「技術の日産」、「チャレンジングなホンダ」。絶対的な王道のトヨタに対して、日産・ホンダは常にそんなイメージで語られてきた。事実、就職人気企業ランキングでホンダが上位の常連に入るなど、ニッチな自動車ファンに限った話ではなく、人々が「トヨタにはない何か」をナンバー2、3のホンダや日産に感じていたことを表わしている。
もちろん日産、ホンダは、世界的に見れば2017年度の世界生産台数がともに過去最高と絶好調だ。でも、「何か」が物足りない。そうした現状に対して過去にあった両社のピンチを救った救世主的なモデルの意義を振り返りながら、今の両社に足りない部分を考えていきたい。
車のお国柄、健在!? 日本車と欧州車 現行車にみる各国車の味
文:永田恵一
写真:Honda,NISSAN
販売不振後に登場した個性的な3台の日産車
初代エクストレイル(2000-2007年)。「200万円で使える四駆」というコンセプトのもと登場し、ヒット車に。ポップなキャラは、今でこそ人気カテゴリーとなったSUVの先駆的存在だった
日産のピンチ、その後の復活として挙げられるのは、やはり長い販売不振により倒産寸前となり、1999年にルノー傘下となった後の2000年代初めである。
その時期に登場した救世主的なモデルとしてはミドルSUVの初代エクストレイル(2000年)、2002年登場の3代目マーチと2代目キューブがある。
では、この3台がなぜ救世主となったかを考えてみると、まずエクストレイルは“4人が快適で楽しい、200万円の使える四駆”というコンセプトが、特に当時は不景気だったこともあり若者にも響いたこと、撥水シートや水洗いできるラゲッジスペースのボードといった「ガシガシ使えるキャラクター」、エクストレイルが雪や川を走り回るCMに、楽曲も含めて楽しげな雰囲気があった点が浮かぶ。
3代目マーチは、クセも感じるけどそれ以上にツボにハマる人も多かったスタイル、2代目キューブは、スタイルとインテリアの居心地の良さを主な理由にヒットした。
この3台に共通するのは機能うんぬんより、車自体にジャンルとしては新しくなくても普遍的な個性を感じることだ。
なるほど、印象に残らない日産車を振り返ると「機能は申し分ないけどトヨタ車とどう違うの?」と思うことは多い。
それだけにトヨタの車を買えば(実用・機能上)何の問題もない日本において、ナンバー2の日産の車を買ってくれる人が求めるのは、普遍的な個性であることをこの3台は痛感させてくれる。
救世主にみるホンダらしさとは
オデッセイ同様、クリエイティブムーバーとして登場した初代ステップワゴン(1996-2001年)。当時、ライバルのタウンエースノアやセレナとは異なり、FF方式を採用した点も画期的だった
ホンダのピンチは、初代シビックが救った1970年代初め、1990年代中盤、N-BOXが救った2011年頃がある。ここでは1990年代中盤を例に挙げよう。
当時はバブル崩壊に加え、ホンダはアコードワゴンがあったくらいでRVブームに乗り遅れてしまったことなどが理由で経営不振に陥った。メインバンクが同じだったこともあり三菱自動車との資本提携まで噂されたほどだった。
そのピンチを救ったのが、ともに乗用車ベースで、総合的なバランスに優れ、ヒンジドアを持つミニバンの初代オデッセイ(1994年)、ミドルSUVの初代CR-V、1996年登場のステップワゴン、デートカーの新しい形も提案したS-MX。ホンダがクリエイティブムーバーと提唱した車たちだった。
この4台に共通するのは、完成度はともかくとして、価格が安くかったことと「ホンダらしさ」があった点だと思う。
“ホンダらしさ”という実に抽象的なこの言葉は十人十色の解釈があると思う。
筆者は、人々の生活を豊かにする、「こんなアイデアがあったのか!」、「こんなのが欲しかったんだ!」と感じさせる車を、「一般的な価格(上限は300万円程度)で提供すること」と定義している。
その意味でこの4台は、まさしくホンダらしく、その“らしさ”を再び提唱した功績は大きい。
今の日産とホンダ足りないもの
N-BOXベースの商用バンとしてデビュー予定のN-VAN
高額車はともかくとして、現在の現実的な価格帯の日産車に足りないのは、過去の救世主が持っていた普遍的な個性に加え、明るさやほどほどの勢いといった雰囲気だと思う。
成功した日産車を思い出すと明るさや勢いが感じられ、車からいろいろなワクワクをもらっていた気がする。
現行日産車では、そんなワクワクを「低燃費なのに爽快な加速やワンペダルドライブの楽しさを持つ」ノート、セレナのe-POWERコンビから感じられる。形は問わないので現実的な価格でワクワクする車の登場を期待したい。
ホンダも年々企業規模が拡大し、背負うものが大きくなってきているのも分かるのだが、やはり前述したホンダらしい車を市販化する“勇気”に欠けることだと思う。
もちろん、リスクを負いたくないのは当然なのだが、単に無難な車ばかりではホンダの車を買う理由は薄いし、そうでないなら現行N-BOXのようなズバ抜けた完成度を持つ車を連発できればいいが、それも難しいだろう。
その中で筆者は、7月に登場するN-VANに強いホンダらしさを感じている。
軽1BOXバンのアクティバンの後継車となるN-VANは、N-BOXをベースに荷物の積み下ろしにも便利な助手席側のセンターピラーレスドアや積載量を増やす運転席以外の折り畳み機能の採用。商用車としての使い勝手の良さを備える。
さらに既報のとおり、スポーティな「COOLエディション」、リアバンパー内に100V電源まで備えるというキャンパー仕様の「FUNエディション」に加え、インパネシフトの6速MTまでラインナップするという。
この内容を見ると本来の商用はもちろん、広いスペースをアイデア次第で自由に使えて、MTで運転を楽しんだり、練習したりと幅広く使え、若者まで含めてハイエースのように愛される車になる可能性まで秘めているように感じる。
◆ ◆ ◆
ここまで両社には厳しいことも書いたが、これは「両社を応援したい」という気持ちや「両社にはその力がある」と信じているからこそ。
日産・ホンダにはトヨタの一人勝ちやユーザー離れが起きないよう、魅力ある車の拡充を心から願っている。
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