単走での扱いやすさを求めて2019年からS13シルビアにマシンチェンジ!
振り出しのしやすさとトラクション性能の両立が安定感に繋がる!
「2戦連続3位入賞でランキング首位に立つ目桑S13シルビアをクローズアップ!」基本に忠実な作りを煮詰めて2019年は全戦追走進出中!【D1 LIGHTS】
奈良県の名阪スポーツランドにて開催されたD1ライツシリーズ第4戦を終え、シリーズランキングの首位に立ったのは、第3戦の日光から連続して3位入賞という結果を残している目桑宏次郎(メクワ コウジロウ)選手だ。「今シーズン、ここまで目立った活躍のない目桑選手がなぜ?」と思うなかれ! 実はただひとり全戦“追走進出”しているのが、この目桑選手なのである。
昨シーズンは青と赤のツートンカラーのS15シルビアを駆って名阪戦で準優勝し、一気に脚光を浴びた目桑選手だったが、シリーズを終えた時点ではランキング9位でチャンピオン争いには最後まで絡めなかった。5戦中2回も単走決勝で敗退したことが上位にいけなかった原因と分析した目桑選手は、単走での安定度を求めて「乗りやすい」と言われているPS13シルビアへのマシンチェンジを決意。
迎えた2019年シリーズ。開幕戦の備北では、足回りの熟成不足やマシントラブルなどで追走進出を果たしたもののベスト16で敗退。第2戦のエビスもビード落ちに泣いて追走のベスト16で姿を消したが、その裏でシルビアの戦闘力は確実にアップを続けていた。そうした努力が、第3戦と第4戦の好結果に繋がったというわけだ。
神奈川県出身で30歳の目桑宏次郎選手。神奈川県茅ヶ崎市にて中古車販売から一般整備に車検代行などを行なっているカーショップリアリティというお店を経営している。ドリフト歴は10年で、D1競技にはじめて出たのは2015年のD1地方戦セントラルシリーズの最終戦だ。
その翌年の2016年には同じくD1地方戦のセントラルシリーズに参戦して、第4戦茂原で3位、最終戦本庄では優勝。さらにD1東日本シリーズにもエントリーして最終戦の日光で3位を奪取している。2017年からD1Aライセンスに昇格、2018年からD1ライツシリーズに参戦するようになった。
エンジンは排気量2.0LのままのSR20DETに、HKSステップ1カムと1.5mmのメタルガスケットを組み、ギャレットのGTX3071相当というMAMBAタービンを装着。制御はF-CON Vプロで、ブースト1.5キロ時に推定400psを発揮しているとのこと。
クラッチはニスモのスーパーカッパーで、ミッションはS15純正6速を使用。名阪戦時のファイナルギアは4.1で、他のコースでは3.7と3.9も含めて使い分けているそうだ。
「やれているとクルマもうまく動かないし、振り出しやすさを重視するならボディもしっかりさせないと」と、剥がれやすい第1メンバーだけでなく、エンジンまわりは入念にスポット増しし、追加のパイプも溶接して補強している。ロアアームはS14純正で、テンションロッドはノーマルのまま。ラックエンドアダプターで長さの帳尻を合わせている。
逆に車高調のメーカーやブランドには拘りはとくになく「アライメントとバネの調整でいいところに落ち着いた結果、最初から付いていたのをそのまま使っている」というCSTのダンパーを使用。バネはフロントがJICの10kg/mmで、リヤはアイバッハの5kg/mmとのこと。
切れ角アップは、箱根の麓にあるショップのT.C.L.S.オリジナルナックルにて。癖のない特性がお気に入りなのだそうだ。
タイヤは昨シーズンの最初からトライエースのレーシングキングを使っており、フロントは235/40-17、リヤは265/35-18という組み合わせだ。
室内への拘りはそれほどなく、ロールバーもボディを購入した時から装着されていたものにサイドバーを追加しているくらい。ハンドルはモモドリフティングの33φで、シートはブリッドのジータIII、助手席にはS14純正を流用している。
「ボディをきちんとさせてからセットアップを煮詰めていきたかった」と、リヤのサスタワーにはタワーバーに加えて左右をパイプで接続して補強を入れている。
HANSは2019年のレギュレーションに合わせて今シーズンから導入しており、首を横に向けやすいスライドタイプを選択。これに合わせて、アライヘルメットのGP-5Wにもアタッチメントを追加している。
第4戦名阪では、練習会が開催されていた金曜日にロッカーアームを飛ばしてしまったが、土曜日に曲がってしまったバルブとともに交換して復活。そして本戦日の単走決勝では、去年の結果が運だけではないことを証明するかのような素晴らしい走りを決めて3位通過を果たすと、追走に入ってからも好調な走りで勝ち上がり、ベスト4では高木選手に敗退したものの3位に入り、ランキング首位に立つ結果となった。
11月2日(土)に大分県のオートポリスにて開催される最終戦に向けては、タービンやカムをよりハイパワー志向のタイプに変更し、500ps程度までパワーアップして臨みたいという目桑選手。ランキング2位の笹山選手との差はたったの2ポイントで、10ポイント圏内に7人もひしめいているという大混戦の2019年シリーズ。目桑選手を中心にしたチャンピオン争いの行方やいかに。
TEXT&PHOTO:Daisuke YAMAMOTO
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