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最近自動車カタログで見かける「WLTCモード燃費」って何? JC08モードとどう違う?

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最近自動車カタログで見かける「WLTCモード燃費」って何? JC08モードとどう違う?

■国や地域ごとに異なっている燃費表示方式を統一するためにできた「WLTCモード」

最近、クルマ買い換えの検討などでカタログやホームページを見て、「あれ、燃費の表示が変わっている」と思われた人も多いのではないでしょうか。

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じつは燃費の表示方式において、従来の「JC08モード」とともに、「WLTC(Worldwide harmonized Light vehicles Test Cycle)モード」が併記されるようになっているのです。

JC08モードは2011年4月に導入され、2013年2月末までにすべての乗用車に表示が義務づけられた制度です。そして、このJC08に併用する形で、2018年10月からWLTCモードでの表示が義務づけられました。

ただ国産車メーカーによる自主的な表示はそれ以前からはじまっていて、第1号は2017年夏にマイナーチェンジしたマツダCX-3」です。

ではなぜ、WLTCが導入されることになったのでしょうか。その背景には、クルマに起因する大気環境の改善などを国際的に促進するためにも、国や地域ごとに異なっている燃費表示方式を統一したいという動機があります。

この問題は、国連において「WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure『乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法』)の策定」という形で検討が重ねられ、2014年3月、世界統一技術規則として成立しました。このWLTPに基づき計測された燃費が、WLTCなのです。

こうして導入されたWLTCは、自動車メーカー、ユーザーの双方にメリットをもたらすことが期待されています。メーカーは国や地域ごとの燃費試験に個別に対応する必要はなくなり、合理化が進みます。またユーザーにとっては、試験の内容がより具体的なクルマの利用状況に近いものとなり、カタログ値から実燃費を推測しやすくなります。

では、WLTCの表示内容を見ていきましょう。

WLTCでは、「WLTCモード(市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード)」のほか、「市街地モード(信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定)」、「郊外モード(信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定)」、そして「高速道路モード(高速道路等での走行を想定)」があわせて表示されます。

こうした「市街地」「郊外」「高速道路」という走行環境の違いによる燃費を細かく表示することが、ユーザーのクルマ選びに大いに役立つというわけです。

■JC08モードに比べてWLTCモードの方が、燃費が低く出やすい理由

ここで気になるのは、JC08モードとWLTCモードとの燃費の違いです。

JC08モード試験では平均車速が24.41km/hなのに対し、WLTCモードは36.39km/hから36.57km/h(ほぼすべての日本車が該当するクラス3aおよび3b、以下同)で、最高速度も81.6km/hと97.4km/hと、いずれもWLTCモードのほうがより高速になっています。

またアイドリング時間は29.7%と15.4%となり、JC08モードでは全体の75%で暖機済みの状態で試験を行いますが、WLTCモードの試験はすべてエンジンが冷えたコールドスタートとなります。

重量についても、JC08モードは乗員2名分、110kgを車両重量に加えて試験しますが、WLTCモードでは乗員とみなす100kgのほか、積載可能重量に一定の積載率を掛けた重量も搭載するため、一般的にはJC08モードよりも重い状態での試験となります。つまり、より厳しい条件での試験となるため、WLTCモードでの燃費はJC08モードよりも低くなりやすいのです。

この差については、経済産業省、国土交通省、日本自動車工業会も認めており、他車と比較する場合は「JC08モード同士、WLTCモード同士での比較」をアナウンスしています。

このようにWLTCモードの導入で、より実態に近くなったクルマの燃費表示ですが、じつは日本ではJC08以前にもいくつかの計測方法の変遷を経ています。もっとも古くは60km/hの一定速度で走った場合の燃費を表す「60km/h定地燃費」で、ストップ&ゴーを繰り返す実用燃費とはかけ離れた数値となっていました。

これをより実用に近いものにしようと1973年に導入されたのが、「10モード燃費」で、10の運転モードにより計測されたことが、命名の由来となりました。

この10モード燃費は1991年に「10・15モード燃費」へと発展、その後、より走行実態に合わせた計測方法として、JC08が登場します。つまり燃費表示の歴史は、「わかりやすさ」「実用性」を目指し進化を続けてきたのです。

さて、世界統一表示を目指し導入されたWLTCですが、各国のクルマの燃費をだれでも横並びで比べられるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。欧州ではWLTCの導入が進みつつありますが、燃費は「100kmあたりリッター」で表記されることが一般的で、日本人にとってややわかりにくくなっています。

一方、自動車大国アメリカは、連邦環境保護局(EPA)が公表するMPG(ガロンあたり走行マイル)を数値にとる「EPA燃費」が広く浸透していること、州ごとに異なる自動車規制が存在すること、さらにトランプ大統領が自動車の燃費規制に消極的であることなどから、WLTCへの移行がスムーズに進むとは考えづらい状況です。

ただ「日本でクルマを購入する」というシーンに限っては、利用環境ごとの燃費もわかるWLTCは非常に役立つことは間違いありません。積極的に活用したいですね。

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