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ソリオもスイフトも! スズキから「軽くて安くてウマいクルマ」が生まれるワケとは?

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ソリオもスイフトも! スズキから「軽くて安くてウマいクルマ」が生まれるワケとは?

 とあるデータによると、2010年からの10年間のスズキの営業利益率の平均は6.8%で、トヨタの7.7%に次ぐ2位だったという。それでいながら圧倒的なコスパを誇るスズキのクルマ作りが国内市場でキチンと響く理由を探った。

文/渡辺陽一郎、写真/ベストカーWeb編集部、ベストカー編集部

ソリオもスイフトも! スズキから「軽くて安くてウマいクルマ」が生まれるワケとは?

■スズキが国内販売で20年前から大きく躍進した理由は?

ここ20年間で着々と国内販売で躍進を遂げてきたスズキ。その理由を探る

 今から20年前、2003年の国内新車販売台数ランキングをメーカー別に振り返ると、1位トヨタ、2位日産、3位ホンダ、4位スズキ、5位ダイハツ、6位三菱、7位マツダ、8位スバルであった。当時、すでに国内で新車として販売されるクルマの31%を軽自動車が占めていたが、スズキは4位、ダイハツは5位だった。

 ところが、2023年1~8月の国内新車販売台数ランキングは、1位トヨタ、2位スズキ、3位ダイハツ、4位ホンダ、5位日産、6位マツダ、7位スバル、8位三菱になっている。20年前に比べると、スズキが4位から2位に、ダイハツは5位から3位へと浮上した。逆に日産は2位から5位、ホンダは3位から4位へ後退している。

 注目されるのはスズキの躍進だ。なぜ20年前の4位から2位に繰り上がったのか。

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■小型車比率が高まっているスズキ

筆者がドライブする現行型アルト。アルトをはじめ、スズキの軽自動車販売は好調を持続している

 まず、考えられるのは、スズキが得意とする軽自動車の好調な販売だろう。2023年1~8月の軽自動車販売比率は36%だから、20年前の31%に比べると大幅に増えた。ただし、それだけではない。

 なぜなら、2003年のスズキの国内販売における軽自動車比率は93%だったが、2023年1~8月は81%へ下がっているからだ。国内市場全体では、軽自動車比率が高まったのに、スズキでは逆に減って小型車の比率が増えている。

 つまり、スズキの国内販売台数をトヨタに次ぐ2位まで押し上げた原動力は、スズキのブランドイメージに合った軽自動車ではなく、スズキの国内販売の19%を占める小型車にある。

 そのために軽自動車市場におけるスズキの販売ランキングは、ダイハツに次ぐ2位だが、小型/普通車も含めるとダイハツを上回るのだ。

■スズキ小型車の最量販車種はソリオ

販売台数ではライバルのルーミーの後塵を拝するが、動力性能も燃費もソリオが上回っている

 スズキの小型車で販売台数が最も多い車種はソリオだ。2023年は1カ月平均で約4400台を販売した。ホンダフィットやトヨタライズに相当する売れゆきだ。

 ソリオは軽自動車のスペーシアを拡大したようなコンパクトカーで、背の高いボディによる広い車内と、乗降性の優れたスライドドアを装着する。しかもボディが軽い。

 ライバル車のトヨタルーミーは、2WDの車両重量が1100kg前後だが、ソリオはマイルドハイブリッド搭載車でも1000kgだ。エンジンの排気量は、ルーミーは直列3気筒1Lだが、ソリオは直列4気筒1.2Lを搭載する。

 つまり、ソリオは軽くてエンジン排気量にも余裕があるため、動力性能はルーミーを大きく上回る。マイルドハイブリッドのWLTCモード燃費も19.6km/Lで、ルーミーの18.4km/Lよりも優れている。

