レッドブルは、マクラーレン、フェラーリ、そしてメルセデスが急速にパフォーマンスを向上させていることを警戒し、ライバルのマシンを詳細にチェックしている。
この数戦、レッドブルはかつてのような圧倒的な優位性を示しておらず、マックス・フェルスタッペンは、イモラとモントリオールでは辛うじて勝ったものの、モナコでは完全に敗北した。
F1技術解説:メルセデスがカナダで速かった理由(2)課題克服のため再設計したフロントウイング
モータースポーツには奇跡はなく、パフォーマンス向上には何らかの理由がある。レッドブルは他のマシンについて詳細に分析を行い、初期の見解として、ライバルたちの新しいフロントウイングが、過度にたわんでいるのではないかという点に行き着いた。
メルセデスは、2台に新型フロントウイングを導入したカナダで大きく前進した。FP3でルイス・ハミルトンがマークしたトップタイムにレッドブルは衝撃を受け、経験豊富なポール・モナハン率いる現地チームが、W15の走行中の映像や写真をすべてチェックした。その結果、速度が200km/hを超えるとフロントウイングのアッパーエレメントに著しいたわみが見られるという結論に至った。
もちろん、これらのエレメントはFIAの静的テストをパスしており、レギュレーション上、合法と判断されている。だが、レッドブルはFIAの技術代表に対し、映像資料も添えて、W15のフロントウイングの柔軟性とノーズを監視するよう、非公式に要請したとの説も出ている。
フレキシブルウイングの問題は、過去数年、繰り返し浮上している。チームが目指しているのは、速度が出ているときに弾力性を発揮させて、ドラッグ効果を減らし、コーナーで必要なダウンフォースを損なうことなく、高い直線スピードを達成ことだ。FIAは静的荷重テストを行っているが、チームは目的を達成しつつ、検査にパスする方法を見つける努力を、絶え間なく行っている。
長年にわたり、FIAはこの問題に関して、技術指示書を何度も発行している。昨年は夏にウイングのたわみについての技術指令がチーム側に送られた。
カーボンファイバーの弾力性を効率的に活用するのは、簡単なことではない。キック・ザウバーは最近、リヤウイングに亀裂が入るという問題に見舞われた。カーボンファイバーを可能な限り柔軟にし、速度が低下すると、構造的損傷を受けることなく元の形状に戻るようにするための方法を、誰もが見出しているわけではないのだ。
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