現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】新しいプレミアムSUVスタイルを提案したスカイラインクロスオーバー!

ここから本文です

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】新しいプレミアムSUVスタイルを提案したスカイラインクロスオーバー!

掲載 7
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】新しいプレミアムSUVスタイルを提案したスカイラインクロスオーバー!

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、スポーティ性能とプレミアム性を両立したクロスオーバーモデル、日産スカイラインクロスオーバーを取り上げる。

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】新しいプレミアムSUVスタイルを提案したスカイラインクロスオーバー!

文/フォッケウルフ、写真/日産

■今やSUVクラスの主流となったクロスオーバーの先駆け

 現在、新車市場で手に入る国産SUVは40台あまりだが、そのうちオンロードでの走行を前提とした都市型SUVは8割強を占める。それらはすべて、乗用車と同じようにモノコック構造を採用し、街乗りを基本としながらも4WD仕様なら悪路走破性がこなせる。

 そのうえ実用的な機能が充実していることも相まってオールマイティに使えるクルマとして絶大な人気を博している。そんな都市型SUVのなかで近年著しく増殖しているのが“クロスオーバー”というジャンルだ。

 クロスオーバーとは、元々は「境界を越えて交じり合うこと」を意味する言葉だが、クルマの場合は他ジャンルの特徴をかけ合わせて誕生した車種のことを指す。今回クローズアップする「スカイライン クロスオーバー」は、SUVとクーペの融合から誕生した新種のSUVとして注目を集めた。

セダン、クーペと同様にスカイラインの名に恥じないパフォーマンスを有して誕生。日本導入以前は、北米や欧州などの海外向けに「インフィニティEX」として販売されていた

 スカイラインクロスオーバーは、新ジャンルのスカイラインとして、クーペやセダンと同様に優れた運動性能を特徴としながら、高級車に相応しいしなやかで上質な乗り心地を実現。それまでのSUVとは一線を画した洗練されたスタイルや、上質素材を用いたパーソナルなインテリア空間などを特徴としていた。

 外観は、グリルからドアミラーまで伸びるフードバルジや、FRらしいロングノーズとクーペのように流麗なアーチドキャビンを基本としながら、フロントフェンダーからリアフェンダーへと上下しながら優雅に流れるウエストラインによって、優雅で躍動的なスタイルを表現している。

 クーペ風としつつも、しっかりと路面を捉えるようなデザインのFRらしいリアフェンダーによって、SUVならではの安定感を強調した後ろ姿がダイナミックな印象を際立たせている。その美しいプロポーションは、ボクシーなワゴンボディが主体だった当時のSUVクラスのなかでは際立って華やかで個性的だった。

■パワフルな動力性能とシャープなハンドリング

 スカイラインの名を冠していることから、走りのよさには定評があった。フロントミッドシップにV6エンジンを搭載することで実現した理想的な前後重量配分や、短い前後オーバーハング、大径タイヤなどを採用したFR-Lプラットフォームをベースに、サスペンションには、フロントダブルウィッシュボーン式、リアマルチリンク式の4輪独立懸架を採用。

 理想的な減衰力特性をもたらすデュアルフローパスショックアブソーバーの効果も相まって、狙ったラインを正確に追従するスムースなハンドリングと、しっかりとしたグリップ感のある俊敏なフットワークを実現し、ハンドリングはSUVであることを忘れさせるほど軽快だ。

 そのうえ、高いねじり剛性と効率のいい車体補強を施したボディが、路面の凹凸にしなやかに追従して余分な動きを瞬時に収束させ、不快な振動を抑えた優雅な乗り心地をもたらしている。その走りは背の高いスポーティサルーンのようでもあり、クロスオーバーの面目躍如といえるものだった。

クーペとSUVを融合した流麗で躍動感のあるデザインによって、しなやかな身のこなしを信条とするクロスオーバーSUVならではのスタイルとしている

 走りに対するこだわりは、搭載するパワーユニットからも見て取れる。VQ37VHRエンジンは、最先端技術であるVVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)を採用した日産独自のユニットで、最高出力243kW(330PS)を発生しながら、2400~7000rpmという幅広い回転領域で最大トルクの90%を発揮する力強さと扱いやすさを特徴とする。

