フォルクスワーゲンAGは2022年9月9日、新カテゴリーのコンセプトカー「フォルクスワーゲン ID.XTREME(アイディ・エクストリーム)」を発表した。ハイスペックなBEVをベースに本格的なオフロード性能を備えているこの新種は、フルバッテリーEVと四輪駆動のコンビネーションがもたらす無限の可能性を実感させてくれそうだ。
ユニークなスタイルでID.シリーズ最強スペックを実現
フォルクスワーゲンID.シリーズを主役とする国際イベント「ID.Treffen(アイディ・トレッフェン)」が、スイス ティチーノ州ロカルノで開催された。英語で言うところの「ID.Meet」である。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
欧州全土のID.愛好家たちが、マッジョーレ湖の海岸に集まって電動モビリティの素晴らしさを共有するというこのイベントはたとえるなら、オーストリア ヴェルタ―ゼー湖で開催されるGTIミーティングのBEV版、ということだ。そこでお披露目されたのが、この冒険心溢れるスタイルをまとった1台だった。
「フォルクスワーゲンID.エクストリーム」というネーミングは、いわゆるSUVを超えたアクティビティとしての楽しさやチャレンジスピリットを感じさせる。なるほど確かに華やかなカラーリングも含めて、見ているだけでもワクワクさせてくれる新種だ。
ファンからのフィードバック次第では、正式に市販される可能性も
ベースとなっているのは、ID.シリーズ初の4WDであり随一のスポーツ性能を誇るID.4 GTX。だが、リアアクスルに配置された高性能ドライブユニットと巧みな統合制御があいまって、システムパワーは285kW(388ps)まで引き上げられている。およそ3割増しも、力持ちなのだ。
フォルクスワーゲンが「オフロードアドベンチャー」と呼ぶルックスは、フェンダーの盛り上がりや18インチホイール、クラッシュメンバーが追加されたフロントバンパーに加え、3Dプリンティングによって成形された幅50mmのリアウイングによって完成されている。
ID.シリーズを核にフォルクスワーゲンのMEB(モジュラーエレクトリックトリフィケーションマトリックス)を統括するAndreasReckewerth氏は、ID.エクストリームがID.の愛好家たちからどのように評価されるか、に期待しているという。フィードバック次第で、プロジェクトの今後の進め方を判断するそうだ。
残念ながら日本ではその「声」を聴くことはできない。けれど願わくば、ポジティブな声がきっかけとなって、近い将来、「正式市販版」が日本にも上陸することを期待したい。
プロフェッショナルな「見習い」軍団が生んだ「Xcite」
ID.トレッフェンではもう1台、フォルクスワーゲン電動モデルを巡る、ユニークな取り組みを象徴するショーカーが出展された。ID.5 GTXをベースに、ルックスや装備類をより若々しい感性でモディファイした「Xcite(エキサイト)」だ。
手掛けたのは、ツヴィッカウ、ドレスデン、ケムニッツという、フォルクスワーゲンの3つの拠点で「アプレンティスシップ」制度(現代版徒弟制度)で働く若き才能たち。デザインからボディワーク、塗装やテクニカルなコミッションに至るまで、あらゆるポイントで「見習い」ながらもその卓越したスキルの一端を発揮している。
エクステリアではホイールアーチが改良されてドアシルが広くなり、前後フェンダーの一体感が増している。塗装は、ランボルギーニ譲りのマットとグロスを組み合わせたもの。22インチ鍛造アルミホイールリムはパウダーコーティングされて、ただ大きいだけではない、独特の存在感を足もとに加えている。
インテリアはアルカンターラとともにビーガンレザーを使用。ステアリングホイール、ドアトリム、ルーフライナーなどがアップグレードされている。シート中央とドアトリムにハニカム状の刺繍を配するなど、細部にわたってセンスがいい。
フルエレクトリックの時代は単なるパワートレーンだけではない、さまざまな角度からの「新たな可能性」を示唆していることは、間違いなさそうだ。
[ アルバム : フォルクスワーゲン ID.エクストリーム はオリジナルサイトでご覧ください ]
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