現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「タイヤの摩耗が早い」「買い取り価格は期待できない」EVにまつわる巷のウワサ6つの真実

ここから本文です

「タイヤの摩耗が早い」「買い取り価格は期待できない」EVにまつわる巷のウワサ6つの真実

掲載 70
「タイヤの摩耗が早い」「買い取り価格は期待できない」EVにまつわる巷のウワサ6つの真実

EVのタイヤにかかる負荷は大きい

中国では新車販売におけるEV(電気自動車)の比率は30%前後となっている。つまり、EVは珍しいものではなく、ユーザーも正しくEVの機能や性能を認識し、使い方についての経験値も高まっていると想像できる。一方、日本におけるEVのシェアは3%前後であり、EVとのカーライフを肌感で認知しているユーザーは圧倒的に少数派だ。

「分断はやめて、楽しもうよと(笑)」 モデル3オーナー、石井さんに聞くEVコミュニティ事情

そうした状況だからなのか、日本ではEVに対してさまざまなウワサが流されていると感じる。はたして、それは真実なのだろうか。ここでは、以下に記す6個のウワサについて考察していこう。

1)EVは暑い・寒いと充電ができない?

エンジン車とEVにおける最大の違いとなるのは、EVは走るために充電が必要という点だろう。日常的に利用する充電としては、自宅や職場で行う基礎充電(大半が普通充電)と道中で電気を足す経路充電(急速充電を想定)に大別されるだろうが、とくに後者の急速充電については多くの誤解があると感じる。

残念ながら急速充電器と車両の相性という問題もあるし、バッテリーの状態(充電量や温度)によって電気の入り方が異なるという特性もある。そうした特徴を単純に表現すべく、「暑くても、寒くても、期待どおりに充電できない」というウワサが広まっているようだ。

このウワサについては、大筋ではイエスといえる。たしかに、バッテリーがベストの充電性能を発揮するには外気温の影響は無視できない。適温の範囲はモデルによって異なるが、暑すぎても、寒すぎても充電が進みづらい傾向が出てくるのは事実だ。ほかにも連続走行の直後にはバッテリーが熱くなりがちで、高速道路のSAなどで急速充電器につないでも期待通りの充電性能が出ないこともある。

ただし、最近のEVでは水冷などによりバッテリー温度を適温にコントロールする機能が備わっていることが多く、そうした機能を持たない初期のEVで起きたような外気温の影響を受けづらくなっているのも、また事実だ。

2) タイヤの減りがエンジン車より早い

EVはタイヤの消耗が早く、数か月で交換するハメになる……というウワサはアメリカのメディアによって広まったと記憶している。たしかに、テスラの上級グレードなどハイパフォーマンスをウリにしているEVで、その加速性能を味わっていれば、タイヤの減りは早い傾向にあるだろう。ただし、エンジン車であっても、ハイパフォーマンスカーで全開加速を楽しみすぎれば同様にタイヤの減りは早くなるわけで、EVに限定した話とするのは疑問もある。

一方、EVは多量のバッテリーを搭載するため、同じ車格であれば重量増になりがちで、そのウエイトがタイヤ消耗を早めているという指摘も目にするところだ。たとえば、日産の軽自動車EV「サクラ」の重量は1070~1080kgで、タイヤサイズは155/65R14。同じく日産の軽自動車でボディ形状が似ている「デイズ」の重量は840~880kg(FF)、タイヤサイズは155/65R14と165/55R15が設定されている。車重が25%程度重く、それでいて同等サイズのタイヤを履いているのだからタイヤに対する負担は大きく、消耗が早くなるという指摘は妥当といえる。

もっとも、軽自動車というカテゴリーにおいて全開加速を楽しむようなユーザーは少数派であろう。エンジン車に対してEVのほうがタイヤは消耗しやすい傾向にあるだろうが、数カ月でスリップサインが出てしまう、というウワサは現実味を欠いていると感じる。

3) 急速充電をしまくるとバッテリーは劣化する

現在、市販されているEVの多くはリチウムイオン電池を使っている。EV用に限らずリチウムイオン電池には充電回数によって劣化が進む特性がある。また、同じ充電であっても、急速充電のほうが普通充電よりバッテリーに負担をかけ、劣化を進めてしまうというのも否定できない事実だ。

そのため、経路充電を多用するとバッテリーは傷みがちとなる。古くからのEVオーナーからは、基礎充電をメインで運用すべきというアドバイスを聞くこともあるが、性能維持を考えれば、先人の知恵は素直に聞き入れるべきだろう。

バッテリーがあがってしまう可能性もゼロではない!

4)補機用12Vバッテリーはあがらない

エンジンの始動を12Vバッテリーが担っているように、EVにおいてもシステム起動には12Vの補機バッテリーを使っている。この補機バッテリーの存在を知らないユーザーもいるようだが、たとえ駆動バッテリーが満充電であっても、補機バッテリーがあがってしまうとEVは走り出すことはできない。

基本的にはメインの駆動用バッテリーから適宜、補機バッテリーを充電しているため、正常に動いている限りは補機バッテリーがあがってしまうことは考えづらい。ただし、いまどきのバッテリーは突然寿命を迎えて電圧降下してしまうことがある。そのため、EVでもバッテリーあがりの可能性はゼロとはいえない。