 VVELを採用したことによって、アクセルペダルの踏み込み量に応じてエンジンの吸気バルブの作動角とリフト量を可変制御して吸気抵抗を低減。吸入空気の応答を飛躍的に高めることでレスポンスのよさと高出力、さらに低燃費でクリーンな排出ガス性能を実現している。

 トランスミッションは、マニュアルモード付7速オートマチックトランスミッショが組み合わされる。広いカバーレンジを持つギヤ比により、伸びやかで途切れのない加速を発揮するとともに、高速走行時の燃費と静粛性の向上が図られている。

 駆動方式はスカイラインセダンと同様にFRのほか、電子制御トルクスプリット4輪駆動システムであるアテーサE-TSを採用した4WD仕様もラインアップされていた。

■高度なパフォーマンスを存分に楽しむ技術が満載

 卓越した走行性能を安心かつ快適にサポートする装備も充実していた。各種センサーによって運転操作や車速などを検知し、ブレーキ圧やエンジン出力を自動的に制御。滑りやすい路面やコーナリング、障害物を回避する際に発生する横滑りを防止し、走行時の安心感を高めるVDC(ビークルダイナミクスコントロール)が採用されている。

 ドライバーの意図とは別に、車線から逸脱しそうな場合に、ブザーとディスプレイ表示でドライバーに注意を促すLDP(車線逸脱防止支援システム)/LDW(車線逸脱警報)や、車速が約15km/h以上で走行中に自車前方の車両に接近した場合、表示と音でドライバーに注意を促すFCW(前方車両接近警報)をメーカーオプションで設定。

 そのほかにも、運転負荷を軽減するインテリジェントクルーズコントロールをはじめ、照射範囲を広げるアクティブAFSなど、ドライバーが安心して運転できるよう先進装備を数多く採用していた。

 居住性や実用性の高さもセールスポイントだ。運転席まわりは高い位置に配されたシフトノブやゆったりとしたくつろぎをもたらすロングアームレスト、自然な姿勢で操作できるセンターパネルなどによってドライバーズカーと呼ぶに相応しい作りとしていた。

 本木目フィニッシャーには高級素材であるカーリーメイプルを採用し、表面はヴァイオリンのようなグラデーション塗装を施すことで華やかな仕立てとし、スカイラインらしいスポーティな雰囲気のなかに漂うエレガンスで独特の世界観を主張していた。

ドライバーを優雅に包み込む造形を基本としたラグジュアリーな仕立てがなされ、スカイラインらしさのなかに独自のエレガンスを表現

 セダンが高年齢層向けだったのに対して、スカイラインクロスオーバーは若年層を想定したクルマとされていたが、価格はベーシックな370GTの後輪駆動モデルで420万円。最上級グレードの4WD仕様である、370GT FOUR Type Pが499万8000円と、かなり高額でおいそれと手が出せなかった。3.7Lという排気量による自動車税の高さ、リーマンショック後の景気悪化から立ち直りつつあった日本を襲った東日本大震災という逆風の影響により、販売は低迷する。

 クーペ風のスタイルを特徴とするSUVが急増し、さらにクラウンやカローラといった歴史あるクルマの名を冠したクロスオーバーSUVが登場して好評を博している今なら、スカイラインクロスオーバーに対する評価や売れ行きは違っていたかもしれない。早すぎた登場と揶揄されるクルマは多々あるが、スカイラインクロスオーバーも間違いなくそれに分類される1台と言っていい。

【画像ギャラリー】SUVブームを先取りしすぎたスポーティモデル、スカイラインクロスオーバーの写真をもっと見る!(14枚)

投稿 こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】新しいプレミアムSUVスタイルを提案したスカイラインクロスオーバー! は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。

こんな記事も読まれています

メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
AUTOSPORT web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース

みんなのコメント

7件
  • ZVW********
    意地を張らずに、日本向けには2500ccエンジン(VQ25HRが理想)搭載モデルを用意すれば販売台数は違ったと思います。

    でも採用しなかった事が、現在でもプレミアム感を失うことが無くインフィニティ、引いて云えばスカイラインブランドを継続出来ている様に思います。
  • dgc********
    SUVブーム前だったしね、でも着眼点はよかったとは思う
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

447.1546.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

33.5198.0万円

中古車を検索
スカイライン クロスオーバーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

447.1546.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

33.5198.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村