 ルーミーはトヨタ車とあって、売れゆきはソリオの2倍近くに達するが、商品力はむしろ逆だ。スズキのクルマ作りの根底にあるのは軽量化で、動力性能、走行安定性、燃費性能など、さまざまな機能をバランスよく向上させている。

 今はメカニズムのハイテク化で燃費を向上させられるが、ボディは重くなり、走行安定性や乗り心地にもよくない影響を与えることが多い。コストと価格も高めてしまう。しかし、軽量化であれば燃費の向上に伴う弊害が生まれにくい。

 長年にわたって軽自動車を手がけてきたスズキは、軽量化のメリットと達成する方法を熟知しており、優れた商品力の基礎になっている。

■スイフト&スイフトスポーツもいまだに販売は堅調

現行型スイフト。2016年の登場から7年近くが経過しているが、その販売は堅調だ

 スズキの小型車ではスイフトも注目される。現行型の登場は2016年だから、今では7年近くを経過するが、1カ月に2300台前後は販売されている。しかもその半数近くをスイフトスポーツが占めるのだ。

 スイフトはベーシックなコンパクトカーで、ソリオと同じくボディが軽い。直列4気筒1.2Lエンジンを搭載して、車両重量は900kg前後だ。運転感覚には軽快感が伴う。

1.4L直4BOOSTERJETターボを搭載するスイフトスポーツ。そのコストパフォーマンスの高さは圧倒的!

 スイフトスポーツも車両重量は1000kg以下で、エンジンは直列4気筒1.4Lターボだ。動力性能は2.3L前後のノーマルエンジンに匹敵するから、加速性能も優れている。

 足回りにはモンローのパーツを使い、内外装もカッコよくアレンジして、価格は6速MTが202万8400円に収まる。軽くて走りの素性も優れたボディに、動力性能を適度に高めたターボエンジン、上質な足回り、魅力的な内外装を加えて価格は割安だ。

 その結果、スイフトスポーツの売れゆきは1カ月平均が約1100台で、トヨタのGR86を上回る。スポーツモデルでは好調な売れゆきとなった。

■軽量さを生かしたバランスに優れるスズキの商品開発

筆者とアルト。軽自動車以外でも小型車市場でスズキは独自の存在感を示していると筆者は指摘する

 以上のようにスズキは小型車市場において、空間効率の優れたソリオと低燃費で使いやすいスイフト、その素性を生かした走りの楽しいスイフトスポーツを割安な価格でそろえている。

 この軽さを生かしたバランスのいい商品開発は、軽自動車を含めてスズキのさまざまな車種に見受けられる。それを可能にしたのは、2輪車から始まって4輪車市場に参入し、フロンテ、アルト、ワゴンRなどを着実に手がけたスズキの足跡によるところが大きい。背伸びをせず、誰でも便利に使える経済的で買い得なコンパクトカーや軽自動車を提供してきた。

 同様のことが販売面にも当てはまり、規模の大きなディーラーを出店できない地域では、修理工場や中古車販売店に併設された業販店がスズキ車を販売している。販売面のコストも抑えられ、価格の安さに結び付いている。

 日本の自動車産業を振り返ると、第二次世界大戦直後には2輪車と軽自動車のメーカーが乱立した。それが時間の経過とともに淘汰されるが、スズキは独自性を保ちながら、小さなクルマを中心とする世界的なメーカーへ成長している。

 過去10年ほどの営業利益率も、スズキは6~8%で推移しており、トヨタの7~8%に次いで高い。ホンダの4~5%、日産の4%前後を上回る。多くのユーザーに愛用される小さくて買い得なクルマを堅実に販売するスズキの姿勢は、商品力を向上させ、安定した経営と商品の供給体制により、日本のカーライフに欠かせない存在となっている。

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みんなのコメント

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  • スズキは今の日本人の収入にマッチした車を売っている。
    それでいてマニュアルで走って楽しい車を作ってるし、今の日本で売れるのは必然!
  • スイフトは営業車で使用してます。まじで良い車だよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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