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超激戦ベーシックコンパクト対決! 一番売れてるヤリスは実力もNo.1か

掲載 更新 38
超激戦ベーシックコンパクト対決! 一番売れてるヤリスは実力もNo.1か

 2019年12月に発表され、2020年2月にデリバリーを開始したトヨタ ヤリスは今年に入っても1~6月までの月平均販売台数は9000台超と絶好調である。

 国産コンパクトでは、新型アクアが7月に発売され、日産のノート、ホンダのフィットなども人気だが、これらは後席を頻繁に使うことも視野に入れた「広さ重視」のモデル。

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 いっぽうでヤリスは、前席優先の実力派コンパクトカーのため、直接的なライバルはマツダ2とスズキのスイフトがふさわしいだろう。そこで、この3台を各分野で比較。果たして人気No.1のヤリスは実力もNo.1なのか?

文/永田恵一、写真/編集部、TOYOTA

【画像ギャラリー】本稿で紹介したヤリス・マツダ2・スイフトの内外装をチェックする

これぞベーシックコンパクト! ガソリン車の走りが一番良いのは?

●ヤリス/1.5Lガソリン車

ヤリス グレード:G(1.5Lガソリン)/全長3940×全幅1695×全高1500mm/価格:177万3000円

 トヨタの新世代となるTNGA-Bプラットホームの採用もあり、ボディ剛性の高さを基盤に全体的に骨太な印象で、もう少し乗り心地が良くなれば文句ない出来。

 動力性能は、悪い意味での3気筒のフィーリングを感じることもあるものの、エンジンの活発さや太いトルク感により、数値以上にパワフルに感じ、マツダ2とスイフトの標準系を大きくリードする。

●マツダ2/1.5Lガソリン車

 コンパクトカーは、マツダ2の6速ATのような有段ATよりCVTとの相性が良いためか、1.5Lというほどの余裕は感じないというのが率直な印象。

 それ以外の部分では、乗り心地はクラス平均だが、フロントの軽さも影響しているのか、直進でのステアリングフィールの甘さ(ハンドルの落ち着きに欠け、ちょっと真っすぐ走りにくい)が気になる。

●スイフト/1.2L車(マイルドハイブリッド含む)

 排気量は小さいながらも、マイルドハイブリッドを含め車重が900kg程度と、2台に対して約100kgも軽いため、全体的に軽快に走る。

 ただ、軽さが災いしているところもあるのか、1人乗車で強風の中アクアラインのような橋を渡るときなどにフラフラすることがあることに加え、スポーティな「RS」以外のグレードだと乗り心地は悪い。

内装の仕上がりではマツダ2優勢?

マツダ2 グレード:15C(1.5Lガソリン)/全長4060×全幅1695×全高1490mm/価格:145万9150円

●ヤリス/1.5Lガソリン車

 質感などはこのクラスとしては標準的ながら、乗り降りの際などにシートを後方にしてもドライビングポジションを記憶する運転席イージーリターン機能や、前席左右の回転機能といったアイデア装備が光る。

●マツダ2/1.5ガソリン車

マツダ2のインテリアの質感の高さと細部までにこだわったデザインは、2014年発売当時から評価が高い

 登場は2014年と古いが、登場時からインテリアの質感の高さに対する評価は高く、この点はパネルなどの加飾がないベーシックなグレードでも未だに健在だ。

●スイフト/1.2L車(マイルドハイブリッドを含む)

 この分野では特に目立つところはない。

リアシートとラゲッジスペースはどれが使える?

スイフト グレード:XG(1.5Lガソリン)/全長3840×全幅1695×全高1500mm/価格:154万円

 この分野はコンセプトが近いだけに3台で大きな差はないが、標準的なヤリスを基準に2台の目に付く点を挙げていきたい。

●マツダ2/1.5Lガソリン車

 リアシートの座面の短さが気になる。また、全長がヤリス/3940mm、スイフト/3845mmなのに対し、マツダ2は4065mmと長いことも考えると、相対的に狭いといえば狭い。

●スイフト/1.2ガソリン車(マイルドハイブリッドを含む)

スイフトのリアシートは、膝まわりのスペースに余裕を持たさせている。最大256L積載量のラゲッジスペースは、広く積みやすい

 ラゲッジスペースの面積が広いなど、スーツケースの積載性をはじめ、見た目やイメージ以上に実用的に使える点は評価できる。

最新車なら押さえたい自動ブレーキ性能は?

●ヤリス

写真は、衝突軽減ブレーキ(夜間走行時)のイメージ図。ヤリスにはトヨタの最新先進安全装備「トヨタセーフティセンス」が装備されている

 1.5ガソリン車とハイブリッドには停止まで対応するようになった先行者追従型のアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、車線の中央をキープしようとするレーン・トレーシング・アシスト(LTA)が装備され、斜め後方を監視し、進路変更の際などの事故防止に大きな効果があるブラインドスポットモニタリングもほとんどのグレードにオプション設定される。

 また、ハイブリッドには高性能で使いやすい駐車サポートも設定される。自動ブレーキの性能も夜間の歩行者や右折時の対向車、右左折時の歩行者にも対応しており、万全だ。

●マツダ2

 ACCや操舵支援は、上級グレードでないと装着できないが、ブラインドスポットモニタリングが全グレード標準装備されるのと、自動ブレーキが夜間の歩行者にも対応する点は評価できる。

●スイフト

 フルハイブリッドは停止まで対応しないが、それ以外の2ペダル車は停止まで対応するACC、車線逸脱抑制、ブラインドスポットモニタリングを全グレード標準装備している点は後述する価格を考えれば、頑張っている。ただ、自動ブレーキの性能はヤリスとマツダ2に見劣りする。

気になるコストパフォーマンス 3台の割安感は?

