発売から30年を超えるロードスターは、消耗パーツをはじめ、現在も純正部品が入手できることから、他車と比較しても高い残存率を誇っている。しかし、ボディの経年による劣化は、いたるところで発生している。いざ車検、というときに「あのパーツも、このパーツも交換」というのはよくある話。そうなる前に、日頃からのチェックがモノを言う!
ロードスターショップの老舗が教えるNAロードスターのチェックリスト
安い中古のNA・NBロードスターを買って遊ぶ時代は、もう終わりを告げた。現在、NAロードスターの中古車相場は、プレミア価格と言っても過言でないほど上昇している。いま乗っているロードスターを手放したくないなら、きっちり手直しして乗り続けたいもの。その良い機会が、車検のタイミングでもあるから、今回はそのチェックポイントをロードスターショップの老舗「タックイン99」に聞いてみた。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
「タックイン99」は、現行型NDロードスターはもちろんのこと、歴代モデルすべてに精通しているロードスターショップだ。2019年は、ロードスター生誕30周年ミーティングがあったことから、NAとNBのリフレッシュ作業が非常に多かったそうだ。ところが、このミーティングが終わった今でも、車検を含めたNAとNBのリフレッシュ作業の依頼が絶えないという。
「低年式車になるほど、車検時に交換する部位が増えてくるもの。それをわかっていないと、『前回の車検は通りました』ってなるんですね。車検は2年に1度ですから、その間に部品は消耗します。問題なく走れていても車検が通らないこともあるし、交換しなければ間違いなく不具合が出る症状もあります。NAやNBを長く乗り続けるには、予算をかけて手直しする必要があります」とタックイン99のメカニック北川さんは話す。
NAロードスターを長く乗り続けるためのチェックリストを紹介しよう。
トランスミッションのオイル漏れ
まずは目視でコンディションをチェック。NBの6速MTは、ミッションケースの継ぎ目からオイルがにじんでいることが多い。軽症であればケースの上からシール剤で埋めることで対応できるが、ひどい場合はトランスミッションを下ろしての重作業となる。
クラッチのレリーズシリンダー
ここはNAもNBも共通のウイークポイント。古くなっているようなら、アッセンブリー交換がオススメ。この作業をするなら、ついでにクラッチホースの交換もしておいた方がいい。ダイレクトタイプにしておくと、メンテナンス性も向上するのでオススメだ。
ブーツ類のヒビ、グリス漏れ
ゴム製パーツは、走行距離に関係なく劣化する。タイロッド、アーム、ドライブシャフト、ステアリングラックなど、ブーツ類は各部にゴムが使われているので目視でチェック。NBのステアリングラックのブーツは信頼性が高いが、NAは要注意。
ブレーキホース
ブレーキ関係は、念入りにチェックしておきたい。ブレーキフルード漏れや各所のボルトのゆるみ、ブレーキホースの劣化。もし交換の必要があれば、ステンメッシュ製に交換するのもいいだろう。ただ、ステンメッシュも一生モノではないので、定期的な交換は必要。
純正コンピューターの基盤
NA8Cのシリーズ1.5(1994年8月~1995年7月、車体番号:NA8C-300000~)で顕著なのが、コンピューターの基盤の液漏れだ。新品部品の供給がないので、破損する前に目視で確認しておこう。写真のように基盤の部品にクラックが入っていることもある。
エンジンのヘッドカバー
ボンネットを開けての目視チェックは日頃からできるので、見るクセをつけるようにしておくといいだろう。エンジンヘッドからエンジンオイルが滲んでいたり、エンジンオイルが減るようになったらオーバーホールといった重作業が必要になる。
クランク角、カム角センサー
クランク角、カム角センサーのトラブルはNB型に多く見られ、NA型よりも多く発生している。またセンサーハーネスも断線の危険がないかを確認。新品部品がないので修理は引き直しする方法しかない。ただ、とても手間のかかる作業だ。
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