東京都に属する離島、八丈島。7000人ほどの島民が暮らす島は観光業も盛んで、豊かな自然が魅力的な島だ。この八丈島は路線バスやタクシーはあるものの自家用車が生活の相棒。しかし過酷な道と重度の塩害に苦しむクルマも多く、キリのない自家用車の消耗は島民でなければわからない苦労がある。日産自動車大学校がここで社会貢献を始めようとしている。
文:ベストカーWeb編集部/写真:塩川雅人(ベストカーWeb)
八丈島のライフラインを守れ!! 「三方よし」で未来の整備士が紡ぐ社会貢献……日産直系整備学校が挑む
■サビと付き合い続ける八丈島のクルマたち
こんなサビのあるクルマは日常茶飯事の八丈島。毎日通勤で使われているクルマだ
八丈島は起伏の富んだ地形で道路も高低差のあるカーブが多い。さらに海風による塩害が激しく、瞬く間に車両を蝕んでいく。写真を見てほしい。これは放置された車両ではなく、毎日通勤で使用されるクルマだ。車庫の環境や使用方法によってはあっという間に錆びてしまう。
もちろん島には多くの整備工場があり、車検や定期点検は実施しているが、そのスピードを上回る塩害によるクルマの傷みがある。さらに近年増加している移住者の島民になると、メーカー系の大きなディーラーが存在しない八丈島では馴染みの整備工場がなく整備を依頼しにくいという悩みもあるようだ。
この点に八丈島に別邸を構える自動車評論家の国沢光宏氏が目をつけて、日産自動車大学校とタッグを組んだ「三方よし」の無料愛車点検イベント計画が持ち上がった(詳細はこちらから)。
自動車評論家の国沢光宏氏が参画するこのプロジェクト。もちろん無償で参加しているぞ
■「三方よし」でみんながハッピーになるイベント
今回のプレイベントでは日産自動車大学校の教員が整備を担当したが、イベント本番では学生が整備を担当することになる
このイベントが「三方よし」なのには理由がある。
ひとつめが日産自動車大学校の学生のキャリア育成。同校の1級整備士養成課程の3年生は国家2級整備士資格を保有しており、法的には整備業に従事することができる。より実践的な整備環境で学生たちが学ぶことは将来のキャリア形成にも繋がる。
ふたつめは学生たちが八丈島で無料整備点検をした際に参加者に手渡す診断カードがキーになる。実は診断カードの裏面に島内の整備工場のアクセスが案内されており、診断カードを持って最寄りの整備工場に行けば適切なメンテナンスを受けるきっかけになるのだ。オーナーは愛車の状況が確認できるし、整備工場は新規の顧客を得て安全なカーライフを提供することができる。
応急タイヤを常用するケースもある。こちらのクルマは指定空気圧の1/2程度しか空気が入っていなかった
最後は八丈島への貢献。2022年は年間18件の事故が起きており相対的に事故は少ない地域だが、クルマが多い土地柄だけにクルマの安全性をきちんと担保することは今後の八丈島の魅力向上にもつながるはずだ。
なによりこのプロジェクトは八丈島の皆さんの温かさに支えられている。国沢氏をはじめ、日産自動車大学校、そして日産自動車関係者が島内の整備工場を巡り、すでに挨拶などは完了しているが、八丈島の皆さんはいつでも暖かく迎えてくれる。
そしてついに八丈町議会議員、そして八丈町役場の協力のもとイベントが2024年2月18日に町役場で開催されることが決まったのだ。
■想像以上のサビに絶句するプロの整備士
整備工場に持ち込まれた車両のフロア。ボディはツルピカなのに新車から10年でここまでサビる。だがこれでも相当にきれいなほうだ
2024年2月のイベント本番に向けて、2023年9月30日に日産自動車大学校の整備士資格を保有する教員によるプレイベントを実施した。場所は八丈町役場。教員はディーラーでの職務経験を積んだプロだ。
今回は学生たちが本番で実施する整備内容と同等のプログラムを実施した。基本的にはバッテリー、オイル、ブレーキ、タイヤ、灯火類などのチェックが主な内容になる。前述したとおり部品交換などは八丈島の整備工場に作業依頼をするので、学生が実施するのはあくまでも無料点検の範囲になる。
プレイベントでは10台ほどの車両を点検したが、車種はもちろんどんなメーカーでもOK。なかにはスバルサンバーも来場したり、日産でメカニックをしてきた教員にとってもやりがいを感じるひと時になったようだ。
RRのスバルサンバーのエンジンルーム点検。日産系列の整備士が整備することは新鮮な光景だが、本番ではこのようんケースにも学生たちが対応することになる
なかには多くの教員が想像以上のサビに絶句するシーンがあった。それが島内の整備工場の整備士が案内してくれた車両。車齢10年ほどでも外観ではピカピカだったが、アンダーフロアはここまでサビが進行している。
「10年でこれは本当に綺麗なほうなんです。防錆をしてもキリがないんです。だから修理するか廃車にするかの線引きはシビアなんです」と島の整備士は語る。
■エンジンルームは防錆剤仕上げでタイヤはスペアタイヤ!?
妙にツヤのあるエンジンルーム。これはシャシーブラックなどで防錆をしたところだという。乗れるだけ乗るというカルチャーから生まれたライフハックなのだ
今回のプレイベントではサビと同じくらい目立ったのがタイヤのトラブル。装着から10年近く経過しているタイヤがあったり、道路の線形の影響でアウト側の片減りをしている車両が非常に目立ったのだ。
これにはワケがあり、八丈島を一周してもその距離は45kmほど。つまり年数が経過していてもスリップサインが出るほどの走行距離には達することは稀で、しかも曲率の高いカーブに高低差も加わる地形はタイヤには厳しい環境だ。
スリップサインは出ていなくても極端な片減りをしていたり、経年劣化でサイドウォールのひび割れという症状が相次いだ。もちろんプレイベントでの点検後はその点もオーナーに説明して整備工場へ引き継ぐということもできた。
また島民のなかにはある程度は自分でサビ対策をするためにエンジンルームを防錆剤でコーティングしたり、移住者のなかにはツテで譲り受けたクルマに乗っていてタイヤの製造年月日も銘柄もバラバラだったなんてケースもある。
プレイベントだけでもかなりの数の不具合車両が見つかって、オーナーに報告することができたのが大きな前進だと思う。2024年2月18日(日)に八丈町役場にて開催されるは本番は学生の手によって運営される。本番で八丈島の皆さんの笑顔が見られるのが楽しみだ!!
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