EVのタイヤにかかる負荷は大きい
中国では新車販売におけるEV(電気自動車)の比率は30%前後となっている。つまり、EVは珍しいものではなく、ユーザーも正しくEVの機能や性能を認識し、使い方についての経験値も高まっていると想像できる。一方、日本におけるEVのシェアは3%前後であり、EVとのカーライフを肌感で認知しているユーザーは圧倒的に少数派だ。
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そうした状況だからなのか、日本ではEVに対してさまざまなウワサが流されていると感じる。はたして、それは真実なのだろうか。ここでは、以下に記す6個のウワサについて考察していこう。
1)EVは暑い・寒いと充電ができない?
エンジン車とEVにおける最大の違いとなるのは、EVは走るために充電が必要という点だろう。日常的に利用する充電としては、自宅や職場で行う基礎充電(大半が普通充電)と道中で電気を足す経路充電(急速充電を想定)に大別されるだろうが、とくに後者の急速充電については多くの誤解があると感じる。
残念ながら急速充電器と車両の相性という問題もあるし、バッテリーの状態(充電量や温度)によって電気の入り方が異なるという特性もある。そうした特徴を単純に表現すべく、「暑くても、寒くても、期待どおりに充電できない」というウワサが広まっているようだ。
このウワサについては、大筋ではイエスといえる。たしかに、バッテリーがベストの充電性能を発揮するには外気温の影響は無視できない。適温の範囲はモデルによって異なるが、暑すぎても、寒すぎても充電が進みづらい傾向が出てくるのは事実だ。ほかにも連続走行の直後にはバッテリーが熱くなりがちで、高速道路のSAなどで急速充電器につないでも期待通りの充電性能が出ないこともある。
ただし、最近のEVでは水冷などによりバッテリー温度を適温にコントロールする機能が備わっていることが多く、そうした機能を持たない初期のEVで起きたような外気温の影響を受けづらくなっているのも、また事実だ。
2) タイヤの減りがエンジン車より早い
EVはタイヤの消耗が早く、数か月で交換するハメになる……というウワサはアメリカのメディアによって広まったと記憶している。たしかに、テスラの上級グレードなどハイパフォーマンスをウリにしているEVで、その加速性能を味わっていれば、タイヤの減りは早い傾向にあるだろう。ただし、エンジン車であっても、ハイパフォーマンスカーで全開加速を楽しみすぎれば同様にタイヤの減りは早くなるわけで、EVに限定した話とするのは疑問もある。
一方、EVは多量のバッテリーを搭載するため、同じ車格であれば重量増になりがちで、そのウエイトがタイヤ消耗を早めているという指摘も目にするところだ。たとえば、日産の軽自動車EV「サクラ」の重量は1070~1080kgで、タイヤサイズは155/65R14。同じく日産の軽自動車でボディ形状が似ている「デイズ」の重量は840~880kg(FF)、タイヤサイズは155/65R14と165/55R15が設定されている。車重が25%程度重く、それでいて同等サイズのタイヤを履いているのだからタイヤに対する負担は大きく、消耗が早くなるという指摘は妥当といえる。
もっとも、軽自動車というカテゴリーにおいて全開加速を楽しむようなユーザーは少数派であろう。エンジン車に対してEVのほうがタイヤは消耗しやすい傾向にあるだろうが、数カ月でスリップサインが出てしまう、というウワサは現実味を欠いていると感じる。
3) 急速充電をしまくるとバッテリーは劣化する
現在、市販されているEVの多くはリチウムイオン電池を使っている。EV用に限らずリチウムイオン電池には充電回数によって劣化が進む特性がある。また、同じ充電であっても、急速充電のほうが普通充電よりバッテリーに負担をかけ、劣化を進めてしまうというのも否定できない事実だ。
そのため、経路充電を多用するとバッテリーは傷みがちとなる。古くからのEVオーナーからは、基礎充電をメインで運用すべきというアドバイスを聞くこともあるが、性能維持を考えれば、先人の知恵は素直に聞き入れるべきだろう。
バッテリーがあがってしまう可能性もゼロではない!
