■レクサス新型ミニバン「LM」世界初公開! 開発責任者に色々聞いてみた!
中国・上海モーターショーで世界初公開された2代目となるレクサス新型「LM」。
レクサスは「高級ミニバンではなく『ラグジュアリームーバー』として開発した」と語っていますが、どのようなこだわりが込められているのでしょうか。
【画像】超豪華「4人乗り仕様」を設定! 新型LM、実車の内外装を現地写真で見る!
そんな新型LMですが、開発の陣頭指揮を取った横尾貴己さんに話を伺いました。
―― 横尾さんは以前「LX」の開発責任者としてお会いしていますが、いつ頃LMの開発責任者に代わられたんですか。
横尾:実は代わったのではなく、両モデルの開発責任者を兼務しています。
―― 初代は中国を中心にアジア圏内での発売でしたが、2代目は日本を含めグローバルに展開を行なうモデルです。開発する上で大事にした事は何でしょうか。
横尾:初代は「中国の現地のお客様の声にいかに早く対応するか」と言うことで時間を重視して導入したという背景がありましたが、その価値はシッカリと認めてもらったと思っています。
そんな評価からそれ以外の地域からの要望も大きかったため、2代目はグローバルモデルとして開発を進めました。
――日本はもちろん、欧州でも発売が行なわれますが、開発する上で特に意識した所は?
横尾:2代目としての進化はもちろんですが、「新世代レクサス」と言う部分は特に意識しました。
ちなみに2代目はミニバンではなく「ラグジュアリームーバー」として開発しており、デザイン/走り共にレクサスの世界観を色濃く盛り込ませています。
―― エクステリアは新世代レクサスを象徴するスピンドルボディが特徴ですが、初代よりも少し優しい顔になった気がします。
横尾:スピンドルボディのモチーフを取り入れているのはもちろんですが、「ミニバン=顔が命」からの脱却の意味も込められています。
―― ミニバンはサイドビューが平面っぽくなりがちですが、LMは抑揚がシッカリ出ているような気がしました。
横尾:そう言っていただけると嬉しいですが、上部のキャラクターラインは直進安定性、下部のスカートはロールを抑える効果がある気の部品でもあります。
40mmの全幅拡大はデザイン代だけでなく走りの部分(トレッド拡大)にも活きています。
―― インテリアは次世代レクサスの「TAZUNAコンセプト」を踏襲したデザインですが、個人的には「NX/RX」よりもバランスが整っているように感じました。3列シート(6/7人乗り)も設定されますが、やはり注目は4人乗り仕様だと思います。専用のキャプテンシートに48インチの大画面モニター、そしてパーティション。まさに動くパーソナルスペースと呼びたいくらいです。
横尾:シートはもちろんリモコンやシェードなどを含め、左右の席を「独立したパーソナル空間」にすることを意識しました。
ちなみに48インチモニターは左右分割で独立したコンテンツの表示も可能です。
VIPは後席に1人で乗るケースが多いですが、親しい人を乗せた時に片方の人の操作のためにもう片方の人を邪魔してはダメですよね。
―― ドアはeラッチの採用に加えて、フロントはイージークローザー、スライドドアは電動式を採用されています。
横尾:スライドドアの開閉スイッチはオーバーヘッドにレイアウト。操作は所作も含めてスマートにできるようにしています。
■走りの面はどうなの? LM350h/LM500hの違いは?
―― 走りの部分はどうでしょうか? 新世代レクサスは「対話ができる走り」と「クルマの体幹をシッカリ鍛える」がベースとなっていますが、それはLMでも同じですか?
横尾:そこは今回1番こだわった所です。
走りの面で不利と言われるボディ形状で「レクサスらしい走り」を実現させる。そこが私の中の大きなタスクでした。
―― LXはフレームボディでレクサスらしさの挑戦でしたが、LMはMPVでレクサスらしさの挑戦です。横尾さんは常に難題が与えられているような気がしますが?(笑)。
横尾:そこは解りませんが、新世代レクサスを意識しながら様々な挑戦を行ないました。
―― パワートレインは全車ハイブリッドでLM500hが2.4Lターボ+ダイレクト4、LM350hが2.5L+THS IIが設定されています。
横尾:先代は動力性能の部分で不満の声もあったので、新型ではかなり意識しました。メインはAWDモデルですが、LM350hのみFFを設定しています。
―― プラットフォームはTNGA世代にアップデートされていますが、新開発ですか?
横尾:形式的にはGA-Kになりますが、実はエンジンコンパートメントよりも後ろは床が高いMPV専用設計になっています。
―― 走りの方向性は? ショーファーモデルなので快適性は重要な要素だと思いますが、それだけではダメですよね?
横尾:その通りです。新世代レクサスが目指す「対話できる走り」はドライバーだけでなく乗員にも大きな効果があるので、そこは徹底してこだわりました。
ドライバーは操作に戸惑う、的確な操作ができないと、その不安は乗員にも伝わってしまいます。
そのため、ハンドリングに関しては「素性の良いクルマの動き」を目指しました。
―― つまり、ドライバーが気持ちいい走りを実感できれば、後席も共有できると。ちなみに2代目にはレクサス初となる「周波数感応型AVS」に加えて、ドライブモード「リアコンフォート」が採用されました。これはどのような乗り味なんでしょうか?
横尾:リアコンフォートはショーファーニーズに対応したモードで、後席の乗り心地の硬さをできるだけ感じさせないのはもちろん、アクセル/ブレーキ操作時の姿勢変化を最小限にしたセットアップになっています。
―― 4人乗り仕様はシートの位置関係からリアタイヤの手前に座る感じです。乗り心地はもちろんロードノイズなども気になる所ですが、当然そこも抜かりはないですよね?
横尾:もちろんです。その辺りは是非とも試乗して確認していただきたい所です。
■豊田章男氏の評価は? そして気になる価格はどのくらい?
―― マスタードライバー・豊田章男の評価はどうでしたか? 豊田氏はヴェルファイアに乗るリアルユーザーの1人です。
横尾:試乗後に一言「これは凄い!!」と。私は誉め言葉だと解釈していますが、最後の最後まで作り込みを行なっています。
―― 中国を皮切りに順次発売が行なわれると思いますが、日本はいつ頃ですか?
横尾:2023年の秋ごろを予定しています。モデルはLM500hの4人乗り仕様のみの設定です。
―― 価格的はLSに近いと予想していますが、それと並ぶ存在だと思っていいですか?
横尾:今、レクサスは「電動化」、「知能化」、「多様化」を3つの柱にしています。
その中で多様化を担うのがLMです。価格はまだ言えませんが、ラグジュアリームーバーと呼ぶからには、ハイエンドのお客様の選択肢になる設定になると思ってください。
―― もちろん、ショーファーニーズが多いと思いますが、どのような人に乗ってもらいたいですか?
横尾:オーナーの方は後席に乗る機会が多いでしょうが、大事な方を乗せ自ら運転もしてくれると嬉しいですね。
フロントシートもリアシートどちらでも楽しい、そんなクルマに仕上がっていると自負しています。
―― 日本でも非常に高い反響ですが、「どれだけ作れるか?」は、今から心配です。
横尾:難しい問題ですが、できるだけご迷惑をおかけしないように努力いたします。
※ ※ ※
上海モーターショー2019で初代LMが登場してから4年で2代目へとフルモデルチェンジした新型LM。
これまでのアジア向け高級ミニバンからグローバルに向けた高級ミニバンとなることで、市場からどのような反響を受けるのか、今後の動向も注目です。
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