5) EVはリセールバリューが低い

自動車におけるリセールバリュー(残存価値)は、「買取価格」といいかえることもでき、中古車相場からも推し量ることができる。少なくとも日本においては、中古EVの流通量が多いとはいえず、しかもある程度の期間において相場観を評価できるのは日産リーフくらいといえる。

そして、オーナーにとっては残念といえるかもしれないが、リーフのリセールバリューはけっして良好とはいえない状況にある。エンジン車、ハイブリッドの人気SUVや希少なスポーツカーなどが誇っているような高いリセールバリューと比べると、リーフのそれは褒められたレベルにないのも事実だ。

ただし、中古車市場におけるEVにおいては、メーカー希望小売価格から各種補助金を引いた金額が、実質的な新車価格として判断されがちで、そこから年式や距離によって相場が形成されることになる。そのため、メーカー希望小売価格だけでみると、実際以上にリセールバリューが悪いように見える部分もあるのだ。

いずれにしても、本質的なリセールバリューには市場ニーズも大きく影響するわけで、現時点で「EVのリセールバリューがどうだ!」と断言するのは難しいといえるのではないだろうか。

6)EVはエンジン車より維持費は安い

一般的に、クルマの維持費(ランニングコスト)を構成する要素として『燃料代(EVの場合は電気代・充電使用料)・各種税金や保険・メンテナンスコスト』の3つが挙げられる。

いまのところ、自動車税については、登録車EVは1リッター以下と同等扱いになっているほか、そもそも免税されている期間があるなど維持費の面では有利だ。メンテナンスにおいても、EVはエンジンオイルの交換が不要となっていることでランニングコストが下がっているのはいうまでもないだろう。

ランニングコストにおいて気になるのは、エンジン車の燃料代とEVの電気代の比較となるが、はっきりいえば、この計算は非常に難しい。最大の要因は、EVの充電コストがケースバイケースで大きく異なる点にある。すべての走行を基礎充電で行った場合と急速充電を使ったケースで試算するにしても、現時点では急速充電は時間単位での課金であり、急速充電器の性能によって時間あたりで充電できる電力量は変わってくる。また、前述したようにバッテリーや気温といったコンディションによっても充電性能は変化するからだ。

とはいえ、いわゆるガソリン税のような重い税負担が、家庭での電力消費にはかかっていないため、基礎充電をメインに運用すれば、EVのランニングコストはエンジン車より低くなる傾向にあるといえるだろう。

まとめると、巷間流れているウワサの多くは事実を含んでいる。ただし、さまざまなモデルが登場してきている昨今において「EV」という主語は大きすぎるキライもあるといえるのではないだろうか。とくに気温と充電性能の関係については、最新モデルになるほど影響が小さくなっている傾向にある。

ウワサは事実無根とはいわないが、本気でEVを狙っているのならば個別の性能や評判をチェックするほうが建設的といえそうだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
Auto Messe Web
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
【試乗】N-VAN e:の走りがスゴイ理由に納得! これは序章にすぎないホンダの「EVリ・スタート」だった!!
【試乗】N-VAN e:の走りがスゴイ理由に納得! これは序章にすぎないホンダの「EVリ・スタート」だった!!
WEB CARTOP
空冷6気筒の水平対向! RRレイアウト! ポルシェになれなかったGMの「コルヴェア」とは
空冷6気筒の水平対向! RRレイアウト! ポルシェになれなかったGMの「コルヴェア」とは
WEB CARTOP
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
くるまのニュース
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
くるまのニュース
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
ついにトヨタ「新型セリカ」復活!? 次期8代目登場か… 中嶋副社長「セリカ、やっちゃいます。」宣言! 会長も後押し!? ラリージャパンで語られたコトとは
くるまのニュース
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース
水道代がかからないしエコだからって「井戸水」「雨水」洗車はNG! キレイにならないどころか塗装を傷める可能性もあった
水道代がかからないしエコだからって「井戸水」「雨水」洗車はNG! キレイにならないどころか塗装を傷める可能性もあった
WEB CARTOP
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
「えっ、4つのリングのマークじゃない!?」 アウディが新ブランドを立ち上げ なぜ“4リングス”を使わない? 世界最大市場での戦略とは
VAGUE
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
スバル新型「すごいフォレスター」登場に反響あり! 水平対向エンジン×本格ハイブリッド搭載に「楽しみ!」の声も! 日本発売は一体いつ?
くるまのニュース
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
THE EV TIMES
【この190SLなんぼ?】走行距離わずか4,753kmでこの値段!なんで?このメルセデス300 SLの弟分190SLは掘り出し物?
【この190SLなんぼ?】走行距離わずか4,753kmでこの値段!なんで?このメルセデス300 SLの弟分190SLは掘り出し物?
AutoBild Japan
[F40]だって夢じゃねぇ! [中古車]バブルが崩壊したらあなたは何を買う
[F40]だって夢じゃねぇ! [中古車]バブルが崩壊したらあなたは何を買う
ベストカーWeb

みんなのコメント

70件
  • dec********
    無理矢理EV推しでも叩きまくりでもなく概ね妥当な記事。
    2)の車重大による弊害の数々と3)の急速充電による電池劣化の問題は重大だよ。
    2)の車重大は道路にもダメージ大きいという問題が有る。
    そこから考えると6)の税金等の維持費は本来、EVの方が高く有るべき。
  • ********
    北海道みたいな寒冷地&長距離走行のステージでは怖くて乗れないと思うのですが、どうなんでしょう?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村