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「好奇心と夢を持って」クルマ好きのバトンを繋げるマツダの名物開発者が現役最後の特別授業を開講

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「好奇心と夢を持って」クルマ好きのバトンを繋げるマツダの名物開発者が現役最後の特別授業を開講

 2023年2月6日(月)、広島市内の小学校で、現行型(4代目)ロードスターの開発主査を務めたマツダの山本修弘氏が、特別授業を実施した。40年以上、クルマの開発を担ってきた山本氏は、この2月10日(金)をもって定年退職する。

文/ベストカーWeb編集部、写真/マツダ

「好奇心と夢を持って」クルマ好きのバトンを繋げるマツダの名物開発者が現役最後の特別授業を開講

■「心の鏡を磨いてほしい」

 現行型(4代目/ND型)ロードスターの生みの親である山本修弘氏、経歴をざっと紹介すると、1973年にマツダ入社後、ロータリー研究部へ配属、ル・マン24時間レースに挑戦するグループで4ローターエンジン開発に従事し、1991年には総合優勝を経験。1996年から2代目ロードスターの開発を担当し、2007年から商品本部スポーツカー(ロードスター)担当主査、2016年7月からロードスターアンバサダーに就任した。1955年1月31日生まれで高知県出身。

 開発主査を務めた現行型ロードスターは2015年5月登場、同年12月に日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞を受賞、翌年3月にはワールド・カー・オブ・ザ・イヤー、ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤーをダブル受賞している。
「世界一のクルマを作りたい」と夢見てマツダの門を叩いた青年が、40年かけて夢を叶えたわけだ。

山本修弘氏。マツダのND型ロードスター開発主査。1973年入社、ロータリーエンジンの開発に従事し、2023年2月に退職

 この日、山本氏は36名の小学六年生の前で特別授業(講演)を実施。68歳となりいよいよマツダを退職するにあたり、開発者として現役生活で最後の授業を行った。山本氏はその授業のなかで、「仕事で大切なことはなんですか」という質問に対して、以下のように答えている。

「勉強することも大事です。知識がないと、考えることもできないからです。でも、もっと大事なのは、ものを見る、ものを聞く、触ったりする、そうした探索力や好奇心、これを持ってもらいたいんですよ。いろいろなものに興味を持ってもらいたい。日本には、たくさんの自然の変化があります。四季の移り変わりもあります。そして、美しい自然もあります。鳥もいます。虫もいます。花もいます。動物もいるし、魚たちもいる。そうしたことに目を配り、触れて、興味を持ってもらいたい。

 そのためには何が必要か。心の鏡を磨いてほしいんですよ。周りから入るものがちゃんと自分の心にきれいに映るように、そういうふうになってほしいなというのが私の思っていることです」

熱心に山本氏の話を聞き、質問する広島市内の小学生たち。日本自動車界の未来はこの子たちにかかっております

 この日の授業での2つめの質問は、「仲間はいるのですか」。これについて山本氏は「たくさんの仲間がいます」と回答。

「4代目のロードスターでは、代表的なメンバーは302人の同志がいました。会社の中でたくさんの職場があるんですね、その代表的なメンバーがいました。たくさんの仲間がいるから安心して取り組めたんだと思います」。

 3つめの質問は「仕事のどういうところが大変なのですか」。

「それは、僕はこう思うんです。仕事というのは、優しいことではないんです。簡単にクルマを作っただけではお客さんは喜んでもらえないと思うんですよ。難しいことに挑戦し、できないことをやり遂げる。それが仕事であるかなと、そう思います。

 そのためにはどういう気持ちで臨むのか。私は、冬山に臨む登山家の隊長さんの気持ち、きっとそうではないかなと思って、そんな気持ちで臨みました。どういうことかというと、進むべき道を知っている、雪の中でもここを進むんだという、迷わずに道を示すことができる。そして、逆風に堪えないといけないですよね。長い坂がある、北風が吹く、雪が降る。そんな中でも逆風に耐えて前に進まないといけない。でも、そのときに自分だけの勝手な意見で進むわけにはいかないですね。たくさんの人の意見もよく聞いて、その中で正しいと思うことを、自分自身が判断して前に進む。そうしたことが大事です。

 そして、みんなのリーダーになるためには、周りの信用、信望を得ないといけないですね。そうしたことも大事だと思います。

 最後に、苦しいけれども、自分の人生だから、そういう思いで腹をくくってゴールを目指す、そんなことが大事ではないかな、そう思います」。

広島県三原市の本郷西小学校にて。山本氏と六年生の生徒たち。日本のスポーツカーを代表する4代目ロードスターとともに記念撮影

 自動車メーカーの開発者に話を聞くと、ストレートに「夢」を語る人が多い。数百人のスタッフを率いて、命を乗せて走る工業製品を何万台も作るのだから、真っすぐで強い信念がなければ務まらないのだろう。そうした「思い」が、クルマには積み重なっている。

 特別授業を終えた子供たちの中には、メディアのインタビューに「マツダに入ってクルマを作りたい」と答えた子もいた。こうやって夢のバトンはつながってゆくのですね。

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みんなのコメント

2件
  • 3枚目の写真、後ろで棚に寄りかかってるオッサンが気になる。
  • ハイブリッドでもEVでもない今の車を持ってきて小学生に自慢だけして終わるのか…
    それならRX-7の方が良かった気がする。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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