マクラーレン最速のスパイダー
なにやら最近、マクラーレンが騒がしい。CEOを8年間務めたマイク・フレウィット氏の辞任をきっかけに、ブランドの将来を不安視する噂も聞こえてくる。
とはいえ、スポーツカー・メーカーとしてのマクラーレンに変わりはないようだ。モデルラインナップを増やし続けようという姿勢には、まったくブレが見られない。
新モデルのマクラーレン・アルトゥーラへの期待が高まるところだが、今回試乗を許されたのは、2021年夏に発表された765 LT スパイダー。サーキット走行に軸をおいた、ロングテール(LT)版のフラッグシップとなる、コンバーチブル仕様だ。
マクラーレンによれば、過去に同ブランドが生産したコンバーチブルのなかで、最速に位置付けられるという。加えて、ドライバーとの一体感の更なる向上も約束している。
765 LTの没入感と興奮度は、ずば抜けたものだった。それを更に上回るというのだから、かなりの自信作といえるのだろう。
メカニズムとしては、スパイダーも基本的にクーペの765 LTとほぼ同じ。765psを発揮する、V型8気筒4.0Lツインターボ・ガソリンエンジンを車体中央に搭載している。
サスペンションのスプリングとダンパーは765 LTの専用で、720Sより車高が落とされ、トレッドは拡大。互いにリンクした油圧アクティブ・タンピング・コントロールシステムの設定も、特別に仕立てられている。
スパイダーの走りに知覚できる違いはない
マクラーレンのスパイダーとして電動フォールディング・ハードトップを搭載し、ドライバーの後方へルーフが格納されるのに必要な時間は11秒。折りたたみ構造の採用などで重量は増えているが、違いは49kgに留まる。
765 LTの車重は1388kg。少しマイルドな720S スパイダーより、80kgも軽い。
大きなウエイト変化を生まずに済んだ理由は、強固なカーボンファイバー製タブにある。基本的に、シャシー周りの改良は必要なかったそうだ。
アクティブ・リアスポイラーの制御は、フォールディング・ハードトップ化に伴い変更を受けている。ルーフが開閉することで発生する気流変化に対応するため、スポイラーの角度が煮詰められたという。マクラーレンらしい。
今回試乗のために招待されたのは、スペイン北部にあるナバラ・サーキット。クーペ版の765 LTとの違い確かめるのに、不足ない環境だ。
ルーフを閉じた状態で、低い位置のドライバーズシートへ座る。マクラーレン流の足を伸ばしたドライビングポジションに収まる。
果たして、クーペとスパイダーとの間に、知覚できるような違いはないといっていい。圧倒されるほどに素晴らしい。
油圧アシストのステアリングは、非の打ち所なく正確で感触に優れる。タイヤのグリップ力とシャシーのバランスに長け、周回を重ねるほどにより速く、よりハードに運転することを許してくれる。
公道で深く味わえるオープンの魅力
広げられたトレッドのおかげで、ターンイン時の安定性は極めて高く、旋回中の調整域も広い。意のままの脱出姿勢へ、つなげていくことができる。
クロースレシオが組まれた7速ATの質感も見事。有り余るパワーを、存分に活かすことができる。さらに、LTとしてチューニングされたエグゾーストノートが、よりスピード感を高めてくれる。
電子制御が介入するような領域では、慎重な操縦が求められることは確か。それでも、765 LTほど自由闊達に振り回すことができるマクラーレンは、ほかにないだろう。
サーキットではクーペと遜色ない765 LT スパイダーだが、その魅力を一層深く味わうなら、ルーフを開いて公道に出たいところ。頭上に広がる空と、自然が放つ音や香りを楽しみながら、V8エンジンを存分に堪能することができる。
マクラーレンの4.0L V8ツインターボは、現在あるエンジンで最も音響に優れるとまではいえない。しかし、チタン製エグゾーストシステムの間に空気しか介在しない条件でのサウンドは、興奮を抑えることが難しい。
スポーツやトラック・モードを選択すると、ハードでメカニカルな唸りにドライバーは包まれる。アフタファイヤーの破裂音までもが、至近距離で響く。
小雨がぱらついてきたら、僅かな時間でルーフを閉じることが可能。ガラス製のリアウインドウのみを開くことができるから、聴覚的な喜びを我慢せずにも済む。
限定765台の最高のドライバーズカー
ドライバーが765 LT スパイダーの洗練されたドライビング体験へ浸るのに、過度に攻め込む必要はない。郊外の道を気ままに流しているような場面ですら、手のひらや身体へ正確なフィードバックが伝わってくる。
マクラーレンが創出した、最高のドライバーズカーの1台を運転していると、常に想起させてくれる。このスーパーカー・シリーズが、間もなく生産終了を迎えることを惜しませるように。
乗り心地は、クーペと違わず明らかに硬い。だが、クルマとの一体感も同じくらい高い。
ちなみに、クーペ版のマクラーレン765 LTと同様に、スパイダーの生産台数は765台の限定。1台残らず、既に商談が済んでいるということだ。
マクラーレン765 LT スパイダー(欧州仕様)のスペック
英国価格:31万ポンド(約4712万円)
全長:4600mm
全幅:2161mm(ミラー含む)
全高:1193mm
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:2.8秒
CO2排出量:280g/km
乾燥重量:1388kg
パワートレイン:V型8気筒3994ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:765ps/7500rpm
最大トルク:81.4kg-m/5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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