意外に知られていないアイドリング時のガソリン消費量
2024年元旦に発生した、令和6年能登半島地震に関連して、このような災害発生時に活用される車中泊について、どれだけガソリンを消費するのか、そして、現在真冬の厳しい寒さのなかでEV車中泊を行うと、どれほど電気を消費してしまうのか、このような災害時においてEVがどれほど実用性があるのか、EVならではの強みと弱みも含めて取り上げていきたいと思います。
「私は家電感覚でこのクルマを選びました」アイオニック5オーナー、“ななみん”さんに聞くEV活用法
まず、令和6年能登半島地震で被災されている方々に対して、お見舞い申し上げます。
そして、今回の地震や水害などの災害時において、プライバシーなどの観点でも有効な避難方法である車中泊について、注意しなければならないのが、そのアイドリング時のガソリン消費量です。
一般財団法人省エネルギーセンターによれば、排気量が2000ccの車両の場合、エアコンをオフにして10分間アイドリングすると、およそ130ccというガソリン消費量になると説明されています。
例えば、トヨタの売れ筋SUVである、RAV4やハリアーについては、燃料タンクは55リッターであることから、満タン状態でアイドリングを始めると、おおよそ70時間アイドリングをし続けることが可能になります。
仮に半分しか給油されていない状態からアイドリングを始めたとしても、おおよそ35時間はアイドリングをし続けることが可能になります。
また、軽自動車について、例えばもっとも人気のホンダN-BOXに関しては、その燃料タンク容量はFFモデルでも27リットル、AWDグレードでは25リットルとなり、普通車よりもかなり小さくなります。
他方で、軽自動車のアイドリングの際の燃料消費量については、いくつかの検証を確認してみると、1時間あたり400~500cc程度であるとされています。よって、N-BOXを満タン状態からアイドリングを始めると、概ね60時間程度、アイドリングし続けることが可能です。仮に半分しか燃料が残っていなかったとしても、30時間はアイドリングし続けることができるのです。
いずれにしても、アイドリングをし続けて、快適な空調設定をキープするためには、燃料がどれほど残っているかという制限があるという点に注意が必要です。
EVは暖房つけっぱなしでどれだけもつ?
他方で、EVの場合は、とくに冬場に電気を食うことから、現在の冬場の環境下ではすぐに電欠してしまうのではないかという懸念の声が聞かれます。
そこで筆者自身、実際に真冬の雪国、とくにもっとも寒さが厳しくなる北海道に、すでに日産リーフ、テスラ・モデル3、およびテスラ・モデルYという3車種で、2年連続3回も赴いて、その車中泊を行った際にどれほど電気を消費してしまうのかを検証しました。
その検証結果について表にまとめてみました。
この通り、右側の欄に行けば行くほど外気温が低い、つまりEVにとってより不利な条件になっていくということです。
一番厳しい環境というのが、日本でも屈指の寒さを誇る、北海道陸別の小利別地区において、最低気温マイナス29.7℃という、日本ではこれ以上考えられない状況でテストしました。
その場合、車内温度を21℃程度とポカポカにし続けると、1時間あたり2.96kWhという電力を消費しました。モデルYを満充電状態にしていたとしても、たったの25時間強程度しか電気が持たないことになります。
ただし、外気温がマイナス18℃からマイナス22℃という、小利別よりも穏やかな環境下においては、1時間あたりの消費電力量は、2kWh以下に抑えることに成功。よって、100%充電の状態だと38.5時間、充電残量半分の状態からだとおよそ19時間と、マイナス30℃の環境下と比較すると、相当に消費電力量を抑えることができています。
さらに、もう少し条件が緩いマイナス9℃からマイナス16℃という環境下だと、1時間あたり1.29kWhという電力消費量になります。その場合、満充電状態からであれば59時間、充電残量半分からでも30時間弱程度、快適に車中泊をし続けることが可能と計算できます。
