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注目のオールシーズンタイヤ「ダンロップ シンクロウェザー」の実力を検証!すべての路面を試して感じた「安心感」

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注目のオールシーズンタイヤ「ダンロップ シンクロウェザー」の実力を検証!すべての路面を試して感じた「安心感」

住友ゴムは2024年7月22日、ゴムの特性を変えることができる新技術「アクティブトレッド」を搭載した初の市販モデル、ダンロップ「シンクロウェザー」を発表しました。今回は技術・製品概要に加えて、実際にシンクロウェザーの実力を検証するべく試走会に参加した模様をレポートします。

ゴムの新技術「アクティブトレッド」とは?
温度が変わるとモノの性質は変わります。あまりに当然すぎて意識することはありませんでしたが、確かにおよその物質は温度によって姿カタチが変わっていきます。筆者のように化学に対して専門的知識のまったく無い人でも、水が氷になったり、油が硬くなったりすることは理解しています。

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余談ですが、冬の寒い時期に愛用する低反発まくらがカッチコチに固まっていたことがあり、温度が低くなるといろんなものが硬くなるんだなと実感したことがあります。ではゴムはどうでしょうか。我々の日常に溶け込んでいる数多くのゴムたち。たとえば自転車のタイヤでも、冬に空気を入れると「あれ、こんな硬かったっけ」と思うし、逆に夏場はそれに比べると柔らかい気もします。

実はこれは真実で、低温になるとゴムは弾力性を失い、硬くなります。それは、クルマのタイヤも然りです。雪や氷などに触れて温度が下がるとタイヤは次第に硬くなります。また硬くなると路面を捉えるグリップ力は低下しますから、ブレーキ性能も低下してきます。また水上においてもゴムは滑りやすい特性を持ちますので、グリップ力は低下します。これらはゴムの性質上として誰もが「あたりまえ」と考え、タイヤのパターン(接地面に当たる模様)を創意工夫しながら、雪や雨の中でもタイヤ性能を維持する努力を各社がやってきたわけです。

2023年のジャパンモビリティショーで、住友ゴム工業が新技術として発表した「アクティブトレッド」は、そのあたりまえの概念を覆す革新的なものでした。すなわちそれは、水の有無や路面の温度変化によってタイヤ側が特性を変える、というものです。

タイヤで使用されるゴムは基本としてポリマー(ゴムの骨格材料)、シリカ(ゴムの補強)、加硫剤や添加剤などによって構成されています。これらは、互いに「共有結合」といって、それぞれの原子同士が互いに電子対の共有をともなう結合をします。要はそれぞれがガッチリとくっつき合うということです。

そこで住友ゴムは、水に触れると結束が溶けるイオン結合に着目し、化学に精通する企業とともにポリマー間における結びつきをイオン結合に置き換えるという技術(=アクティブトレッド)を開発しました。つまり、タイヤが水に触れるとポリマーの結束が溶けて柔らかくなるという特質をもつゴムが誕生したというわけです。加えて低温時においてゴムが硬くなるという性質に関しては、ポリマーの動きを常に活発な状態(=ゴムが柔らかい)にする構造を開発し、雪や氷の上を走った際にタイヤがガッチガチになりにくくなるゴムを生み出しました。

要するに、住友ゴムは「水の上でも柔らかく、雪や氷の上でも硬くなりにくい」ゴムを開発したということです。この、路面状況に応じてゴム側が能動的に特性を変化する技術というのが「アクティブトレッド」というわけです。

アクティブトレッド搭載のオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」が登場
さて、真偽を問いたくなるほどゴムにとって革命的な技術「アクティブトレッド」を搭載した市販製品がついに登場しました。その名も「シンクロウェザー」です。ダンロップから2024年10月1日に発売されるこれは、アクティブトレッドの技術を初めて採り入れたオールシーズンタイヤです。オールシーズンタイヤとは、ドライ路面における性能を確保しながら、スタッドレスタイヤに近いパターン特性を備えることで雪や氷の上でも走ることができる、いわば万能タイヤです。

シンクロウェザーは、アクティブトレッドに最適化したトレッドパターンを採用し、すべての路面状況に適した工夫が凝らされています。たとえばウエットでの高い排水性や、雪上での排泄性を高める「V字構造」のパターンを採用するほか、氷上性能で必要なエッジ成分(氷をひっかく細かな構造)を確保しています。

これを聞くと、スタッドレスタイヤにかなり寄せたオールシーズンタイヤなのでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。実際シンクロウェザーを確認すると、そのパターンから非常にスタッドレスタイヤに近い風貌を感じさせます。ですが通常スタッドレスタイヤでドライ路面を走ることは、かえって柔らかすぎるタイヤによってグリップ力が低下するため危険とされています。そこでシンクロウェザーではドライ路面、すなわち温かい路面ではこれらのパターンの剛性を最適化して、とくにショルダー部分の剛性を高めているとのことで、安心してドライ路面でも走行ができるといいます。またオールシーズンタイヤが不得意とするノイズに関しても、パターン構造の工夫によって低減しているということです。

