2019年式 レクサスES
　　　　　ハーレーダビッドソン・スピードスター
　設　計：株式会社大岡成光建築事務所
　施　工：株式会社木の香建築工房

◆Owner’s Check
・ここがお気に入り
　南西からの建物全体の外観がとても素晴らしいところで、和モダンでありながらもダイナミックな大屋根なども気に入ってます。
・ちょっと失敗
　敷地の関係でクルマ1台とオートバイでしたが、できればガレージはもう少し広くしておきたかったですね。
・これからの夢
　予算の都合上、外構仕上げは砕石敷きとなりましたが、今後は芝生や植栽などに手をかけていきたいと考えています。
・読者へのアドバイス
　ガレージは実際に見ることができないと思うので、雑誌などで研究してみてください。

◆Comment from an Architect：株式会社大岡成光建築事務所　大岡成光さん
和モダンがテーマのガレージ付き片流れの屋根が特長の高級住宅を設計させていただきました。外観は落ち着きのある比較的濃い外壁材を採用。ミディアムブラウンの木の柱と相性が抜群でした。間取りは中庭を囲うようにガレージとLDKを設計。LDKは天井を高くすることで開放感があり、中庭の緑も楽しめます。窓越しにクルマ、バイクが見える邸宅です。ぜひ、ガレージハウスの相談、お待ちしています。
株式会社大岡成光建築事務所　　https://ooka-design.com/ 
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