■ハイパワーエンジンを搭載した初期のフルタイム4WD車たち
4WD車が普及し始めたころは、悪路走破性の高さが特徴であるというのが一般的な認識でした。そんな4WD車の常識を覆したのが1980年に登場したアウディ「クワトロ」です。
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クワトロの登場によって、4WDが悪路だけでなく舗装路でも安定した走りに有効だということを証明しました。
その後、さまざまなメーカーがフルタイム4WD車を開発し、国内メーカーも追従。そこで、ハイパワーなフルタイム4WD車のなかから黎明期に販売されたモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「ファミリア GT-X」
1963年に初代が発売されたマツダ「ファミリア」は、同社を代表する大衆車として歩みつづけ、1985年には6代目が登場しました。
そして、6代目ファミリアには、最高出力140馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載した、日本初のフルタイム4WD車の「ファミリア 1600GT-X」がラインナップされました。
ハイパワーなターボエンジンとフルタイム4WDの組み合わせは、2WDの2リッターターボ車に迫る動力性能と評されます。
4WDシステムにはプラネタリーギア方式のセンターデフを採用し、センターコンソールにあるデフロックスイッチで前後輪の駆動配分を固定することが可能でした。
また、圧搾エアーにより悪路を想定した2段階の車高調整機能が装備され、国内のラリーや世界ラリー選手権で好成績を収めたことがイメージアップにつながり、GT-Xは高い人気を誇りました。
●トヨタ「セリカ GT-FOUR」
1970年にデビューしたトヨタ初代「セリカ」は、滑らかで優美なデザインの2ドアクーペで、高性能なDOHCエンジンを搭載するなど、若者から人気を博します。
その後もセリカはスポーティカーとして代を重ね、1985年には駆動方式がFFとなった3ドアハッチバックの4代目を発売。
リトラクタブルヘッドライトと、角を削り取ったような丸みを帯びたボディラインが特徴で、トヨタは「流面系」と呼称していました。
そして1986年には、最高出力185馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンと、センターデフ式フルタイム4WDシステムを搭載した「セリカ GT-FOUR」を発売します。
1988年には「TTE」(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)が世界ラリー選手権にセリカ GT-FOURを投入し、1990年には常勝だったランチア「デルタ」を破り、日本車初のドライバーズチャンピオンを獲得するなど、性能の高さを証明。
ラリーで活躍したセリカはハイパワーなフルタイム4WD車というイメージが定着し、5代目と6代目にもGT-FOURがラインナップされました。
●三菱「ギャラン VR-4」
1969年に三菱は初代「コルトギャラン」を発売。国内のラリーで勝利を重ね、海外のラリーでも勝利するなど、三菱のモータースポーツ活動の礎となります。
その後、ラリー参戦車両は「ランサー」に移行して活躍しますが、ライバルが4WD化していくなかFRのランサーでは勝てなくなり、グループB車両の「スタリオン4WD」を開発しますが、グループB自体が消滅。
そこで三菱は1987年に、世界ラリー選手権に参戦することを前提に開発されたフルタイム4WD車の「ギャラン VR-4」を発売します。
5ナンバーサイズのスクエアボディに、最高出力205馬力を発揮する直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載。
ギャラン VR-4は大人しい外観からは想像がつかないほどの強大なパワーを、フルタイム4WDによって余すこと無く路面に伝えることで、超高性能セダンというジャンルの先駆者となります。
当初の目的だった世界ラリー選手権での勝利も獲得でき、後に続く「ランサーエボリューション」シリーズの源流として記憶に残る名車です。
■大ヒットを記録した高性能4WD車とは!?
●スバル「レガシィ RS type RA」
国産乗用車初の4WD車を開発したスバルは、「レオーネ」シリーズの登場で4WD車の普及を加速させました。
そして、1989年にすべてが新設計された次世代のフルタイム4WD車「レガシィ」を発売します。
スバル伝統の水平対向エンジンを搭載し、レオーネで培ってきた4WD技術を融合させたセダン/ステーションワゴンとして、あらゆる路面状況で優れた走りを発揮し、当時のスキーブームも後押しになり大ヒットしました。
また、発売当初からモータースポーツへの参戦を想定しており、レースベース車の「レガシィ RS type RA」をラインナップ。
エンジンは「STi(スバルテクニカインターナショナル)」がチューニングした最高出力220馬力を発揮する2リッター水平対向4気筒DOHCターボを搭載し、さらにラリーで威力を発揮するギア比が変化するバリアブルクリック・パワーステアリングを装備するなど、戦うマシンとして仕立てられていました。
1990年に世界ラリー選手権参戦を開始すると1993年にはスバル初の優勝を勝ち取り、後の「インプレッサWRX」開発への道を開拓します。
●日産「ブルーバード SSSアテーサ」
日産は1958年にラリーに初参戦するとクラス優勝を果たし、後に「ブルーバード」や「フェアレディZ」「バイオレット」などによって勝利を重ねたことで「ラリーの日産」のイメージが定着します。
そして、1987年に登場した8代目ブルーバードでは、最高出力175馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒DOHCターボエンジンに、センターデフ方式のフルタイム4WDシステムを組み合わせた「ブルーバード SSSアテーサ」をラインナップ。
高い動力性能だけでなく、STC-Sus(スーパートーコントロール・リヤサスペンション)、4WAS(4輪アンチスキッドブレーキシステム)などを装備することで、優れたハンドリングと操縦安定性を実現しています。
さらに、モータースポーツベース車の「ブルーバードSSS-R」を発売。専用のカムシャフトやターボチャージャーにより最高出力を185馬力まで高め、クロスレシオ化されたトランスミッションを搭載し、ラリー競技のために室内にロールケージが装着され2名乗車となるなど、市販車とは思えないストイックなモデルとなっていました。
※ ※ ※
4WDシステムにはさまざまな種類があり、現在は軽自動車からハイパフォーマンスカーまで数多くのモデルが4WD車をラインナップしています。
とくに日本は降雪量が多い国なので、豪雪地域を中心に、いわゆる「生活四駆」といわれる4WD車が爆発的に普及しました。
かつての4WD車は燃費が悪いなどのデメリットがありましたが、いまではトヨタ「プリウス」の4WDモデルが34km/L(JC08モード)という良好な燃費性能を誇るなど、もはやデメリットを感じさせません。
生活に根ざした4WD車だからこその進化ではないでしょうか。
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みんなのコメント
5ナンバー縛りの中で(そして当時の技術レベルで)2L・200馬力が
どれだけ度肝を抜いていたか。
当然ながらエンジンの出力をまともに受け止められるだけの
専用設計された車体じゃないからあちこちが最初から破綻しているのだけど
それが「いかにも暴れ馬」で運転している感を強く得られた。
電子制御だとか最新のボディ設計だとかで
200馬力なんて屁みたいな扱いになったが、
運転している感は全く感じなくなってしまった。
端的に、運転していてもなんかツマンナイ車ばかりになった。
懐古厨と呼ばれようとも、
昭和末期~平成初頭の車がイチバン車らしい車だと思う。