訴求力を維持するコナ・エレクトリック
新しい純EVが次々に発売される昨今。ヒョンデ・コナ・エレクトリックは、このクラスでの古株になってしまった。英国での発売は4年前だ。それでも約480kmの航続距離と、お手頃な価格設定には、今でも訴求力がある。走りも良い。
【画像】ヒョンデ・コナ 日本再上陸を叶えたアイオニック5 競合の純EVとも比較 全108枚
ヒョンデからも、アイオニック5という優れた新モデルがリリースされている。だが、コンパクト・クロスオーバーのコナ・エレクトリックも競争が厳しくなる市場へ耐えられるように、アップデートが施された。
スタイリングの変化が、わかりやすい部分。近年の純EVに準じて、フロントグリル・レスのルックスが与えられた。ただし、フロントグリルがなくなると、個性が薄くなることも共通しているようだ。
マイナーチェンジ後は、39Whの駆動用バッテリーと136psの駆動用モーターが組み合わされ、航続距離304kmの仕様をエントリーグレードとして設定。同じく64kWhと204ps、482kmの組み合わせがトップグレードと、2段階構成へシンプルになった。
制御ソフトウエアにも改良が加えられたということだが、電動パワートレイン自体に大きな変更はない。とはいえ、登場が早いだけに仕上がりを評価し、巧みに弱点を修正させてきている。
39kWh版でも活発 良好な乗り心地と操縦性
204psの駆動用モーターを積む方に限らす、初期型のコナ・エレクトリックはグリップ力が足りず、乾燥路でもホイールスピンする傾向が目立った。しかし、マイナーチェンジ後は出力特性が調整された様子。
今回試乗した39kWh版では、まったくそんな兆候も見られなかった。64kWh版と比較するとパワーは劣るものの、充分に活発。運転しやすいと感じた。ただし、濡れた路面で急にアクセルペダルを踏み込むと、まだトラクションが抜ける様子ではあるが。
ドライブモードには、エコとノーマル、スポーツの3段階が用意されている。アクセルペダルを踏んだ時のパワー感やレスポンスは、モードによって明確に変化する。
筆者は、ノーマルが最もバランスが良いと感じた。スポーツ・モードを選ぶと、メーターのグラフィックが赤く染まる。全体的に機能性重視なインテリアデザインだから、華やかさが加わって悪くない。
コナ・エレクトリックの褒められる乗り心地と操縦性は、マイナーチェンジ後も変わらず。安定していて挙動を予想しやすく、適度な一体感もある。スポーティとはいえないものの、印象は良好だ。
郊外の道を運転していて、気になる癖なども見受けられない。乗り心地は快適と呼べるもの。唯一、漠然としたステアリングホイールの感触は、改善の余地があるだろう。
航続距離と価格設定で巧みに渡り合う
試乗した日は肌寒くヒーターを利用した状態で、特に気を使った運転をせずに、電費効率は5.0km/kWhが表示されていた。実容量で39.2kWhのバッテリーでの航続距離は、194kmになる。温かい条件なら、メーカーが主張する304kmへ近づくだろう。
転がり抵抗の低い新しいタイヤを履いたことで、電費効率は全体的に改善しているようだ。ステアリングホイールにはパドルが取り付けられ、回生ブレーキの強さを調整できる点も良い。
登場から数年が経過し、コナ・エレクトリックから感じる新鮮味は薄れてしまった。それでも新しいライバルと比較して、充分な訴求力はまだ保持している。大きな強みといえるのが、価格設定といえる。
コナ・エレクトリックの英国価格は、政府の補助金を引いた後で、今回試乗した39kWh版のプレミアム・グレードが3万300ポンド(約485万円)から。ベーシックなトリムグレードなら、2万9000ポンド(約464万円)を切る。
残価設定プランやリースプランを組むと、3万5050ポンド(約560万円)の64kWh版にも説得力が出てくる。482kmという航続距離は、大きな魅力でもある。
新しいライバルモデルへ対抗できる航続距離を持つのが、64kWh版。魅力的な価格を持つのが、39kWh版。ヒョンデ・コナ・エレクトリックは、しばらく巧みに市場を渡り合っていけるだろう。
ヒョンデ・コナ・エレクトリック 39kWhプレミアム(英国仕様)のスペック
英国価格:3万300ポンド(約485万円)
全長:4205mm
全幅:1800mm
全高:1565mm
最高速度:154km/h
0-100km/h加速:9.9秒
航続距離:304km
電費:7.7km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1610kg
パワートレイン:AC久磁石同期モーター
バッテリー:39.2kWhリチウムイオン(実容量)
最高出力:136ps
最大トルク:40.1kg-m
ギアボックス:−
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