シンクロウェザーの真価を試す!まずはドライ&ウエットから
このシンクロウェザー、話だけ聞くと、そんな夢のようなタイヤあるのか?と思ってしまいます。そこでダンロップは「ドライ/ウエット」「雪上/氷上」の4種類の路面状況において、その実力を検証してもらう試走会を実施しました。筆者はその試走会に参加し、それぞれの路面状況における実力を試すことができました。またそこではスタッドレスタイヤ・サマータイヤとの乗り比べも実施。いったい、期待の新星はいかほどの実力を持っているのでしょうか。

まずはドライ/ウエットから試乗します。試乗車はカローラツーリングで、比較するタイヤはサマータイヤの「ルマン5+」、スタッドレスタイヤの「ウインターマックス02」。いずれもサイズは195/65R15で、ルマンとウインターマックスは各ジャンルにおける非常に実力の高いタイヤとして定評があります。まずこれらと乗り比べた結論から言うと、ドライ/ウエットいずれもシンクロウェザーの「安心感」を強く感じさせる結果となりました。

まずダンロップの岡山テストコース内のドライ走行からスタートします。ここではタイヤのノイズについてフォーカスを当てて試乗しました。まずルマン5から走り始めましたが、低速域(40km/h以下)での乗り心地の良さ、そして高速域(60km/h~100km/h程度)での静粛性の高さを実感することができました。また高速域のレーンチェンジではタイヤの剛性感が極めて高く、「安心」してドライブできたのも好印象でした。さすがはサマータイヤとして磨き込まれただけのことはあります。

続いて主役となるシンクロウェザーに乗ります。まず走り始めて、ルマン5との違いをネガティブに感じてしまう場面がありました。それは低速域でのタイヤの「硬さ」です。ショルダー部分の剛性を高めていることが影響するのか、ややゴツゴツ感を感じたのです。そしてペースを上げていくと、ルマンと比べると少しノイジーな印象で、やはりパターンが細かく刻まれている形状のためか、さすがにルマンの高い静粛性には及ばなかったように感じられました。

最後にウインターマックスに乗ると、低速時のゴツゴツ感はシンクロウェザーと大差なく、高速域ではさらにノイズが入ってくるという印象。ここまではシンクロウェザーと似ていましたが、高速域でレーンチェンジをすると「ふにゃっ」と腰砕け感のある動きを見せて少しヒヤリとしました。そして、ここで感じたのがシンクロウェザーの乗り味はとても安心感が高かった、ということです。最後に乗ったウインターマックスと比べると特に高速域での乗り心地の「ドッシリ」感が格違いに良かったことがわかりました。

続いてウエット路面にシーンを移します。まず前提として、ウエット路面ではサマータイヤがもっとも路面を捉えるグリップ力があり、逆にスタッドレスタイヤではパターンの溝が深く排水性が低いためウエット走行に適していない、という特性があります。ここではウエット路面におけるコーナリング性能を試しました。

まずルマンから走り始めると、テストコースでないとこんなスピードでコーナリングできない!と思うほど高いスピードでも安定してクルマの挙動を支えてくれました。また旋回時におけるアクセルペダルのオン・オフに対するクルマの動き方も非常にわかりやすく、突然クルマがグイっとインに入ることはなく、動きはいつまでも自然だったことが印象的でした。

続いてシンクロウェザーに乗ります。こちらはドライ路面での印象と変わらず、非常に安心感のある動きを見せてくれました。具体的には、コーナリング中の挙動が実にルマンと似ていました。むしろこちらの方が路面との当たりが柔らかい印象で、旋回中に外に膨らみそうな時でもグググっとタイヤが路面を捉えてくれている安心感がありました。

最後にウインターマックスに乗ると、走り出してハンドルを切り始めたその瞬間から舵が抜けてしまう感触があり、アクセルペダルを踏み増すことに躊躇ってしまいました。テストコースだから、と少し踏んでみるとすぐに車両のESC(横滑り防止装置)が作動。また旋回時におけるアクセルペダルのオン・オフに対するクルマの動き方もピーキーで、オフにした途端に後ろのタイヤが堪えきれずに横に滑りそうになりました。やはり雨天時にスタッドレスタイヤでクルマを走らせることはとても危険である、と改めて感じました。

というわけで、ドライ/ウエットでシンクロウェザーを走らせてもっとも感心したのは走行中の「安心感」です。ノイズに関しては残念ながらサマータイヤに及ばずといった印象でしたが、一方でどの速度域でも安心感のあるドライブが可能でした。なかでも特筆すべきはウエット路面での身のこなしです。およそスタッドレスタイヤに似たパターンをもちながら、ルマンを凌駕する性能を感じたことには驚きました。