4)補機用12Vバッテリーはあがらない
エンジンの始動を12Vバッテリーが担っているように、EVにおいてもシステム起動には12Vの補機バッテリーを使っている。この補機バッテリーの存在を知らないユーザーもいるようだが、たとえ駆動バッテリーが満充電であっても、補機バッテリーがあがってしまうとEVは走り出すことはできない。
基本的にはメインの駆動用バッテリーから適宜、補機バッテリーを充電しているため、正常に動いている限りは補機バッテリーがあがってしまうことは考えづらい。ただし、いまどきのバッテリーは突然寿命を迎えて電圧降下してしまうことがある。そのため、EVでもバッテリーあがりの可能性はゼロとはいえない。
5) EVはリセールバリューが低い
自動車におけるリセールバリュー(残存価値)は、「買取価格」といいかえることもでき、中古車相場からも推し量ることができる。少なくとも日本においては、中古EVの流通量が多いとはいえず、しかもある程度の期間において相場観を評価できるのは日産リーフくらいといえる。
そして、オーナーにとっては残念といえるかもしれないが、リーフのリセールバリューはけっして良好とはいえない状況にある。エンジン車、ハイブリッドの人気SUVや希少なスポーツカーなどが誇っているような高いリセールバリューと比べると、リーフのそれは褒められたレベルにないのも事実だ。
ただし、中古車市場におけるEVにおいては、メーカー希望小売価格から各種補助金を引いた金額が、実質的な新車価格として判断されがちで、そこから年式や距離によって相場が形成されることになる。そのため、メーカー希望小売価格だけでみると、実際以上にリセールバリューが悪いように見える部分もあるのだ。
いずれにしても、本質的なリセールバリューには市場ニーズも大きく影響するわけで、現時点で「EVのリセールバリューがどうだ!」と断言するのは難しいといえるのではないだろうか。
6)EVはエンジン車より維持費は安い
一般的に、クルマの維持費(ランニングコスト)を構成する要素として『燃料代(EVの場合は電気代・充電使用料)・各種税金や保険・メンテナンスコスト』の3つが挙げられる。
いまのところ、自動車税については、登録車EVは1リッター以下と同等扱いになっているほか、そもそも免税されている期間があるなど維持費の面では有利だ。メンテナンスにおいても、EVはエンジンオイルの交換が不要となっていることでランニングコストが下がっているのはいうまでもないだろう。
ランニングコストにおいて気になるのは、エンジン車の燃料代とEVの電気代の比較となるが、はっきりいえば、この計算は非常に難しい。最大の要因は、EVの充電コストがケースバイケースで大きく異なる点にある。すべての走行を基礎充電で行った場合と急速充電を使ったケースで試算するにしても、現時点では急速充電は時間単位での課金であり、急速充電器の性能によって時間あたりで充電できる電力量は変わってくる。また、前述したようにバッテリーや気温といったコンディションによっても充電性能は変化するからだ。
とはいえ、いわゆるガソリン税のような重い税負担が、家庭での電力消費にはかかっていないため、基礎充電をメインに運用すれば、EVのランニングコストはエンジン車より低くなる傾向にあるといえるだろう。
まとめると、巷間流れているウワサの多くは事実を含んでいる。ただし、さまざまなモデルが登場してきている昨今において「EV」という主語は大きすぎるキライもあるといえるのではないだろうか。とくに気温と充電性能の関係については、最新モデルになるほど影響が小さくなっている傾向にある。
ウワサは事実無根とはいわないが、本気でEVを狙っているのならば個別の性能や評判をチェックするほうが建設的といえそうだ。
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みんなのコメント
2)の車重大による弊害の数々と3)の急速充電による電池劣化の問題は重大だよ。
2)の車重大は道路にもダメージ大きいという問題が有る。
そこから考えると6)の税金等の維持費は本来、EVの方が高く有るべき。