■ル・マン24時間レースでフェラーリを下した、ファードの金字塔
2019年に公開された映画『フォードvsフェラーリ』で主役級の扱いを受け、広く知られるようになったフォード「GT」。その車高がわすかに40.5インチしかなかったことから、「GT40」とも呼ばれるこのモデルは、1960年代のモータースポーツ界において、ル・マン24時間レースを6連覇するなど、輝かしい戦績を残したモデルだった。
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フォードGTは、当然のことながらその後のさまざまなスーパーカーに大きな影響力を及ぼすことになる。
大排気量エンジンをミッドシップに搭載するという点では、ランボルギーニ「ミウラ」などはその一例であるのかもしれないし、ミウラをスーパーカーの始祖とするのならば、フォードGTの存在がなければスーパーカーは世に送り出されてはいなかったといえるのかもしれない。
そのフォードGTがフォードの創立100周年を記念して1500台リメイクされたのは2005年のことだった。
その人気はもちろん高く、リアミッドには5.4リッターV型8気筒スーパーチャージャーエンジンが搭載され、558psの最高出力を誇った。このGTはまた世界各国でモータースポーツにも参加し、多くの勝利をフォードにもたらすことになる。それはまさに初代GTの生まれ変わりでもあったのだ。
RMサザビーズが「Driving into Summer」オークションに出品したのは、それに続くサード・ジェネレーションのGTだ。
デビューは2015年のNAIAS(北米国際自動車ショー)だが、実際のデリバリーは2017年を迎えてからのこと。出品車はその2017年モデルで、シリアルナンバーも「87」と比較的若い数字の車両となる。
■3代目フォード「GT」も、モータースポーツで勝つことを目的に開発されていた!
サード・ジェネレーションのGTを見て、誰もがまず驚かされたのは、そのエクステリアデザインが、先代の初代GTを意識したものから、一気に現代的なものに改められたことだろう。
フォードはもちろん、この世代のGTでもLM-GTEクラスでモータースポーツへの参戦を狙っていたので、最初から優秀なエアロダイナミクスを誇るボディをデザインしたのである。彫刻的で、いかにも空気の流れを可視化したかのようなボディを作り上げた大きな理由はここにあった。
リアミッドに搭載されるエンジンは、「エコブースト」と呼ばれる3.5リッターのV型6気筒ツインターボである。排気量は初代GTが5.5リッターから、最終的には7リッターにまで拡大。
セカンド・ジェネレーションでも5.4リッターで、いずれもV8であったことを考えると、いかにもコンパクトなエンジンであるかのように感じるが、それでも最高出力は647psを発揮する。
1385kgという軽量なボディと、7速DCTとの組み合わせで、世界のトップラインに並ぶ運動性能を実現した。最高速は348km/h、0-96km/h加速は3秒というのが、スペックシートに記載される数値だ。
この最新型フォードGTの優秀さは、デビュー初年である2016年のル・マン24時間レースから早くも証明され、この年に早くもGTEクラスで優勝を果たしたことで、セールス面でも大きな効果を発揮することになった。
出品車のフォードGTは、前述したように2017年式で、イエローのボディカラーは正確には単色ではなく、濃淡を考え3色に塗り分けられているという。
ボディのセンターとボトム部にはブルーのストライブが施され、これは1960年代のGTをイメージさせる。
オプション装備はさまざまなものが選択されているが、特に注目されるのが前後のカーボンホイールだ。タイヤはミシュラン製のパイロット・スポーツ・カップ2が組み合わされており、走るための準備はまさに万全といったところだろう。
スパルコ製のカーボン製シート、F1タイプのステアリングホイールも魅力的な装備だ。6.5インチのモニターを備えるインフォテインメントシステムも、最新のSync3にグレードアップされている。
気になる走行距離はわずか1471マイル(2354km)。コロナ・ウイルスの影響で、例によってオンラインのみで9日間にわたっておこなわれたオークションは、83万6000ドル(8945万2000円)の落札価格で終了。
その人気は、世界中で、そしてとりわけアメリカでは絶対的なものであることを証明してみせた。
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