そして、北陸と似たような環境である、山梨で行った外気温マイナス3℃~5℃の条件下では、満充電状態で82時間、充電残量半分でも40時間以上と、この数値はもはや、先ほどの内燃機関車よりも、むしろ長い時間アイドリングし続け、暖房を使用し続けることが可能ということになるのです。
いずれにしても、電気自動車は冬場の環境下で、内燃機関車よりも電力がもたないという主張というのは、すでに過去のものになり始めているということが、検証結果から明らかになってきているのです。
ガソリン車の車中泊は一酸化炭素中毒に気をつけるべし
ガソリン車の車中泊の注意点としては、アイドリングで暖をとっているときに、雪でマフラー部分が埋もれてしまうと、排気ガスが車内に逆流して一酸化炭素中毒死のリスクが高まることが挙げられます。一酸化炭素については、サイレントキラーとも呼ばれており、無色無臭であることから、毎年一酸化炭素中毒死による痛ましいニュースが後を絶ちません。
いずれにしても、ガソリン車で真冬に車中泊を行う際は、雪が降っていないか、仮に就寝前に雪が降っていなくても、寝ている間に雪が降ることはないのか、定期的に起床して様子を確認するなどの対策が必要な点も抑えなければなりません。
他方でEVの場合は、このような一酸化炭素中毒のリスクはありませんので、ある程度安心して夜を明かすことが可能であり、この点はEVの強みと言えるのかもしれません。
EVならではの災害時における強みとは?
また、EVに対するさまざまな懐疑論としてとくに大きいのが、災害時に停電してしまったら、EVに充電することができなくなるので実用性がないという指摘です。
確かに停電すれば、電気自動車への充電はできなくなることは間違いないものの、じつはガソリンスタンドに関しても、電動ポンプが動かなくなることで、営業ができなくなります。もちろん、災害対応のガソリンスタンドであれば発電機などが設置されているため、当面営業を行うことができるものの、さらに厄介な部分は、その給油を求める長蛇の列という観点も忘れてはなりません。
今回の北陸地方においても、早速給油のための長蛇の列ができてしまったというニュースは記憶に新しいと思います。
しかも、その際の給油量についても、20リッターに制限されるなどで、かなりのストレスになると予想できます。
ところがEVの場合は、そもそも自宅充電を設置することさえできていれば、災害時でも満充電状態にすることが可能です。仮に自分の住んでいる地域が停電してしまったとしても、停電というのは、その地域まるまるというケースは少なく、隣町に行くと電気は通っているケースが多いため、隣町で急速充電を行って、満充電状態にするなんて方法も可能です。
もちろん、停電さえ解消してしまえば、自宅で充電することが可能であり、わざわざ長蛇の列、給油量も限られているかもしれないガソリンスタンドに赴く必要もありません。
そのうえV2LやV2Hに対応しているEVの場合、バッテリーに貯めてある電気を取り出して、家電製品や自宅に電気を供給することが可能になります。
実際に、今回の能登半島地震においても、日産などがアリアなどのEVを避難所に貸し出して、スマホの充電などで活躍している状況です。
このように、災害時におけるEV車中泊に関しては、すでにガソリン車と同等の時間、車内を快適な状態に空調設定することができるようになっています。また、冬場の車中泊で大きなリスクである一酸化炭素中毒のリスクもないという点で、じつはEV車中泊というのは、世間のイメージとは裏腹に、快適なものになりつつあります。
さらに、EVに搭載されている大容量バッテリーから電力を取り出すことで、停電時において活躍するなんて事例も出てくるなど、EVならではの強みも存在します。
いずれにしても、災害大国である日本において、EVの正しい実用性を理解したうえで、政府自治体は災害対策として、効果的にEVを導入していくことも必要になっていくのかもしれません。
もちろん、我々一般消費者に関しても、災害対策・停電対策にEVを導入するなんて考え方もアリなのかもしれません。
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みんなのコメント
燃料を入れるだけで動く。
欠点を隠す記事でEV最高~なんて全く参考にならない。