防災・減災対策のきっかけ「1月17日」
text:Naoki Furumoto(古本尚樹)
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editor:Taro Ueno(上野太朗)
1月17日は阪神・淡路大震災発災の日である。あれから26年が経つが、この震災は、わが国の防災や減災対策の大きな転換期を迎えるきっかけになったといっても過言ではない。
直下型地震は建物の崩壊は避難経路を狭め、避難者の安全を脅かすこととなった。当時考えられなかったが現実として高速道路が崩壊する映像は、直下型地震の恐ろしさを提示している。
建築基準法の改正のきっかけとなり、大規模な火災対策、建物の強靭化、また街づくりそのものとして避難経路確保のため、歩道の拡幅や、緊急自動車の走行を確保するための道路幅の確保の必要性があり、その対策をおこなっている。
阪神・淡路大震 交通インフラ被害
平成7年度運輸白書によれば同震災で鉄道は、山陽新幹線をはじめ、JR西日本、阪急電鉄、阪神電鉄など合計13社の路線において高架橋の落橋、トンネルや駅舎の損壊などの大きな被害が発生した。
港湾施設については、兵庫県、大阪府、徳島県の24港で被害が生じた。阪神間を結ぶ中国自動車道、阪神高速神戸線、湾岸線、国道2号、43号線といった主幹線道が寸断された。
バスについては、兵庫県、および大阪府において、32事業者の車庫、営業所、ターミナルなどに被害が生じた。また、18事業者の172両の車両に被害が生じた。タクシーについては、営業所の被害が約520件、車庫の被害が約160件、車両は約760両が被害を受けた。
また、1183のトラック事業者が被災し、車庫、営業所等の施設、および車両の損壊などの被害が発生した。大阪国際空港については、滑走路、および誘導路のひび割れ、旅客ターミナルビルの外壁の剥落などの被害が発生し、関西国際空港についても、旅客ターミナルビル、鉄道駅、立体駐車場などにおいて、壁面にひび割れが発生するなどの被害が生じたものの、いずれも航空機の運航に支障は生じなかった。
地震発生直後、新幹線では、京都~岡山間が不通となったが、1月18日には姫路~岡山間(89km)、1月20日には京都~新大阪間(39km)が復旧した。しかし、新大阪~姫路間(92km)は4月7日まで不通であり、上下線あわせて1日当たり約11万人ものひとびとが影響を受けた。
これは、山陽新幹線全線(新大阪~博多間、623km)における1日平均輸送人員(6年度)約16万人のうち約71%を占めている。
また、JR在来線、および民鉄線では、発災当日中に復旧しなかった不通区間が、JR東海道・山陽本線尼崎~姫路間(80km)、阪急電鉄神戸線全線(32km)、阪神電鉄本線全線(32km)など合計約419kmにのぼり、約580万人の足に影響が出た。
その後、1月末の段階では、阪神間の幹線交通であるJR東海道本線(芦屋~神戸間、14km)、阪急電鉄神戸線(西宮北口~三宮間、17km)、阪神電鉄本線(青木~元町間、10km)を含め不通区間合計約93kmで、約250万人に影響があった。
バスは、震災直後、神戸市内では、ほとんどの路線が運休した。神戸港からは、淡路島、四国、九州などの各方面へフェリー、旅客船、高速艇が数多く就航しているが、それらの航路のほとんどが一時的に運航の中止を余儀なくされた。
しかし、港湾施設の応急復旧などにより、その一部については早期に運航が再開された。また、神戸港への寄港の一時中止や起終点を神戸港から大阪港などに一時変更することによる運航の維持も図られた。
大震災を教訓 インフラのあり方は
交通インフラ
阪神・淡路大震災での教訓として道路など交通に関する災害復興について呈する。
高速道路が大きな被害を受けていたが、その代わりになる道路が不十分で、セーフティーネットがないような状態になっていた。
そこで、幹線道路が通行止めになったとしても、それをう回できるルートの確立が重要である。
これは災害時の避難経路の確保のみならず、通常時の交通渋滞を緩和する効果も期待できる。また、環境への配慮もできるだろう。
道路の種別、すなわち高速道や幹線道路などをしっかりと区分けした道路網の整備は重要である。災害時も活用できて、こうした分別化は交通モビリティを良くし、交通事故を減らす効果が期待できる。
