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計算され尽くされているからこそのいいモノ感

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計算され尽くされているからこそのいいモノ感

5世代目となるメルセデスを代表するEクラスが、デビュー4年を経てマイナーチェンジを果たした。マイルドハイブリッドのベーシックグレードに試乗、その進化を確認した。デザイン担当者が「メルセデス史上もっとも美しい」というステアリングの機能にも注目だ。

「メルセデス史上もっとも美しい」ステアリング

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“Eクラス”という名称が使われるようになったのは、1985年に登場した型式W124の時代のことだ。W124はその完成度の高さからメルセデス・ベンツの代表的なモデルと評価されるようになり、いまなお多くのファンが存在する。その後Eクラスは歴史をつみ重ね、2016年には5世代目モデルのW213が登場する。そしてこのたびデビューから4年を経てマイナーチェンジが施された。

マイナーチェンジといってもその変更箇所は多岐にわたる。エクステリアではバンパーやLEDヘッドライト、テールライトなどの形状を変更。それにともなってコストのかかる外板パネルにも手が加えられている。フロントマスクには底辺がワイドな台形のダイアモンドグリルを標準装備し、バンパー下部はAウイングとよばれる最新のデザインとなった。

インテリアの基本的なデザインは従来モデルを踏襲するが、最新世代のマルチファンクションステアリングが目をひく変更点だ。標準モデルはユリの花を想起させるエレガントなスポークを備え、スポーツグレードではダブルスポークにフラットボトム形状で、エアバッグ部分がコンパクト化されておりシャープな印象となった。

試乗車のE200スポーツには後者が装着されていたが、右側のスポークにはコクピットスクリーンの、左側のスポークにはセンタースクリーンの操作系を集約し、スワイプ&タッチの動作でさまざまな機能を切り替えることができる。慣れてしまえば、ブラインド操作も可能だった。新型Eクラスの発表会でインテリアデザインを統括するハンス・ピーター・ヴンダリッヒ氏がこれらのステアリングについて、「約30年間、ステアリングのデザインに携わっているが、この2つはメルセデス史上もっとも美しい」と述べていたが、実物もたしかに印象的なデザインだ。

さらに、進化のポイントがある。アクティブステアリングアシストを使用している際に、ドライバーがステアリングを握っていることを入力トルクで検知していたものが、静電容量式になったことだ。従来モデルではステアリングを握っているにも関わらずアラートが頻発し、それを解除するためにステアリングに入力を加えねばならないことがあった。それが煩わしかったが、新型ではリムに静電容量式センサーを備えたパッドを採用したことで、軽く握っているだけでもドライバーの存在を認識してくれるようになった。前走車を自動で追従するACC(ディスタンスアシスト・ディストロニック)と併用して使用する場面などで、使い勝手が向上している。

インフォテインメントシステムは「ハイ、メルセデス」でおなじみの自然言語によって操作を行うMBUXを搭載した。導入当初のものは「メルセデス」だけでも起動していたが、会話に出てくるメルセデスの言葉に反応するケースがたびたび起きていたようで、「ハイ」をつけるようにアップデイトされている。そしてナビゲーションには日本初のAR(Augmented Reality=拡張現実)機能が搭載された。目的地へと案内する際、マップ上でハイライトするだけでなく、交差点など右左折するポイントでは現実の映像をナビゲーションに映し出し、その上に進むべき方向を矢印で表示するというものだ。例えば三叉路やマップだけではどの道を曲がれば判断しにくいルートでも、これがあればとてもわかりやすい。

加えてインパネに向かってVサインをかざすことでプリセットした機能を起動する、メルセデスとしては初のジェスチャーコントロールも搭載されていた。室内のマップライトを点灯したり、ナビの目的地を自宅などプリセットした場所に瞬時に設定したりできる。

最新の安全運転支援システムは、すべてのモデルに標準装備される。内容も右折の際に対向車線の直進車を検知し速度10km/h以内であれば自動ブレーキが作動する、いわゆる右直事故防止のアクティブブレーキアシストを備えるなどアップデイトされている。

ベーシックグレードはマイルドハイブリッドに

セダンのE200スポーツと同じパワートレインを搭載するE200ステーションワゴンスポーツに試乗した。直6、V8ガソリン、ディーゼル、PHEVと、数あるEクラスのパワートレインの中で、「E200」はもっともベーシックなものだ。1.5リッター直4ターボエンジンにBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)を組み合わせ、48Vの電気システムによって構成されたいわゆるマイルドハイブリッドカーだ。ガソリンエンジン単体で最高出力135kW、最大トルク280Nmを発揮。また回生ブレーキなどによるエネルギーを約1kWhのリチウムイオンバッテリーに蓄え、そして2500回転以下の低回転時などにBSGによって10kW/160Nmのアシストを行うというものだ。

1.5リッターと言われなければ、とてもそんな小排気量とは想像もつかないほど力強く走る。低回転域でのBSG、そしてターボチャージャーへとつなぐアシストのよさももちろんだが、9速という多段ATを緻密に制御することによって、エンジンの美味しい回転域をきっちりと使いこなしている印象だ。

サスペンションは、ベーシックグレードのE200には電子制御式のアダプティブダンピングシステムやエアサスではなく、コンベンショナルなものが備わる。ただし、ある一定以上の負荷がかかった場合に自動で減衰力を高めるセレクティブダンピングシステムを採用しており、乗り心地の面でアジャストするのが難しいランフラットタイヤ(標準装備)もうまく履きこなしてした。ワインディングなどでのちょっとしたスポーティな走行もお手の物だ。

セダンとステーションワゴンを乗り比べれば、走りの質感ではやはりセダンに軍配があがるが、それもほんのわずかな差だ。そのかわりステーションワゴンを選べば640~1820リッターと、セダンの3倍以上もの広大な荷室が得られる。

いずれのモデルにせよ、微に入り細をうがって計算されており、Eクラスはいいモノ感にあふれている。それはきっとW124の時代から変わらないのだ。だからいまも世界のプレミアムセダン&ワゴンの指針であり続けている。

文・藤野太一 写真・河野敦樹 編集・iconic

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みんなのコメント

35件
  • 1.5リッターで800諭吉はするのか。ちょっとお高いなぁ。3リッターで直6位は積んで欲しいな。
  • 良い車なのは判っているけど、Eクラスだと大きすぎる。
    セダンだとCかCLA かAが乗りやすいんだよなぁ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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