気になる人の愛車に隠された知られざるエピソードとは? 第4回の後編では、柏木由紀子さんの愛車ヒストリーと、筆者が見た1970年のメルセデス・ベンツ280SLに迫る。
オリジナル・ビートルを乗り継ぐ
新型ノア&ヴォクシーのハイブリッドが凄い! 驚きの新システムとは?
前編では坂本九さんと柏木由紀子さんが婚約記念に購入したメルセデス・ベンツ「280SL」についてのエピソードを綴った。
実は柏木由紀子さんも、18歳で免許を取得してからいまに至るまで、さまざまなクルマを乗り継いできた。今でも自身でハンドルを握り、買い物などへ行くという。
【前編はこちら!】
最初に購入したのは、デザインが大好きだったフォルクスワーゲンの初代「ビートル」だ。
「ボディカラーはグリーンでしたが、途中、“ある出来事”があって塗り替えました」
自由が丘付近で運転していたとき、見知らぬ人が突然乗り込んできたのだ。そのときの恐怖体験から、すぐにボディカラーを真っ赤に塗り替えたそうだ。
最初のビートルの数年後、乗り換えた次のクルマもビートルだった。
「2台目のビートルは子供がうまれるときに購入しました。男の子だったら“新車”を、女の子だったら“中古”をプレゼントしよう、と、主人が決めていました」
女の子だったので、目黒通りにあったショップから中古を購入することになった。
2台目のビートルは、子どもたちの送迎や日々の買い物にと活躍。雪が降る日も運転していたそうだ。ご自宅には、ビートルと家族4人が映る写真が飾られていた。
「気に入っていたものの、雨漏りがひどくなってきたため手放しました。雨の日に子どもたちを駅まで送ったりすると、床に雨水が溜まってしまうほどになってしまったんです」
ビートルの次は、BMWを購入した。「当時、BMWがいいなぁと思っていたのと、たまたま広島で知り合った人がBMWの関係者だったのも縁でした」と、柏木さん。
柏木さんは、1986年からテレビ新広島の『クイズクロス5』の司会を担当することになり、広島に通っていた。坂本さんが1983年から司会を務めていたクイズ番組だ。
「購入したのは紺の『525i』でした。5シリーズを選んだのは、知り合いのオススメだったからです。はじめて乗ったときは『これがクルマかぁ』と、感心したのを覚えています。ビートルと違ってクーラーも効きましたからね」
525iの次は「735i」を購入。BMWのフラグシップセダンだ。ビートルに比べ、ボディサイズはかなり大きい。
「BMWに乗っていたときは、主人の運転手さんが我が家にいらっしゃったんです。なので、私が仕事のときは、運転手さんにBMWの運転をお願いしていました」
BMWから思い出のクルマへ
7シリーズのあと、柏木さんは、思い出のビートルに戻る。ただし、オリジナルではなく、現代によみがえった“ザ・ビートル”だ。
「運転手さんが辞められてからは、自分で運転していました。すると、こんなに大きいサイズのクルマは必要ないのでは? と、思い、ビートルに乗り換えたんです」
最初に購入したのは金属ルーフのザ・ビートル。その後、カブリオレに乗り換えた。現在の愛車の「ザ・ビートル・カブリオレ 70's」だ。
「今のクルマは東京に在庫がないということで、広島の方で購入しました」
2013年に販売された特別仕様車ザ・ビートル・カブリオレ 70'sは50台限定だった。ブラウンのボディカラーに、ベージュのソフトトップを組み合わせたエクステリアが優雅だ。柏木さんも、このカラーコーディネートがお気に入りという。
インテリアもベージュのレザーシートがシックだ。車内には傘やサングランスなどが置かれ、普段から移動手段として頻繁に使われているのがわかる。「カフェが好きでよく行くのですが、ひとりのときはコーヒーを買って、停めた車内で飲むことも多いんですよ」と、柏木さん。
「最近は高速道路こそほとんど乗りませんが、都心部の買い物などにはよくビートルで行きます。これとおなじ仕様はほとんど見かけないのですが、ひとりだけ近くのスーパーの駐車場でばったり遭遇したんです! 嬉しくてとなりに停めてしまいました(笑)」
ちなみに幌を下げるのは、「年に1~2度です」とのこと。桜の時期と、お孫さんが乗るときに開けるという。
ワンオーナーの280SL
ガレージには、ザ・ビートルとともに1970年に購入した280SLが並ぶ。ナンバーは「・・・9」だ。しばらく乗らなかったとき、一時抹消したため、ナンバーを新しく取得したという。
ボンネットをあけると、そこにはオリジナルの2.8リッター直列6気筒SOHCガソリン・エンジンが鎮座する。そして、当時の正規輸入元だったウエスタン自動車のコーション・プレートがあった。所有する280SLは、ナンバーこそ変わってしまったものの、ワン・オーナーの正規輸入車両だからすごい。おそらく、こんな280SLは日本全国探してもほぼないはずだ。
インテリアも、ほぼ新車当時のままだ。後付けと思われるクーラーのスイッチ部分には“YANASE”のロゴが入っている。ラジオやアナログ時計も当時のままだ。