情報のあり方
交通に関する情報(規制など)はテレビやラジオ、また最近だとナビゲーションなどでも表示されるが、当時、ドライバーは実際の混雑や規制情報などを把握できずにいた。
正確で詳細な情報を提供するのに、現在のナビゲーション・システムの活用は効果があるが、災害時の刻々と変化する道路事情を提供できるナビゲーションや情報提供の仕方、そしてツールの開発が望まれる。また鉄道などの交通機関の災害時の他社線やバス利用を加味した非常用乗り換えアプリの充実が求められる。
震災直後、バスレーンの代わりが幹線の国道に設置されていた。交通規制もあるなかで災害時のバスレーンを有効に活用したい。
交通手段の選択肢
いくつかの交通手段の選択肢を用意するほうがさらに効果が見込めるだろう。地震直後は、直下型地震の影響で特有のキャパシティーが激減していた。そこで利用できる道路をいかに効果的に利用するかが鍵であった。
交通規制をする場合に利用する車両の限定化や、道路交通システムの更なる研究開発の進展も不可欠である。
また、既存の道路が災害時では車線数の変更が可能だったり、別の道路への転用が可能にするなど、自由度の高い道路であることが検討されるべきだ。
阪神高速の災害対策 事故の際も効果
被害の大きかった高速道を管理する阪神高速では現在までに、交通管制センターで、地震計などの気象観測装置、テレビカメラ・車両検知器などの情報収集装置、道路パトロールカーなどから、道路に関するあらゆる情報を24時間体制で収集し、利用者の安全を確保するため、さまざまな方法での情報提供、事故・災害の防止、各種の支援活動をおこなっている。
震度5弱以上の地震が発生すると、ただちに入口を閉鎖して通行止めの措置をとり、緊急点検を実施する。交通量監視カメラで撮影した映像を、交通管制センターのグラフィックパネルにリアルタイムで表示し、交通状況を視覚的に確認している。省エネ、長寿命のLED照明を採用している。 照明柱は、耐震性の高いストレート型ポールを採用し、強度もアップさせている。道路情報板は、視認性の高いLED(発光ダイオード)方式を採用している。
地震発生時には「地震発生 注意」、「地震発生 速度落とせ」、「地震発生 止まれ」の3段階のメッセージが表示される。メッセージが表示されたときは、道路情報ラジオで状況確認をおこなってもらい、1路線ごとに2~4か所の放送区間を設置し、放送区間ごとに異なる音声情報を提供している。
災害発生時に迅速な対応を一元的かつ総合的におこなうために、拠点となる防災センターを設置している。防災センターは、各部署に設置された防災端末や高速道路上のカメラなどと通信回線で接続され、災害対応業務を円滑に実施する機能を確保している。
各路線24時間体制で地震動を監視して、データはリアルタイムで交通管制センターへ送られる。非常口は240か所に設置されており、設置場所は側壁の誘導標で表示している。また、緊急時には各出入口も避難路として使用できる。非常駐車帯は455か所に設置されており、非常時には車を駐車することができる。
また、非常電話が併設され、交通管制センターに連絡をとることができる。非常電話は事故・故障、および災害などの非常時に交通管制センターへ連絡することができる。なお、ボタン操作だけでも通報がおこなえるようにしてある。
過去の事例を活かすべき
実際今、神戸では基本的に道路幅は広い。緊急自動車の移動がスムーズにできるように配慮されているし、歩道も広く拡幅され、避難経路として威力を発揮するように主だった部分は配慮されている。
これは筆者自身、その後熊本で赴任した直後に熊本地震の被災者になったときを比べると、当時の熊本は九州でも有名な車線幅の狭い地域でかつ、歩道が狭い。これでは災害時の車両や歩行者の移動が困難である。
それ以上に歩行者が道路にはみ出すなどして危険になる。事前に災害のことを考慮に入れた減災として道路など交通体制には考慮する必要がある。
防災対策を含め、利用者や地域住民が安心・安全に活用できる交通インフラや手段のあり方を考慮するのに過去の事例をしっかりと受け止め、今後の対策に活かすべきである。
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