 ほぼフル装備で、10万100円のオプションとなるブラインドスポットモニタリングがほしいヤリス1.5「X」のCVT(159万9800円)を基準に他の2台をみていきたい。

●マツダ2

 特別仕様車の「15Sスマートエディション」(159万8000円)は、ACCこそないが、駐車の際などにクルマを上からの俯瞰で確認できる360度モニターを装備することなどを考えると、街乗り中心なら価格競争力は高い。

 ただ、このグレード以上のマツダ2の1.5ガソリンは、モデル末期というのもあり、これから買うには高い印象だ。

●スイフト

 マイルドハイブリッドのメリットは薄いので、オーソドックスな1.2Lガソリン車を見ると、ベーシックな「XG」のCVT(154万円)は、フル装備+ACCが付くため、なかなかリーズナブルだ。

 コスパに関しては、街乗りに割り切った使い方ならヤリスの1Lの「X」(145万5000円)を含め、3台ともグレードを考えればアリだ。

★【結論】ベーシックグレードならヤリスの総合力がNo.1

 基準となる標準系を見ると、やはりモデルが新しいのもありヤリスの総合力は高く、マツダ2とスイフトの標準系は内容と価格のバランスを慎重に考えて、選ぶべきだと思う。

上級となるハイブリッド&ディーゼルならどうか?

 ここではヤリスハイブリッド、デミオディーゼル、スイフトフルハイブリッドそれぞれを見ていきたい。

●ヤリスハイブリッド

ヤリス グレード:G(1.5Lハイブリッド)/全長3940×全幅1695×全高1500mm/価格:213万円

 エンジンの稼働が減り、悪い意味での3気筒感が薄れるのもあり、1.5Lガソリン車よりも乗り味が上質かつ、バッテリー残量が多いうちはパワフルだ。また、厳しく見て25km/Lという実燃費は圧倒的で、これでハイブリッドの「X」が199万8000円というのはリーズナブルだ。

●デミオディーゼル

 ディーゼルエンジンのため、煤が溜まりやすいこととガソリン車に比べたら少しうるさいので、街乗りばかリの人には向かない。動力性能も実用域では力強いけれど、アクセルを深く踏んだ際など絶対的にはそれほどではないなど、何かと万人向けとは言いにくい。

 しかし、ディーゼルが好きな人や使い方が向く人には面白い存在で、エンジン以外の乗り味も、ガソリン車で気になった直進時のステアリングフィールの甘さはほぼなくなり、乗り心地もいい方向と、ガソリン車より上質だ。

 価格も特別仕様車の「XDブラックトーンエディション」は、ACC、16インチアルミホイールなどを装備し、206万5000円とまずまずリーズナブルだ。

●スイフト フルハイブリッド

 ガソリン車やマイルドハイブリッドに対し、燃費改善率が少なく、その割に価格も208万7800円と高いので、基本的に選択肢としては外した方がいい。

スポーツ系モデルならどうか?

 ここではヤリス1.5ガソリンのMT車、マツダ2の15MB、スイフトスポーツを見ていきたい。

●ヤリス

 ノーマル状態でスポーツモデルというのは微妙だが、「X」(154万3000円)の安さと、ラリーなどのモータースポーツにも多く使われていることによるアフターパーツの豊富さなどによる発展性で選ぶ価値は大いにある。

●マツダ2 15MB

 ヤリス1.5ガソリンのMT車と同じ路線だが、165万円という価格がヤリスより高いのことと、ヤリスほど発展性がないこともあり、ヤリスには及ばない。

●スイフトスポーツ

スイフトスポーツ(1.4Lターボ/MT)/全長3890×全幅1735×全高1500mm/価格:201万7400円

 反則かもしれないが、ヤリス1.5ガソリン、マツダ2の1.5ガソリンともに200万円のグレードもあるのを考えれば、充分比較対象になるだろう。

 スイフトスポーツは実によくまとまっており、この点がスポーツモデルとして見ると「もう少し面白みがあっても」と感じるところもある。

 しかし、1.4Lターボで圧倒的に速いことに加え、安全に楽しめるうえに価格がMTで201万7400円というのは日本の宝と言えるくらい偉大だ。それだけにスイフトスポーツがスイフトシリーズの30%以上を占めているというのもよく分かる。

◆  ◆  ◆

 エコ系、スポーツ系含め、やはりヤリスの総合力は強い。しかし、使い方やグレードによってはマツダ2、スイフトが光ることもあるので、このクラスを選ぶ際には熟考の上で自分に合ったものを選んでほしい。

【画像ギャラリー】本稿で紹介したヤリス・マツダ2・スイフトの内外装をチェックする

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