トランスミッションは4AT。「私が運転することも考えてオートマチックにしたのでしょうね」と柏木さん。
メーターに目を移すと、走行距離は3万7858kmを示していた。約51年間でこの距離だから随分少ない。
「購入当時こそ伊豆や箱根にドライブへ行きましたが、それからはほとんど長距離を走らなかったので走行距離が伸びなかったのかもしれません」
今回、エンジンは掛けられなかった。はたして、問題なく走るかどうかは未知数。そこで、ヤナセが手がけるレストア・サービスを紹介したところ、「こういったサービスもあるんですね」と、興味を示された。
「またいつの日か、このクルマを運転出来たら嬉しいんですけどね……」と、柏木さんは遠くを見つめる。
いつの日か280SLが、坂本さんと柏木さんの思い出の地まで走れるようになることを、筆者も陰ながら応援したい。
【愛車の履歴書 バックナンバー】
Vol1.俳優・市毛良枝さん 前編/後編
Vol2.俳優・野村周平さん 前編/後編
Vol3.シンガーソングライター・宇徳敬子さん 前編/後編
Vol4.坂本九さん&柏木由紀子さん 前編
【プロフィール】
坂本九(さかもと きゅう)
歌手・俳優・タレント・司会者。1941年12月10日生まれ、神奈川県出身。1960年、シングル『悲しき六十才』でデビュー。1961年、『上を向いて歩こう』が大ヒット。同曲は1963年にアメリカで『SUKIYAKI』としてリリースされ、『Billboard Hot 100』で3週連続第1位を獲得する。もちろん、日本人初だ。その後も『見上げてごらん夜の星を』や『明日があるさ』など数々のヒット曲を放つ。さらに俳優や司会者としても映画やテレビで活躍した。1985年8月12日、日本航空123便墜落事故に遭い星になる(享年43歳)。
柏木由紀子(かしわぎ ゆきこ)
東京都世田谷区出身。小学生の時に劇団若草に入団。雑誌『女学生の友』などのモデルをつとめる。高校生の時に松竹映画『明日の夢があふれている』(1964年)で映画デビュー。翌1965年に『若い真珠』でレコードデビュー。1966年、『東京の人』のヒロインに抜擢、以後『細腕繁盛記』『これが青春だ』『新妻鏡』『華麗なる一族』など数々のドラマで人気に。ロート製薬などのCMにも多数出演した。
1971年に坂本九さんと結婚。ふたりの娘の育児をしながら女優活動や夫婦で共演したCMや『なるほど!ザ・ワールド』などのクイズ番組などにも出演。
家族愛と絆について執筆した本『上を向いて歩こう』(扶桑社)は30万部を越えるベストセラーに。家族愛をテーマにした講演も全国で開催。
2004年には長女・大島花子、次女・舞坂ゆき子と家族ユニット「ママエセフィーユ」を結成。CD『心の瞳』をリリースした。2020年には『心の瞳』のアンサーソングとして『瞳をとじて』をリリース。今年の5月26日には『星を見上げて歩き続けて』(光文社)を刊行した。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・正木万美子
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
日産[e-POWER]が大ピンチだと!? ホンダの[e:HEV]と比べると評判がイマイチなのはなんで?
ランクル300の一部改良モデルが3月18日に発表か!? 価格は約13万~15万円アップ! 今度こそ買えるのか? されど納期は6年!?
日本車が「コスパ最強ランキング」で1位~8位を独占! 3億7000万台の走行データで比較、米リポートで明らかに
日産「新型エルグランド」登場か!? 世界初の「画期的システム」&市販車初の“運転がラク”になる「めちゃ便利機能」採用! “元祖高級ミニバン”を支えてきた「革新的技術」とは?
“250万円”超え! トヨタ「豪華なルーミー」がスゴイ! 2トーンカラー&「360度モニター」採用! “安全機能&快適装備”も進化の「カスタムG 4WD」フルオプション仕様に注目!
なぜ…!?「リアワイパー」をわざわざ取り外す理由とは 勿体ないのに「敢えてワイパーレス」にして大丈夫? 「思わぬメリット」と「デメリット」とは
「ながらスマホ事故」過去最多にネット紛糾!?「飲酒運転並みに厳しくしろ」「依存症多すぎ」の声も…厳罰化で一体何が変わったの? 「ほとんどが若者」の実態とは
人気車種の「受注停止」が目立つ日本! ほしいクルマが買えないいまの状況を販売店に確認してみた
日産[e-POWER]が大ピンチだと!? ホンダの[e:HEV]と比べると評判がイマイチなのはなんで?
軽自動車の任意保険が急に「値上がり」「値下がり」した人がいる! 2025年から始まった「型式別料率クラス細分化」ってどういうこと?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
勿体ねー
せっかくのワンオーナー「品川33」が、今じゃツマラン3桁ナンバーの希望ナンバー9ってのはなあ!