トヨタ自動車は1日、2025年に米国で稼働予定の電動車向け電池工場に21億ドル(約2900億円)を追加投資すると発表した。同工場への投資総額は59億ドル(約8200億円)に達する。同年、ケンタッキー州の工場で米国初となる電気自動車(EV)の生産も始める。EVへの優遇を米国内生産車に限るインフレ抑制法(IRA)をにらみ、米国への投資を積み増す。
ノースカロライナ州に新設する電池工場「トヨタ・バッテリー・マニュファクチャリング・ノースカロライナ(TBMNC)」は21年10月に発表済みで、22年8月と今回の合わせて2回、追加投資を表明した形になる。米国で需要拡大が見込まれる電動車向けの電池供給能力を引き上げる。同工場は北米統括会社のトヨタ・モーター・ノース・アメリカ(TMNA)と豊田通商が共同出資する。出資比率は9対1となる。
トヨタ、EV関連投資を1兆円積み増し 2030年までに5兆円投資
TBMNCで生産する車載電池を、ケンタッキーの工場で25年から生産する3列シートSUVの新型EVに搭載する。同工場では現在、「RAV4」「カムリ」ハイブリッド車(HV)の組み立てやエンジンを手がける。
トヨタは5月12日に開いた決算会見で、30年までのEV関連投資をそれまでの4兆円から5兆円に増やす方針を明らかにした。追加投資の1兆円分は主に車載電池向けであることも明かしており、今回のTBMNCへの追加投資はこの一環となる。
米国のIRAを踏まえ、トヨタ以外の自動車メーカーも米国生産の強化に乗り出している。22年8月に成立した同法は、北米内での車両組み立てや車載電池材料の重要鉱物など、一定の条件を満たした場合、1台当たり最大で7500ドル(約100万円)の税額控除が受けられる。ホンダは韓国・LGエナジーソリューションとEV用電池工場を設立、25年中に量産を開始する。年産能力は40ギガワット時という。
トヨタはTBMNCの生産能力を明かしていないが、生産ラインはHV向けが4ライン、EV向けが2ラインとしており、25年の立ち上げ時点ではHV向け電池の生産が多くなる見通しだ。
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