アメ車の日本での販売台数は欧州車の20分の1以下
今年1月に開催された東京オートサロン2020で日本初披露となった新型シボレー・コルベット。東京モーターショーでも展示されなかったのにオートサロンでデビューという点も話題となったが、日本のユーザーからすると衝撃的だったのが「右ハンドル」が導入されるとアナウンスされたことだろう(展示された個体は左ハンドル)。
いうまでもなくアメリカ車であるコルベットはもともと左ハンドル車であり、過去日本で正規販売されていたモデルもすべて左ハンドルのままだった。
フォルクスワーゲンやメルセデスベンツといった欧州車であれば、ある一定の台数の販売が見込めるため、ほぼすべてのラインアップが右ハンドルとなっているが、そもそも欧州車の20分の1以下の台数しか日本では売れていないアメ車、それもさらにユーザーが限定される2シータースポーツカーで右ハンドルというのはどういう理由が考えられるのだろうか?
MRになったからこそ「右ハンドル」が実現できた
新型コルベットの最大のウリは、今までフロントに搭載していたエンジンをミッドシップへ搭載したことだろう。これにより、多くのスーパーカーと肩の並べるミッドシップレイアウト車となったわけだ。にもかかわらず、価格は1180~1400万円と、ライバルに比べるとはるかにリーズナブル。スーパーカー界隈も比較的手頃な価格の車両たちは飽和状態になりつつあり、他人と同じものはイヤと考えるユーザーがコルベットに注目する可能性は非常に高いのではないだろうか。
また、国産のハイパフォーマンスモデルである日産GT-RやホンダNSXも高価格化が進んでおり、それらと比較してコルベットは同等か安いプライスタグとなっているのだ。つまり、そういった今までアメ車にはあまり興味のなかったユーザーが注目することを考えて、右ハンドルの設定をしたのかもしれない。
そしてもう一つの理由として考えられるのが、ミッドシップレイアウトになったという点だ。当然ながらハンドルの位置を変更するということは、ステアリング関係やペダル関係などをすべて移動させなければならない。もしフロントにエンジンを搭載しているモデルでこれをやろうとすると、エンジンルーム内のレイアウトまで変更しなければならなくなり、膨大な時間とコストがかかってしまうのだ。
しかし、エンジンが座席よりも後ろに搭載されるミッドシップレイアウトであれば、フロント部分には一部の補器類などの搭載に留まるため、比較的ステアリングの位置の変更が用意と言える。そのため、そこまで台数が見込めない2シータースポーツカーでも右ハンドル化をすることが可能となったのではないだろうか。
そしてもちろん、右ハンドル圏は日本だけではないので、そういった諸外国からの引き合いもあると考えれば、右ハンドル導入も決して高い投資とは言えないのである。
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