待望のCX-8後継はラージ商品群から
マツダが国内外で続々と展開する「ラージ商品群」。日本市場ではその第2弾、国内未導入車種を含めれば第4弾となる3列シートSUV「CX-80」のメディア向け先行撮影会が開かれた。
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この日姿を現したCX-80は、マツダが日本市場に初めて投入した3列シートSUVであるCX-8の事実上の後継モデル。ことし4月には、欧州において5月からの予約受注開始と今秋の発売予定が発表されていた。
CX-8が世に出たのは2017年のこと。それと同時に、マツダは当時販売していたミニバン3車種、プレマシー/MPV/ビアンテの製造と販売を終了する決断を下したのだった。
同社は当時、この判断に至った理由を「ミニバンというボディ形状では、同社の理想とするデザインや走り、そして安全性の実現が難しいため」であると説明した。
こうして、CX-8の登場は、今後のマツダにおける多人数乗車ニーズをミニバンではなくSUVが担うことになるという大きな転換点となった。
CX-8は国内3列シートSUV市場において、デビュー翌年となる2018年に早くも販売台数第1位(3万679台)を獲得。そのコンセプトが、ユーザーに広く受け入れられたといっていいだろう。
その後も、マツダ車といえばおなじみのきめ細かな商品改良や内外装のお色直しを受けながら、昨年暮れに7年あまりのモデルライフに終止符を打ったCX-8。
CX-8の後継として登場し、日本市場では2世代目の3列シートSUVとなるCX-80は、マツダらしさを更に高め、質感高い走りとデザインを全面に押し出した1台だ。
コンセプトは「Graceful Driving SUV」
CX-8とCX-80との最大の違いは、言うまでもなく基本骨格にある。
エンジン横置き・FFベースのCX-8に対し、「ラージ商品群」のCX-80は、もちろん縦置き・FRベースなのだ。この2台にCX-60を加えた3台の、サイドからのカットをご覧いただきたい。
CX-80とCX-60の全長の違いは250mm。2台を見比べると、プロポーションの差が両者の個性としてあらわれている。
この2台のフロントには前後方向に長い直列6気筒エンジンが収まるので、ボディ全体に対してのボンネットの主張が強くなる。2台を離れて眺めると、CX-80はCX-60よりもキャビンのボリュームが増したことにより、均整がとれたプロポーションを手に入れたといえる。
また、CX-80は3120mmという長いホイールベースのおかげで、CX-60(同2870mm)やCX-8(同2930mm)と比べると立ち姿に安定感がある。全体的に、軽快さや快活さよりも、どっしりと地に足がついた、重厚感があるモチーフでまとめられたデザインなのだ。
インテリアに目を向ける。やはりCX-80のハイライトとなるのは、2列目と3列目の居住性だろう。
2列目の居住空間は、ヘッドルームで+12mm、ショルダールームで+35mm拡大したと説明された。実際に腰掛けてみると、この数値が示しているとおり、とくにショルダールームには「広くなった!」とすぐに感じられるゆとりがあった。
さらに3列目は、ヘッドルームを29mm、ショルダールームは54mmもの拡大を図ったと説明された。実寸だけでなく、深く腰掛けた着座姿勢により、乗員の快適性を向上。後席ドアは開口部形状や乗降ステップの造形も追求することでアクセス性を改善させたという。
この3列目にも実際に乗り込んでみたところ、身長170cmの筆者はなんら窮屈さを感じなかった。
先達のCX-8が、SUVでありながらもピープルムーバーとしてユーザーから広く受け入れられたという実績から、さらに実用性能を作り込み「使える」3列目に仕上げてきているのだ。
限られたボディサイズ ぎりぎりのせめぎ合い
このCX-80は、すでに海外で販売されているCX-90という3列シートSUVの車幅を狭めたモデルと解釈できる。
日本や欧州で販売されるCX-80は、全長×全幅×全高=4990×1890×1705(ルーフレール装着車は1710、全高はいずれもマツダ社内測定値)mmという数値にして、このデザインとパッケージングを実現しているのだ。
そこには、開発陣の譲れないこだわりと、数えきれない苦労があったという。
この日の取材では、CX-80の開発主査を務めた柴田浩平氏、パッケージング担当の高橋達也氏、デザイン本部主査の玉谷聡氏の3名にインタビューする機会が得られた。
柴田氏、高橋氏からは、CX-80が先行するCX-60やCX-8とどう違い、どう進化しているのか。さらに深掘りして、マツダが推し進める「ラージ商品群」のこれまでとこれからもお聞きした。
玉谷氏には、「魂動デザイン」と「ラージ商品群」との関係や、ナローボディならではの魅力や制約について、じっくりお話を伺うことができた。
CX-80の開発のこだわりが詰まったインタビューは、「マツダCX-80の前後関係」からお読みいただきたい。
CX-80のハンドルを握り、開発陣がこだわりを込めた「走り」を取材できる日が、今から待ち遠しいものだ。
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