日産自動車は2022年10月11日、ロシア市場からの撤退を決定し、ロシアでの事業をロシア政府系の自動車・エンジン中央科学研究所(NAMI)に譲渡する事を決定したと発表した。
今回の決定により、これまでの「ニッサン マニュファクチャリング ロシア LLC(NMGR)」が担うロシアの全ての事業が NAMIに譲渡され、NAMIの今後の乗用車プロジェクトのために活用されえうことになる。また、サンクトペテルブルクにある日産の生産・研究開発施設と、モスクワにある販売・マーケティングセンターは、新名称で運営される予定だ。
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この発表は、3月から実施しているロシア市場での製造停止、事業停止に続くものだ。「ニッサン マニュファクチャリング ロシア LLC(NMGR)」を引き継ぐ新組織により、全従業員はNAMIにより12ヶ月間の雇用が保障されている。
この度の譲渡については、数週間以内に関係当局の承認を受けて、正式に決定される予定となっている。なお、今回の事業譲渡については、すでに現地会社に事業譲渡して撤退したルノー・グループと同様に日産がロシア事業を再び事業を買い戻せる権利が含まれており、今後6年の間に行使することが可能とされている。
したがって、ロシア、ウクライナの戦争が6年以内に終結すれば、日産がロシアにカムバックする可能性はゼロではない。
なお、日産はNAMIに1ユーロ(142円)で事業を譲渡しており、ロシア市場からの撤退に伴い、一過性の損失として約1000億円を計上、ロシアから撤退する日本の自動車メーカーとしては最大規模の損失となる。ただし、今年度の業績見通しは変更しないとしている。
社長兼CEOの内田誠氏は、「日産を代表して、長年にわたりビジネスに貢献してくれたロシアの仲間に感謝致します。ロシア市場で事業を続けることはできませんが、我々の仲間を最大限支援できる解決策を見つけることができました」と述べている。
日産のサンクトペテルグルグ工場日産はルノー・グループと歩調を合わせ、2003年にロシアの本格参入し、2009年にサンクトペテルブルクに工場を新設した。
ルノー・グループは2008年にロシア最大の自動車メーカーのアフトワズ(AvtoVAZ)に出資し、2012年にはルノー/日産によりアフトワズを買収して経営権を獲得。同年にロシアのウラジーミル・プーチン首相(当時)の立ち会いのもとで、ルノー・日産アライアンスとアフトワズのラーダ・・ブランドの最初の共同開発プロジェクトがスタートしている。その結果、アフトワズの市場占有率は45%に達し、ルノー・グループの収益の23%を占めるまで成長している。
いうもでもなくこのロシアにおけるルノー/日産アライアンスの成功は、フランス政府とロシア政府のバックアップがあったと推測できる。
日産もこうしたアライアンスのプロジェクトとは別に、サンクトペテルブルグ工場を開設し、稼動させている。日産にとってロシア市場は好調で、ヨーロッパで最大の市場規模になっていたのだ。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻から半年を経過し、部品供給などの問題で生産の見通しが立たず、またルノー・グループのロシアからの全面撤退が行なわれたこともあって、日産も撤退を余儀なくされている。
ただ、ルノー・グループも日産も事業売却に当り、今後6年間の事業買い戻しオプション権を持つこととされ、ルノー・グループも日産も事業の売却先はロシア政府系の「NAMI」と共通であり、戦争状態さえ終息すれば、ロシアとフランスの政府による政治課題となる可能性もあると考えられる。
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日産自動車 公式サイト
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