中国ではクラウンの名を冠したSUVやミニバンも登場!?
ここ最近は「現行モデルで最後」とか「次期型はSUVになる」などの噂が絶えないクラウン。中国では現地合弁会社となる広汽豊田製ハイランダーの、同じく現地合弁会社となる一汽豊田バージョンとして「クラウンクルーガー」を名乗り、また一汽豊田でラインアップされるヴェルファイアが「クラウンヴェルファイア」に改名して、それぞれ2021年4月に開催された上海モーターショーでデビューするなど、話題が高まっている。
全店扱いでも「クラウン」は売れず! 「ステイタス」の高さゆえに悩める「王冠マーク」のゆくえ
そのクラウンが2021年11月に行った改良モデルに試乗する機会があったので、改めて、“いまどきのクラウン”を考察してみた。
流行りのファストバックスタイルでスポーティに
まずはエクステリア。押しの強い顔つきなどは好みの分かれるところであるが、いまトレンドとなっている、“ファストバックデザイン”を採り入れた結果、5ドアハッチバック車にも見えてしまうところはやはり気になるところ。6ライトウインドウを採用しているのだが、個人的にはリヤクォーターウインドウが大きすぎるような気がする。
メーカーや開発者が好む好まざるは別としても、クラウンはいまもハイヤーや個人タクシー(法人の場合はハイヤー上がりの車両を使っていることが多い)として使われており、代々乗り換えてもらうことで販売台数に貢献しているのは紛れもない真実。オーナーカー色を強調したかったのかもしれないが、営業車需要をもう少し意識したほうがよかったとも考えている。
インテリアについては11月の改良でインパネが全面的な改良を受けている。改良前では、インパネセンター部のディスプレイが7インチと8インチのダブルディスプレイだったものが、12.3インチTFTタッチワイドディスプレイに変更されている。マイナーチェンジではなく、一部改良でインパネデザインを大幅変更するのはあまり例のない話といえよう。
クラウンらしくないカチッとした乗り味
試乗したのは、2.5リッター直4ハイブリッドユニットを搭載するRSアドバンス。クラウンと言えば、12代目となる“ゼロクラウン”までは、程度の差こそあれ、古き良き時代のアメリカ車を思わせる、“船を漕ぐような”という表現も使われるような、極端にソフトな乗り味が特徴的であった。ゼロクラウンでかなり硬い乗り味となったのだが、古参のクラウンユーザーからは“硬すぎる”という声もあり、たとえば廉価グレードなどに限って、トヨタ車ユーザーではお馴染みの“トヨタ味”とでもいうべき軽いステアリングフィールに柔らかめの乗り味といった仕様が残されている。
今回試乗したのはRSという、昔でいうところのアスリート相当のシリーズとなるので、余計に目立っていたのかもしれないが、フレームボディのころのクラウンをなまじ知っていると、そのカチッとした乗り味に「これがクラウンなのか」と驚かされてしまう。
試乗したのがハイブリッドということもあるのか、車内に入ってくるメカニカルノイズが多いのにも驚かされる。クラウンというモデルは1955年の初代デビュー以来、タクシーやハイヤーとしての需要のなかで、“プロドライバーに育てられた”といってもいいぐらい、独自な環境で育ってきたモデルであり、その静粛性の高さは日本車のなかでもトップクラスとなっていた。
タクシー仕様は途中から、マークII(X80系セダン)のプラットフォームを流用するクラウンコンフォート(小型タクシー版コンフォートもあった)となったのだが、クラウンセダンベースのタクシー車両に比べると、ずいぶん“うるさいなあ”という印象が目立ったのを覚えている。クラウンと言うクルマは静粛性の高いモデルという印象が強かっただけに、よけいに今回試乗してみるとノイズが気になってしまったのかもしれない。
全車種併売化によりクラウン離れが加速した
自販連(日本自動車販売協会連合会)統計によると、2020事業年度(2020年4月から2021年3月)締めにより年間販売台数は2万1858台となり、月販平均台数は月販目標4500台に対し、約1821台と大きく割り込んでいる。
トヨタは2020年5月から全店舗で一部車種を除く全車種併売化をスタートさせている。そのため、アルファードやカローラなど、それまでの一部販売店での専売車だった車種は販売窓口が増えたこともあり、コロナ禍でも販売台数はおおむね好調に推移しているのだが、クラウンは逆に販売苦戦が目立っている(コロナ禍で法人ニーズが落ち込んだことも影響しているようだが)。
アルファードがそれまでのトヨペット店専売から、クラウンを専売していたトヨタ店で販売できるようになり、クラウンユーザーがアルファードに流れていることもあるようだが、新規に扱えるようになっても、あまりに特別な存在なので売りにくいという声も多く聞かれた。
ただ、全店併売化になる前からクラウンの販売苦戦気味な様子は見受けられた。その理由のひとつが、直6やV6メインから直4や直4ベースのハイブリッドメインとなったことも大きいようである。
ヨーロッパでは合理的な考えから、カローラクラスでも直3を搭載したり、メルセデスベンツCクラスやBMW 3シリーズだけでなく、その上のEクラスや5シリーズも2リッター直4がラインアップされている。あのキャデラックですら、標準仕様でV8が搭載されるのは大型SUVのエスカレードぐらいとなっているのだ。
ただし、日本は“アメリカ以上にアメリカ的”なところもあるようで、たとえばヤリスが直3エンジン搭載となると、「うちのは直4ですよ」とライバルディーラーのセールストークに使われるほど、「気筒数が多いほど偉い」という認識が幅を利かしているようだ。クラウン場合も「やっぱり直4じゃあなあ」という声も聞かれるようである。
同じく方向転換したキャデラックは”らしさ”を残す
今回クラウンを試乗する直前に、キャデラックCT5に試乗する機会があった。かつてのキャデラックといえば、大きなテールフィンを持つ1959年式エルドラドを代表に、とにかく大きいボディに大排気量のV8エンジンを搭載していたが、2000年代に入ると本格的に方向転換を進め、2010年代には直4エンジン搭載モデルが当たり前のようにラインアップされるようになった。
CT5はCTSの後継として2019年に初公開されたモデル。アメリカ内陸州では直4に否定的なところも多いので、アメリカ向けには3リッターV6が用意され、またハイパフォーマンスモデルとなるCT5-Vには6.2リッターのV8もラインアップしているが、メインは2リッター直4となる。
しかし、実際に運転して見ると、さすがに昔の“船を漕ぐ”ような、かなりソフトなイメージはないものの、クラウンほどの固さは感じない。個人的にはフランス車のようなソフトイメージの乗り味に、“キャデラックらしさ”を感じることができた。2リッター直4といっても、アメリカンブランドらしく、トルクにふった特徴的なレスポンスもアメリカ車らしいなあと感じた。
キャデラックもクラウンも、現状のトレンドを反映して排気量のダウンサイズなどを行なっているのだが、“らしさ”をどこまで残すかで方向性が違っていると感じた。つまり、時代は代わっても、キャデラックブランドというのはどういうものなのかを、CT5ではしっかり表現されていると感じたのである。
対してクラウンは、運転してみて「やっぱりクラウンだよなあ」とツボを押さえている部分が少なく感じた。この「クラウンらしさの欠如」が今日の販売苦戦に見える実績に少なからず影響しているように思う。
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みんなのコメント
要するに
Cピラーだよ。
なんとも中途半端な6ライトセダン?クーペ?
これだけのボリュームがあり室内空間を削ってまで表現したかったのがこれ?
欧州のEセグだったら恥ずかしくて世に出せないレベルでしょ
自分が豊田だったら間違いなくデザイナーはクビだわ