ちなみにこの試走時には、一般道路でシンクロウェザーを走らせる経験もできました。車両はメルセデス・ベンツのGLCで、タイヤサイズは235/60R18でした。実際の「生きた」道で走らせた印象は、意外にもテストコースよりも好印象でした。というのも、テストコースで気になった低速時のタイヤの硬さやノイズが、思ったほど気にならなかった点です。当然、試乗車の車格が違いますから一概には比較できませんが、少なくともオールシーズンタイヤの需要がもっとも高いSUVタイプでの履きこなしは、かなり好印象だったと言えます。

氷上&雪上試乗。ブレーキング性能は感心もの!
さて、舞台を旭川テストコースへと移して雪上/氷上の性能を試します。試乗車は先のものと同じで、カローラツーリング。こちらのシーンでは当然、サマータイヤで走ることなんて想像もできないような路面でのテストですから、スタッドレスタイヤのウインターマックスとの直接比較となります。結論から言うとここでの印象は、とくに雪上における両者の差がほとんどなかったことに驚きました。

最初にテストしたのはウインターマックスで、氷上での発進・加速、ブレーキング・旋回を走りました。そもそもクルマを走らせる気になんてなれないほどツルツルの氷上で、ウインターマックスは明らかに氷をひっかきながら進んで、そして止まってくれることを実感できました。

発進・加速ではクルマの駆動力を逃すことなくグッグッと前に進めていってくれて、そこからフルブレーキングを実施すると、当然スルスルと滑ってしまうのですが、それでも氷を掴んでくれる感触があり、クルマが横に流れたりすることなく確実に止まってくれました。また氷上での旋回は、空転しながらも舵角に対して忠実についていってくれる印象で「ハンドルを切っているのに曲がらない」ということはありませんでした。

そのままウインターマックスで雪上に入ると、水を得た魚のごとく、ドライ路面でサマータイヤを履いているかのように極めて自然に加速して減速して、コーナリングも安定していて、フルブレーキングではガチっと止まる。この一連の所作に、まずはウインターマックスの実力の高さを知ることとなりました。

続いてシンクロウェザーで同じ道を走ります。発進・加速を先ほどと同じように試すと、ウインターマックスと変わらず自然に走り始めることができました。またフルブレーキングでは、さすがにウインターマックスほど制動力は得られませんでしたが、それでも車体の向きを変えずに真っ直ぐに止まることができました。そして旋回でもウインターマックスには及ばずとも「これ、ほんとにオールシーズンだよね?」と思うほどに、意外にも普通走ってくれる印象でした。

そして驚きの雪上に入ります。結論を言うと、ここから走り始めた雪上での印象がウインターマックスと何ら変わりなかったのです。とくに感心したのはフルブレーキングをしたときで、シンクロウェザーは確実に停止することを目指して機能してくれました。停止位置もウインターマックスと同位置で、これには思わず「おー!」と感嘆してしまいました。

氷上ではウインターマックスが一枚上手の身のこなしを見せましたが、雪上では五分五分の結果となりました。そして、旭川での試走時でも一般道路の雪上路面にてシンクロウェザーを走らせる経験ができました。車両は岡山に等しくメルセデス・ベンツのGLCでしたが、こちらも何の不満もなく(=スタッドレスタイヤと同じように)安心して走らせることができました。

まとめ
さて今回は住友ゴムが誇る新技術「アクティブトレッド」を初搭載した期待のオールシーズンタイヤ、ダンロップ「シンクロウェザー」についてご紹介しました。ダンロップによると、オールシーズンタイヤを求めるお客さまのほとんどが非降雪地帯の方だそうで、シンクロウェザーはそうしたユーザーに向けて、冬場でも安心して降雪地帯へドライブできることを目指したと言います。

たしかに都心部にお住まいの方はいくらオールシーズンタイヤを履いているとはいえ、冬場に雪が積もっているところに出かけようとする方は少ないでしょう。けれど、今回シンクロウェザーの試乗を通して「これなら冬場でもドライブにでかけるのもアリかも?」と思いました。そして街乗りや高速道路を使った普段使いでも、サマータイヤに近い十分な走行性能を備えていることも実感できました。

非降雪地域に住んでいる人にとってサマータイヤとスタッドレスタイヤのどちらも保有することは、なかなかハードルが高いのも事実です。スタッドレスタイヤを十分に保管できるスペースを作らなくてはなりませんし、1年のうちでスタッドレスタイヤの効果が発揮される日が数日程度では割に合いません。そこで活躍するオールシーズンタイヤですが、アクティブトレッドの技術によってさらに実力を全方位で増した、まさに鬼に金棒なシンクロウェザーは、今後のウインタードライブの常識を大きく変えるきっかけを与える逸物になりそうです。(写真:根本貴正)

[ アルバム : ダンロップ「シンクロウェザー」試走会 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • rinpapa
    とても期待しているタイヤです。
    耐久性が四年ぐらいあれば買いたいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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