■「軽自動車税の適正化を検討すべき」という根拠は?
日本独自の自動車規格として、国民の生活を支えている軽自動車。
軽自動車には、登録車と比べてさまざまな税制優遇があります。
そうしたなかで、2021年10月末に東京都が軽自動車の増税を訴えかえけているとして、インターネット上などで話題となっています。
事の発端となったのは、10月22日におこなわれた東京都税制調査会(都税調)での提言です。
2000年に設置された都税調は、大学教授などの有識者で構成されており、都民および国民の立場から、税制のあり方についての提言を東京都に対しておこなっています。
今回の提言は「コロナ禍を超えて持続可能な社会を目指す税制」というテーマのもと、おもに地方税についての様々な提言がなされていますが、そのなかで、次のような一文が述べられました。
「軽自動車税は、平成28年度に税率が引上げられたが、依然として 1リットル以下の小型自動車の自動車税の税率とは2倍程度の開きがある。
(中略)
一方で、近年は、燃費や車両重量でみても両者の差は顕著でなく、そのため環境負荷にも差異が少ないことを考えると、軽自動車を軽課する現行の税率体系は合理性を欠いている。
そこで、日本特有の規格である軽自動車への政策的配慮をしつつ、税負担水準の適正化について検討していくべきである」
2021年11月現在、軽自動車税は1万800円となっていますが、排気量が1リットル以下のクルマ(乗用車)の自動車税は2万5000円。
今回の提言では「税負担水準の適正化」と表現されていますが、軽自動車税を値上げすることで、軽自動車とコンパクトカーの差を少なくすることを求めています。
そもそも軽自動車とは、ボディサイズやエンジンの排気量などが一定の範囲に収められている代わりに、普通車と比べてさまざまな税制優遇を与えるという日本独自の自動車規格です。
「軽自動車」という言葉自体は1949年頃から運輸省(当時)の公文書などに登場していますが、1960年代の高度経済成長期に、通産省(当時)の「国民車構想」を背景に急速に普及することになります。
近年では、コンパクトカーに比べて税負担が少ないことはもちろん、居住性や機能面でもコンパクトカーをしのぐものも少なくないことから、日本で販売される新車のおよそ4台に1台が軽自動車となっているほどです。
軽自動車の税金が登録車に比べて低く設定されている根拠のひとつは、環境に与える影響です。
基本的に、排気量が大きければ大きいほど燃料を多く消費するため、有害物質を含む排気ガスも多く排出することになります。
都税調では、自動車税および軽自動車税について、「自動車がもたらすCO2排出、道路損傷交通事故、公害、騒音等、様々な社会的コストに係る行政需要に着目した『原因者負担金的性格』を有する」と説明しており、環境への影響が大きいクルマほど、税金が高くなるのにはこうした背景があります。
■N-BOXとフィット、燃費性能だけで比べると大差はない? 税制の差における適正とは
しかし、例えば軽自動車のベストセラーモデルであるホンダ「N-BOX」のカタログ燃費(WLTCモード)が、21.2km/L(自然吸気)であるのに対し、同じくホンダの「フィット」のカタログ燃費は20.4km/L(ガソリン車)とほとんど差はありません。
さらにいえば、カタログ燃費が29.4km/Lのフィット(ハイブリッド車)では、軽自動車であるN-BOXよりも燃費が良いにもかかわらず、1.5リッターのエンジンを搭載していることから、現行の税制上では3万500円と、軽自動車の3倍近い自動車税が課税されます。
実際には、ハイブリッド車には自動車重量税が減税されたりするなどのメリットはありますが、自動車税と軽自動車税に注目すると、税額の違いを説明できるだけの根拠が薄いという都税調の指摘は妥当なものといえそうです。
今回の提言は、あくまで「提言」であるため、これをうけて実際に軽自動車税の見直しがおこなわれるかどうかは、都議会などの判断を待たなければなりません。
ただ,そもそも、軽自動車と普通車の税額差に合理性がないことは以前から指摘されており、軽自動車税の値上げおよび自動車税の値下げはすでに何度かおこなわれています。
※ ※ ※
税負担が上がることを喜ぶ人はまずいませんが、重要なのは税負担削減を叫ぶことよりも、適正な税負担であることです。
そういった意味では、現状のクルマの性能に即して税額を検討すること自体は、歓迎すべきことだといえます。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
スズキが新型「コンパクトSUV」発表へ! 人気のトヨタ「ライズ」対抗馬!? 低価格「200万円級SUV」が”激戦区”に突入する理由とは
500馬力超え! 日本専用の「新型スーパーカー」発表! 鮮烈レッドの「V8エンジン」をミッドシップ搭載! 情熱の“炎” モチーフの「レッドフレイム」とは
「高速降りずに寝れるのサイコー!」 1泊3000円で「サービスエリア」に泊まれる? 車中泊よりも快適な「謎のハイウェイホテル」とは?
トヨタの斬新「86ワゴン」に大反響! まさかの「スポーティワゴン」に進化! 実用的な「ハチロク」実車展示に熱視線
“新車”のトヨタ「2000GT」に大反響! 「5ナンバー」ボディ&クーペとオープン設定! “ホンモノ志向”レプリカモデル「ロッキー2000GT」実車展示に熱視線
みんなのコメント
オプションてんこ盛り200万オーバーの軽四車両は大幅増税するべき。もはや優遇される対象ではない。